滋賀県の事例

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協同組合多賀門前町共栄会

※商店街・中心市街地の活性化(平成14年度調査)
まちのみんなで創りあげてゆく「神様の住まうまち」

行政だけでなく地元の各産業や住民等との連携を図り、町ぐるみでソフト面、ハード
面の両方から「自律」と「持続」のできる、歴史ゆかしいまちづくりを進める。

多賀町は多賀大社の門前町として歴史ある街並みを有し、古くから栄えてきたが、近年交通利用の変化と共に人の流れも大きく変わり、かつての活況を失いつつあった。この危機的状況を打破するために任意団体として活動してきた多賀門前町共栄会は法人化により、施策を活用した積極的な取り組みによる地域活性化を目指して、平成12年に組合を設立した。
活性化の事業は多賀町が策定した「多賀町中心市街地活性化基本計画」と、TMOである多賀町商工会が策定した「中小小売商業高度化事業構想」に基づいて行っている。町や商工会だけでなく住民や交通機関、多賀大社など各種団体と共に形成した多賀町産業連絡会議を発足すると共にワークショップを形成することによって連携事業を検討し、合意形成の流れを作りつつ支援体制を強化している。
ハード面の整備であるファサード整備事業では門前町に相応しい調和の取れた景観づくり、店舗整備を進行中である。また、空き店舗活用事業として門前町の街並みにあった「絵馬館」を3カ所設置、憩いの場として多くの観光客が訪れている。この一方では、ソフト面の整備として、町の風土を守り、創造していく農業との垂直的連携による「そば」の特産品に取り組み、これを個店の業態化の検討と合わせて1商店に1つの名産を生み出す「一店逸品づくり」を行っている。これは「
そば」だけでなく、様々な産品について地元の農業ならびに製造業らと連携し、地産地消の持続あるまちづくりに参画している。
ファサード整備を行った地区においては、売上げ前年比1.5倍を達成するなど、各事業は概ね成功するに至っている。また、関連事業として小学生を対象にした商い体験塾事業を行い、地元住民と社会福祉との接点を強化するといったような目に見えない連携を重ねることで、地域が一体となることが各事業の成功の要因であり、活性化計画の次の段階へとつながる基礎となった。

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滋賀バルブ協同組合

※コラボレーションによる経営革新(平成13年度調査)
明確な役割分担と密な連携で環境にやさしい新材質開発

水質基準の改定に伴い、従来の製品では達成できないことから、新合金の開発が迫られた。そこで産官学が連携して各自が特化して研究することで、低費用で迅速な開発を進めている。

当産地は元々バルブと鋳造関係の組合が複数存在しており、重複する部分が多い状況を踏まえ、一本化が望ましいとの判断から合体して昭和62年に当組合を設立した。設立後は積極的に産地活性化を図る事業を推進していることから、空調やテーマパーク向けの製品は一部で好調であるが、ITバブルの崩壊で業界全体の売上が減少傾向にある。
平成12年に厚生省(現厚生労働省)が上水道の水質基準を厳しくしたことから、従来の材料では基準値を達成することが難しくなった。これを達成するべく、鉛レス銅合金材料技術の開発委員会を設けて事業計画を立てた。材料組成については関西大学材料工学科に委託し、強度実験については滋賀県東北部工業技術センターに依頼、鋳造や加工など生産技術的な研究に関しては組合員企業が担当した。大学でのルツボ実験だけではデータ不足ということで、大学の立ち会いで鋳造業者が鋳造テストを行う一方で、工業技術センターとバルブメーカーが強度面と加工性の面から連携して研究の情報交換をそれぞれ繰り返し行ってきた。費用は大学への研究委託料が年間50万円、鋳物業者とバルブメーカーへの材料代等が100万円となっており、このうち50万円を補助金収入でまかない、特別な賦課金は取っていない。
こうした緊密な連携を推進したかいがあって、初年度にあたる平成12年度に開発の見通しがついた段階にある。メーカーであるバルブ製造業者と供給先となる鋳造業者はこのどちらも組合員のために、新材料開発による利益を共有できる状態にある。コストや耐久性など応用面の研究と平行して、特許申請は大学との共願とした上で広く解放することで社会貢献と業界の活性化を目指している。開発成果の活用次第では新たな用途や販売ルートの構築も考えられ、大学との交流の進展は今後の様々な応用開発の可能性を秘めている。

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協同組合 近江てんびんの会

※受注・販売の共同化(平成13年度調査)
様々な地場産品が一堂に会することで相乗効果を実現

大型小売店舗に共同店舗を確保して、食品を主とした各種地場産品の共同販売をすることで、相互補完と相乗効果を発揮している。

滋賀県中小企業団体中央会の昭和60年度異業種交流事業に参加した企業が自主財源で活動を継続して協同組合を設立。地場産品の販路開拓とPRを目的に昭和62年に発足した。個々の企業だけでは出せない魅力を引き出そうと共同販売事業に取組み、県外の物産展にも積極的に参加して販促活動を行ってきた。
現在は県内大型店への共同店舗の確保、中核組合員店舗を利用した年間3回の特別企画の販売活動などが共同販売事業として行われている。これらの開催は販売促進委員会で起案し、三役の承認を得て組合員に伝達され、事業推進が図られており、販売物は各組合員の自主判断で品目と量を決めている。また、再就職を目指すシニアを対象とした製造・加工・販売の技能講習を行い、高齢者社会に対応して地元に根付くと共に、地域の活性化に大きく貢献している。
共同店舗の出店先の一カ所が、経営不振におちいるという障害に遭遇しているが、これにくじけることなく組合員が一致協力して危機回避に努めている。一方では、中核企業での販売促進イベントなどは例年好評であり、販売高も概ね好調に推移している。また、イベントでは自企業の商品以外の販売でも互いに応援して対処することがごく自然に行われており、組合員間の結束は固く、各事業への組合員の参加率も高いため、組合員間の任意の連携も盛んに行われて経営改善に寄与している。さらに、催事で得られた情報を基に、組合員単独では実現しにくい付加価値の高い商品を創出するに至っている。組合員の持つ潜在能力を組合の機能を活用して引き出す提案が組合員間の話し合いの中で示されていることから、これらを組合事業に反映させることで、今以上の発展の可能性は十分にあり、今後のさらなる発展が期待できる状況にある。

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こほくん商業協同組合

※循環型社会への対応(平成13年度調査)
行政との連携でまちを楽しくきれいに賑やかに!

空き容器回収機を組合のカード事業と連携させることで環境美化と商業振興を同時に推進。協賛店を多く持つことでカードの魅力を向上させて地元回帰の流れを大きくする狙い。

湖北町では近隣地区への消費流出が増加する一方で、投げ捨てられた空き缶の処理が地域のゴミ問題となっていた。これを憂慮した組合が、空き缶回収機を問題解決に役立てられないかと着目し、ポイント発行と回収システムを従来行っているカード事業と連動させれば、商店街振興と町のゴミ処理対策を一度に実現できると着想した。しかし、設備導入資金の確保がなかなか難しい。そこで、役場に根気よく働きかけた結果、予算化が認められて、機械の保守管理込みのリース費用は役場が負担し、カード発行費用は商工会が助成して、商工会と連携して本格的に事業を開始した。
発足当初は周辺自治体との広域回収があるのに何故独自で回収を行うのかといった意見や、手間が増えるのではないかという意見があり、必ずしも事業を歓迎する組合員ばかりではなかったが、回収量が増えるにつれて組合に還元される手数料収入が増加し、行政のゴミ処理負担が軽減される等の認識が浸透することで、前向きに取り組むようになった。
回収機は缶用とペットボトル用の二台を設置。それぞれ市販商品のバーコードを登録しておき、それを識別し、さらに異物は返却される仕組みで、缶はアルミとスチール、ペットボトルは有色と無色に分別して、同時に破砕する。メーカー別に回収本数も記録可能で、カードを入れて容器を投入することでポイントを加算する。貯まったポイントは組合員店舗や様々な業種の協賛店で金券として使えるだけでなく、町内にある金融機関への預金も可能だ。収容能力は各台とも3000個であるのに対し、現在一日当たり空き缶は2000個、ペットボトルは1000個を回収している。町の人口に比べて回収機の設置は少ない状態であり、台数を増やして、町から出る回収可能な空き容器の50%である130万個を回収の目標としている。
臨時収入になることもあって、町婦人連合会や小学生らも強く関心を持って、回収を積極的に行うようになった。街にポイ捨ての空き缶はほとんど見られなくなったことからも、公衆道徳の啓蒙および環境美化にも寄与していると言える。また、劣化前に速やかに回収されるためにリサイクル率が高いのも特徴である。周辺自治体にも同設備の導入が検討されており、導入されればまとまった量の資源が発生するため、取引が有利にもなり、飲料メーカーの協力も得やすくなることから、システム普及に事務局はデポジット制度等様々な構想を立てている。

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草津造園協同組合

※循環型社会への対応(平成13年度調査)
負担も軽く、ゴミも少なく、実用的な環境美化を実現

受注業務により発生した剪定枝葉の残滓を、チッピングプレスロータリー車によりチップ化することで処分費用の軽減と同時に環境改善に貢献。チップを堆肥にし、商品化も現在研究中。

草津市内の造園土木の業者10社で樹木の維持管理を効率的に行う事を目的に、平成5年に組合を設立した。共同受注を行うことで組合員の業績は概ね堅調に推移してきたが、植栽物の維持管理に伴い発生する剪定枝葉の処分に関しては、組合員の大きな負担になっていた。一般廃棄物の焼却場は許容量の関係で搬入制限を余儀なくされており、組合員各社の焼却処分には発煙公害の問題があった。
この対策として焼却炉建設案が浮上したが、管理運営や環境面から良策とはいえず、打開案を模索していたところ、組合員の受注した工事仕様にヒントを得て剪定枝葉のチップ化を研究開始した。全組合員が納得のいくまで繰り返し行った調査と研究会の結果、チッピングロ-タリ-プレス車を導入することとなった。
このリサイクル車は日曜、祭日を除いて全組合員に対する使用割当日を決めて、使用優先権の日を明確にすると共に、権利のある日に使用の予定が無いときには各自が交渉して使用しており、割り増し使用料で員外への貸し出しも行っている。以前では枝葉を運ぶのに5往復していたが、現場でチップ化することにより1回の運搬ですむこともあって、稼働状況は予想以上で、好調に推移している。
当初はチップをマルチング(樹木の周辺に所定の厚さで敷き詰める)することで一部消費していたが、堆肥化の構想が持ち上がり、チップのさらなる有効活用が望めるために堆肥の商品化を現在研究中である。二次破砕機にかけてチップを微細化し、効率よく堆肥を生産するために様々な条件下での実験が行われている。組合にとって堆肥は自己消費できる強みがあるが、今後低コストで付加価値の高い堆肥を開発し、同業他社の枝葉も引き取って堆肥生産を本格化される構想があることから、流通ルートを開拓することが課題である。

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八日市カードシステム協同組合

※IT革命への対応(平成12年度調査)
全国に先駆けて多機能ポイントカードシステムを導入した組合

デビットカード地方版に基づき加盟店が会員売上高に応じてポイントを会員に発行して、固定客確保と大型店攻勢に対処。流出客の防止を図るだけでなく、流出客増加に寄与している。

県商連のスタンプ事業が廃止されるに伴い、八日市市商店街連盟がそれに代わる事業を開発する必要があるとの認識の下、研究活動を続けていく過程で、「カード化事業開発委員会」を設ける事になり、2年間にわたり見学・研修を続けた結果、八日市市商店街連盟の殻に閉じこもることなく八日市市内の商店全てに対して参加募集し、デビットカード地方版を115店鋪の加入を得て発足させた。ポイント発行の要領は次の通りである。(1)末梢会員たる消費者が加盟店で購買活動に伴い、ポイントを発行する専用の一般ポイントカード。(2)ニコス・VISAとの提携によるクレジット機能付カード。の2種類があり、売上高の0.5%以上のポイントを発行する。
組合内に設けられている販促委員会で年間20回を上回る委員会を開催し、ギフト券販売キャンペーンを企画し割増ポイントを発行して会員増強を図る対策も実施している。加盟店は端末を操作し当協同組合に電信でポイント購入を申し込むと同時に、その代金はデビットカード地方版を利用して契約金融機関の加盟店に—-の口座から引き落とされて組合に自動的に納入される仕組みになっている。
組合本部のホストコンピューターと加盟組合員の店に設置された端末機は公衆回線で結ばれ、販売情報はホストコンピューターに蓄積されている。加盟組合員が販売情報の分析を組合本部に依頼すると、依頼された内容のデータが組合専従職員により出力されて組合員に配布される。組合員はこれらの情報に基づいて店鋪経営のノウハウが蓄積され、流出客の防止と流入客の増加対策に役立てている。組合員によっては、固定客の約50%を流入客が占めている例がある。ポイントカードのシステムと客層に適した商品企画のあり方が経営に反映されて、業績が比較的に良い傾向の店鋪が少なくない。

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協同組合 中小企業経営技術研究会

※外国人研修生共同受入事業(平成12年度調査)
外国人研修生受入事業で国際親善と技術移転に寄与

外国人研修生受入の共同事業に取り組み、今年で8年の実績を踏まえ、派遣元と受入れ企業両者から好感を持って受け止められている。

バブル景気の頃技能者不足に直面していたことから、国際研修協力機構(JITCO)のセミナーを受けた現在の組合員が、協同組合方式で外国人研修生の受入事業が可能になると、判断して有志企業に呼びかけて研究会を設け、事業の進め方について検討し、本事業実施に至った。
JITCOの指導により、中国科学技術交流センターを紹介され、同センターでは派遣元として瀋陽市国際経済合同公司を紹介したので現地に赴き、研修生の派遣受入の交渉を行い、瀋陽市科学技術委員会から第一次の研修生8名の派遣が開始された。当初は現地で面接した人とは異なる研修生が派遣されることがあるなど、派遣元の体制が整っていなかったこともあり、大変な苦労を伴うことがあった。その後互いに経験をつむに従い、事前に注意事項を教え合い、信頼関係が積み上げられ、今日に至っている。近くの第10次の受入が行われる予定である。今までに延べ受入人員は80名に達している。
受入に当たっては、外国人研修生受入部会を設け、受入企業が部会の委員になり、受け入れに伴う体制固めを行う。つまり、研修責任者、生活指導員、実務指導者を決め、研修生の受入が円滑に進められるようにしている。組合事務局では現地で面談に際して、契約書を研修希望者に記載させ、日本の企業で研修に従事する心構えを確認させるようにしている。更に、研修生と受け入れ企業の間では契約書を交わし、研修従事中の待遇などで不満が出ないように、研修受入れ前に配慮している。
さらに、企業が受け入れた後では、組合より定期的に生活指導の巡回を行っている。一方、受入企業では、組合事務局任せにしないで木目細かく指導することが何よりも大切との認識が生まれてきている。
組合では今までの経験が積み上げられ、研修生受入のノウハウが蓄積されていることに加え、今後日本での若年労働者・技術者の減少が続くと予想されることなどから、この事業に対する重要性は高くなるものと考えている。

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協同組合 今津ショッピングセンター

※小売業組合の共同事業(平成12年度調査)
R・F・M分析で固定客確保に威力発揮の共同店鋪

R・F・M分析を催事やDMに反映させ、固定客確保を確実にし、かつ、流出客の防止に務め、周辺に立地している大型店対策に所定の効果を得て、厳しい環境の克服に寄与

かつて盛況を極めた今津駅前の商店街が隣り町に数店の大型店が出店したため、その影響で流出客が増大し、売上高が著しく低下してきた。危機感を持つに至った商店街では新規に共同店鋪を設け、核店鋪を誘致する構想が立てられてた。地元に展開している量販店との交渉、共同店鋪のあり方などで7年間の年月を費やして、協同組合を設立するに至ったのが平成3年、共同店鋪のオープンは平成5年である。
共同店鋪の運営で特に力点をおいたのは、R(最終購買日からの経過日数)・F(商品購入の回数)・M(購買金額)分析である。この分析方法は1年間何の対策も講じないで放置すると顧客の再訪率が半減すると言うアメリカの経験則に基づき、DMのヒット率を高めるために開発された手法である。R・F・M分析が導入されるまではDMのヒット率は15%であったが、この手法が導入されてからは、ヒット率が35%を下回ることは稀になった。
実際にR・F・M分析を行ったところ、最終購買日から90日以上を経過した顧客の反応は殆どなくなる事が判った。経過日数Rは90日を起点にし、購買回数Fと購買金額Mを含めてA~Eにランク付けした上でDMを発送する資料に活用している。
当組合には催事委員会、データ委員会、ポイント委員会、広告委員会が設けられており。各委員会で企画検討された事項はこれらの委員会を統括する販促合同委員会で月当たり2回、協議調整の上執行される。更に他府県で商圏が類似ショッピングセンター3グループとの間で連絡協議会を結成し、成功、失敗の事例報告に基づく研究会を回り待ちの当番制で行い、ノウハウの蓄積に努めている。
これらの経営努力により周辺に大型のディスカウントストアや量販店が次々と進出しているにもかかわらす、組合員全店の今年度の売上高は前年の横ばいで推移している。また、発展的経営方針の下で組合を退会し、他に店鋪を集約するために空き店鋪になった後には、直ぐに新規加入の希望者が出てくるほど魅力ある共同店鋪になっている。

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近江特産品振興事業協同組合

※新たな販路・市場開拓(平成11年度調査)
安全な食べ物にこだわり食品検査と商品開発で事業展開

組合員の生産する商品の抜き打ち検査を行い、安全な商品を供給する仕組みを構築した。また、化学肥料を使用しない栽培法の古代米は、アトピー患者に歓迎されている

当組合は食べ物の安全性にこだわりを持つ生産者、加工業者、小売業者で構成されている。組合設立以来、滋賀県の定めた「食品自主検査実施要綱」に基づいて組合員の最終生産品を検査する「食品検査事業」を中心に事業を行い、さらに、江戸時代に「日の出」の呼称で栽培されていた古代米を蘇らせ、無農薬米「滋賀旭」として市場に供給することにも取り組み始めた。
組合員の生産品目は、乳類、食肉、佃煮、b納豆、醤油、お茶、菓子、豆腐、こんにゃく、パン、麺類、漬物などで、「食品検査事業」による抜き取り検査と組合員の要請による検査との両面で行い、消費者に安心して利用してもらえる商品の提供に努めている。販売先は、一般の小売店、百貨店、生協などである。消費者アンケートを行った結果、消費者が求めているのは、安全で、鮮度の良い商品であることが確認され、また、組合員の生産する商品の入手法についての要望も少なくなかった。
「滋賀旭」はアトピー症のボランティア組織「アトピット会」との交流を通じてアトピー症の回復に効果があることが実証され、この商品の栽培面積を増強することが検討中である。さらに、消費者参加による無農薬米の栽培が試みられ、今後の活動が期待されている。組合では「頑固産直」のマークを制定し、組合のイメージアップと魅力ある商品の開発普及に活用している。

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彦根仏壇事業協同組合

※青年部による組合活性化(平成11年度調査)
組合と一体になり、製品開発や情報化対策に取り組む

売上高の減少と従業員の高齢化、一部企業の後継者不足の問題に対処して青年部が一致協力してホームページによるPR活動、製品開発への取り組み等で魅力ある組合創りに取り組んだ

1.結成の背景
昭和50年に伝統的産業の振興に関する法律の指定を受け、会館が建設されたのを機に展示会を開催したが、出展にあたり、青年層が積極的に活動し、それがきっかけなって青年部が結成された。
彦根仏壇の組合員は仏壇の製造販売と、木地、宮殿、塗装、かざり金具、蒔絵、金箔、彫刻等の工部7職で構成されている。青年部員はどの部門からもほぼ同じ割合で参加していて、青年部の活動目的である後継者の育成と組合活性化への貢献を果たし得るにふさわしい人員構成になっている。

2.活動の概要
活路開拓調査事業では、合収壇(仏壇の両脇と床の間との空間に掛け軸、お経、仏具等を収納する目的で作られた壇で幅20~30cm、高さは仏壇にほぼ同じ)の開発が行われた。合収壇は仏壇の外観にふさわしい仕上げになっていて、正面から見ると仏壇と一体化されているように見えて、不自然さは全くない。開発品の販路開拓のため、展示会への出展、ホームページに組合のPRと併せて掲載するなどの活動に取り組んでいる。
インターネットの活用策に関しては、青年部が中心になって取り組み、PR効果が上がりつつある。また、特に展示会では重たい仏壇の搬出入を行わなければならないことから、青年部員は全員が協力することにしている。
組合の行事として仏壇供養が毎年実施されている。古い仏壇を引き取り、供養処分する事で、お客様へのサービスとして行われているが、この行事に関しても、青年部が全面的に引き受けている。

3.成功要因
組合理事が若い後継者に委ねるポイントをよく心得ており、青年部も労を惜しまず組合の各種行事に積極的に参加していることが成功要因といえる。
平成12年度は青年部創立20周年にあたることから、記念事業を行うことを決定し、青年部が全面的に事業企画を任されており、目下研究が行われている。これらにより青年部に対する親組合の信頼は非常に高いことがわかる。