滋賀県の事例

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大津生コンクリート協同組合

※地場産業(平成25年度調査)
「くみコン」ブランドのCMによる共同PR活動

「安心・安全・保証付き」の組合の共有ブランド「くみコン」の浸透を図るために、平成24年2月に商標登録を行いローカルテレビ局との年間契約を結んでCMを放映するなど積極的なPR活動を実施。

1.背景と目的
先の民主党政権下の「コンクリートから人へ」という風潮に対抗するために、「コンクリートは命を守る大切な建設資材」というコンセプトを構築するとともに、員外社に対する優位性を発揮させる必要性が高まっていた。そのような背景に平成23年3月の東日本大震災を契機に防災・減災の重要性に対する認識が高まりはじめ、その後も大型台風など度重なる自然災害が起こったことで、改めて人命・財産を守るための建設資材としてコンクリートの役割が見直され始めている。

2.事業・活動の内容
このような状況に対応するため、滋賀県の生コンクリート3組合が一体となって、一般消費者や建設関連業者をターゲットに「安心・安全・保証付き」の生コン[くみコン]をPRすべく、平成23年9月よりキャンペーンを開始した。PR活動の中核は、視聴者180万人程度のBBCびわ湖放送でのCM放映である。
[くみコン]は平成24年2月24日に商標登録され、このブランドマークを配送用車両に掲示し、住宅展示場等の関係団体へ配布や特製ティッシュの制作・配布、新聞への広告掲載など多様なキャンペーン活動に利用している。BBCびわ湖放送でのCM放映は、平成23年9月1日から開始し、第一弾の「まかしときなはれ編」から第二弾「生コンクリートは選べます編」と変化させ、さらに平成25年4月からは一般消費者に親近感を持っていただくためマスコットキャラクター「くみちゃん」を登場させるなど内容を進化させている。これらのPR活動に係る予算は初年度予算総枠670万円で、うちCM関係は30秒スポットCFで年間契約480万円。

3.成果(今後予想される成果も含む)
これらのPR活動の結果、一般ユーザーから「生コンクリートは選べるんですね。」といった問い合わせが住宅メーカーへ寄せられるなどの効果があり、全体で10%程度の出荷量増加という成果は出ている。しかしながら、広告効果の直接的な測定方法がなく、費用対効果のより具体的な検証が課題となっている。また、一方では組合員において、組合ブランドイメージを汚さないよう安定供給と品質向上に一層努力するようになるなどの副次的な効果も生まれている。


マスコットキャラクター「くみちゃん」が登場するCM


「くみコン」マークとPRグッズ

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滋賀県菓子工業組合

共同事業の新展開-新規事業の実施(平成30年度調査)
高品質の滋賀羽二重糯プリン「湖(うみ)の餅~tae~」登場

組合青年部を中心に試作開発に取り組むとともにデザイン事務所と連携したこと、製造を組合員1社にして品質等の安定を図ったことが新商品開発実現の要因となっている。

1.背景と目的
滋賀県では代表的な菓子土産がないことが問題点として認識され、また当組合では共同購買事業のうるち米の手数料収入減少という問題があり、新たな収益源を開拓する必要があるという課題を認識していた。そこで、新たな組合事業として、滋賀県が誇る高品質の「滋賀羽二重糯」に焦点を当て、新商品開発に取り組んだ。

2.事取組みの手法と内容
①推進方法
商品開発への取り組みの流れは、(1)試作品開発から商品化段階、(2)販売開始から事業拡大の2つに分けられる。
(1)試作開発から商品化段階
試作開発~商品化においては、組合理事会の承認の下で組合青年部と一部組合員で開発プロジェクトを立ち上げて商品試作に取り組んだ。また、パッケージデザインやコンセプト構築に関しては、デザイン事務所と契約しプロジェクトを推進し、滋賀羽二重糯プリン「湖の餅~tae~」を商品化した。
(2)販売開始から事業拡大
商品を発売し、組合員店舗での販売の段階で、理事長及び副理事長が中心となって事業推進組織を立ち上げ、集中的に同一品質で製造~供給するための組織体制を構築した。その体制とは、特定の組合員にて集中して製造し、販売に参加している組合員(15店舗)に商品を供給するものである。また、商品の改善や、今後の商品開発における検討の場として「販売会議」を設置し、定期的に実施している。
②今後の事業課題と展望
今後の課題としては、「販売店の拡大」「知名度向上/ブランディング」「商品開発(ラインナップの拡張)」「推進体制の進化」の4つとなっており、平成30年度は、イベント等を通じた知名度向上への取組みを進めるとともに、「taeシリーズ(※)」としてのラインナップ化に向けた商品開発を行っている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
組合運営に危機感をもつ組合執行部及び青年部が精力的に取り組み、デザイン事務所の協力を得てパッケージデザインなどに商品としての魅力を付加できたことが新商品開発の大きな要因となっている。平成29年には190万円を超える売上となっており、平成30年度には4種類の新商品を開発し、「taeシリーズ(※)」として平成31年3月から販売をスタートさせている。 ※「taeシリーズ」詳細につきましては、4月号に掲載予定です。


開発された滋賀羽二重糯プリン「湖の餅~tae~」

平成30年度には4種類の新商品を開発

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ひこね繊維協同組合

社会貢献・SDGs(令和1年度調査)
トランスジェンダー向け下着の開発

LGBT対応というデリケートな課題にもかかわらず、トランスジェンダーの当事者の方との接点開拓と本音(ニーズ)を丁寧にヒアリングできたことがキーと思われる。

1.背景と目的
当組合は、下請け工場が多く受注量が不安定という厳しい状況が続いており、これを打開するための新たな商品開発が課題となっていた。
そのような中で、LGBT対応という社会的な要請を背景にして、「トランスジェンダーの方が下着で困っている」という問合せが寄せられたため、組合として前向きに取り組むこととした。

2.取組みの手法と内容
2017年度に内部で検討を行った後に、事業開始し、2018年11月の製品化まで一連の流れとなっている。
事業の推進は、理事会の下に製品開発を担う「プロジェクト・チーム」を立ち上げ、製造管理と販売・ブランディングのリーダーと事務局が中心になって取り組む体制とした。具体的な試作や製品の製造は、組合員の各事業所が主な4つの工程を分業することで行った。
まず、内部検討及び事業開始の段階で、一般社団法人LGB.Tからの引合いを契機に、事業を開始させた。
そしてニーズ探索のため、2018年5月に大阪で開催した会議にはトランスジェンダーの方にも参画してもらい、具体的な問題などについてヒアリングを行った結果、開発方針は「一日着ていても疲れないフィット感を実現すること」及び「年間を通じて快適に過ごせること」とし、女性用及び男性用6アイテムの試作に取り組んだ。その後、2018年6月~10月にテストを繰り返し、改良を加え製品化した。
市場開拓については、具体的な販売展開は組合員企業の事業とし、クラウドファンディング(FAAVOしが)を活用して取り組んだ。
結果、大手EC通販からの引合いを獲得することに成功し、一方でヤフーショッピングで販売を開始するに至った。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
当初、目標の6アイテムの開発を達成し、2018年12月にプレスリリースするまでに至った。また、社会的課題の解決であることから、新聞・テレビ等のマス媒体に取り上げられたほか、滋賀県や彦根市の人権関係機関からも評価を受けるという副次効果も得られた。
今後は、多くのトランスジェンダーの方との接点を増やし、より良い製品づくりのため、多くの声を反映させることが課題となっている。


女性の特徴を目立たなくするインナー

男性の特徴を目立たなくするインナー

 

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滋賀県環境整備事業協同組合

災害への対策・対応(平成28年度調査)
事業継続計画(BCP)の策定と災害支援体制の構築

滋賀県及び各市町との連携の下で実現される災害支援のフォーメーションの中に位置づけられているため、組合及び組合員の事業が継続されることが前提になっている。

1.背景と目的
大規模地震や大型台風などの風雨災害への対応体制構築が求められる中、滋賀県の「災害廃棄物広域処理調整マニュアル」が策定された。この中核事業の一つに位置される当組合のし尿処理等業務を安定的に行うために、組合及び組合員の事業継続計画(BCP)を策定し、実際の運用に係る市町との連携体制を作ることとした。

2.事取組みの手法と内容
本事業は、災害支援の中核業務である「し尿・浄化槽汚泥処理」や「生活ごみ処理」の業務を万一の事態が発生しても安定的に提供するために、組合と組合員のBCPを策定すること及び実際の運用体制を構築するために市町との連携を進めることの2つで構成されている。 前者は、上記マニュアルが平成25年に策定されたことに対応して、平成26年度に組合のBCP策定からスタートした。平成27年度からは各組合員BCP策定への取り組みに移行したが、初年度は全組合員が取り組みやすいように、先行して規模の異なる2組合員をモデル企業として選定し、策定を完了した。本年度は、これをベースに全組合員のBCP策定を目指して取り組んでいるところであるが、実際の策定作業に関しては滋賀県中小企業診断士協会の専門家の支援を受けて行っている。 災害支援体制の構築は、上記マニュアルによる運用体制の枠組みをベースとして、各地域で組合員と市町が連携してゆくことが前提となる。具体的には、各市町と該当エリアの組合員企業との協定等の締結及び運用方法等を取り決めることであり、現在7市町と「災害時支援協定」等の締結を完了している。今後も締結市町を増加させることを目指しており、これを促すために組合として研修会や各種大会等を通じて定期的な啓発活動を実施していく計画である。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
BCP策定は、組合及びモデル2企業で完了しており、本年度中に全組合員の策定完了が期待される。また、市町との支援に係る協定等は現在の7市町から将来全19市町との締結を目指している。


組合員BCP策定ワークショップの様子

組合では行政との連携に向けBCPに対する取り組み紹介を行っている

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滋賀県製麺工業協同組合

滋賀県産小麦使用の「近江ソフトめん」の開発と拡販

加工食品で新たなブランドを立上げ一定の支持を得ることは簡単ではない。本事業では、もともと学校給食で馴染みのあるソフトめんをクローズアップしたことが成功のカギとなった。

1.背景と目的

製麺業界は、小麦粉などの原料高や電気料金・物流コストの増加など、経費増加の傾向にあり、さらに競争激化により麺の販売単価下落が続き、収益が悪化している。

そこで、学校給食の人気のメニュー「ソフトめん」を家庭で味わえるように、滋賀県産小麦「ふくさやか」を使用した一般小売り向け商品を開発し、販路拡大 に取り組んだ。

2.取組みの手法と内容

この事業は、大きく「近江ソフトめんの開発」と「情報発信と拡販」の2つに分けられる。
①近江ソフトめんの開発
2017年度の地域特産品等販路開拓支援事業を活用して、「近江ソフトめん」の開発に取り組んだ。
当組合の6組合員は、滋賀県の学校給食事業に給食用麺として「ソフトめん」を供給しているが、委託加工であることからこの製品をそのまま当組合の商品として展開することはできないという制約がある。そこで、組合が独自に小麦の調達から製品化までを行うこととした。

②情報発信と拡販
近江ソフトめんは素材型製品のため、訴求力が弱いという短所がある。
そこで、この製品を使ったメニュー(レシピ)を公募することで、ソフトめんの特質を伝えながら、「近江ソフトめん」を使った「美味しいメニューを提案していく」という手法を採用した。
2018年7月21日に「滋賀県ソフトめんレシピコンテスト2018」を開催し、県民参加型の情報発信を行い、知名度を上げることや、地元信用金庫主催のビジネスマッチング事業への参加などを通じて、販路開拓などに取り組んだ。
本事業は、役員会の元に設置した「ソフトめん展開・実行委員会」が主に活動し、若手理事と事務局で計画的に推進した。
特に本コンテストはメディアにも積極的に取り上げてもらい、NHKや民放のニュースになるなど、インパクトのある成果を得た。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)

本事業で目標としたのは「取扱店の獲得」、「高単価商品でも成立するブランドに育成すること」、「参加組合員の増加」の3つである。
取扱店は当初の18店から32店舗に、参加組合員も当初の6企業から8企業に増え、販売価格も異例の78円/150gを堅持している。
現在では県内のスーパーや農産物直売所、道の駅などで土曜日限定販売が定着している。

コンテストには様々なレシピが応募された

コンテストには様々なレシピが応募された

レシピコンテストに参加された皆さん

レシピコンテストに参加された皆さん

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滋賀県電気工事工業組合

※人材養成(平成10年度調査)
組合所属の学院で工事技術者の育成を図る

滋賀県電気工事工業組合会館竣工を機会に組合員から会館有効利用の声があがり、内部に滋賀県認可の滋賀電気技術者専門学院を併設、組合組織をあげて電気工事技術者の育成に取り組んでいる

1.事業の背景
平成6年に電工組会館が竣工、組合員の要望を入れて第1種、第2種電気工事士国家試験の資格取得を目的に滋賀電気技術者専門学校の設立準備のため特別委員会を設けた。この委員会と理事会を頻繁に開催、滋賀県の指導と通産省の指定を受けて平成9年に学院を開設した。初年度にここで学んだ受講者は延べ330人に達している。予想を超えた多数の受講者に、組合事業としての技術者育成に自信が湧いてきている。

2.事業活動の概要
平成8年11月には、職業訓練法人滋賀県電気工事技術協会を設立し、会長には組合の理事長が就任、平成9年4月には協会内に電気技術専門学院を設立した。学院長には組合の副理事長が、顧問には理事長が就任し、組合役員が委員会の委員になり、学院の運営が行われている。研修内容としては、高校普通科卒業者を対象にした普通課程では1年間の夜間学習で所要単位を取得して卒業すると第2種電気工事士の免許が与えられる。短期課程は第1種、第2種電気工事士受験講座で、座学15日間、実技9日間である。講師は、関西電力、電気保安協会、電気管理技術者協会及びポリテクセンター滋賀から派遣協力を得ている。

3.成果
受験講座履修者の国家試験合格者は全国平均より、かなり高い実績が示されている。初年度の普通課程の修了者は30人、短期課程の履修者は300人に達しており、当初の予想を上回る受講者の増加に教室が狭くなってきている。受講者の増加で開講2年目にして運営に支障を来すほどで、教室の増設を検討しなければならない状況となっている。また、受講者は組合員以外にも開放されており、これらの受講者からも好評を得ており社会的貢献度は高いといえる。この実績を得たことで、組合が技術者育成に取り組むことについて自信を深めている。