滋賀県の事例

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滋賀県畳工業協同組合

※青年部による組合活性化(平成18年度調査)
高齢化する組合員に代わって組合活性化のために活躍

理事会への参加、畳技能者育成の講師派遣、消費者クレ-ム調査に基づく対策、新事業進出に備えた研修、技術向上研修などを通じて組合の知名度向上に活躍する青年部

1.背景と目的
工務店が大手プレハブ住宅メ-カに市場を侵され、地域工務店経由の受注を主体にしている組合員にとって受注が減少し、加えて、組合員企業の事業主の高齢化も伴って、組合の活性化を図るのは次を担う青年部に依存するのが最適との認識により、平成4年に青年部を結成した。青年部部長は理事会顧問、理事1名の枠も割当てられて理事会に青年部から2名が参加して親組合と青年部が一体になって活躍する組織面での体制を整えた。組合の活性化は青年部の使命、との認識を抱き、組合員の期待に応えるべく事業に取組んでいる。

2.事業・活動の内容
畳技能者育成の職業訓練校及び刑務所内での畳技能者育成のために講師を青年部から派遣し、後継者を育成して畳業界の次の担い手育成に寄与している。消費生活センタ-に寄せられた約1,000件のクレ-ムを分析して、安全性、品質、価格、などの分類に基づくパンフレットを作成している。新事業進出に備えて網戸張替え講習会を開催し、身体障害者施設で網戸33枚の張替えを行い実習とボランティアの両立を狙った社会活動を実施している。びわこフェスティバルではバザーに参加して、「ミニ畳、畳小物」などの販売で組合員の存在を知らしめると共に関連業界との交流に力を注いでいる。

3.成果(今後予想される成果も含む)
アメリカミシガン州クリントンタウンシップ姉妹都市交流使節団との交流で親睦を図りながら、「ミニ畳、畳コースター」製作の実演講習を実施し、アメリカ人に好評を得、国際交流に貢献した。目下検討中のホ-ムページ企画は畳の修理の依頼先が判らないで困っている新興住宅地、マンションの入居者に対するPRになり新しい顧客開拓の可能性を切り開く。更に、顧客台帳整備の研究が予定されているから、既存客の修理期限と思われる頃に消費者苦情に基づいて作成したパンフレットを持参訪問し畳需要を開拓する予定である。


網戸張替え講習会

アメリカミシガン州使節団との「手縫い畳」の実習講習

青年中央会まつり「びわこフェスタ」に出演

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ながはま御坊表参道商店街振興組合

※多種多様な祭りや催し物の開催により集客に効果!(平成17年度調査)
多種多様な祭りや催し物の開催により集客に効果!

馬酔木(あせび)展や各種の文化塾を数多く開催し、街には観光客や地元で賑わい、全国に向けて元気のある商店街で頑張っていることを発信している。

1.背景と目的
昭和50年代、車社会の伸展などにより消費者は大型店志向となり、当商店街は往時の賑わいを失ってしま っていた。そこで、もう一度商店街を活性化すべく「美しい街に美しく住む」という理念のもと、門前町として の個性を出して顧客を市街地に呼び戻し、地元の大通寺を現代に活かした、新たな商店街づくりが始まった。

2.事業・活動の内容
当商店街は、年間を通じて数多くの販売促進イベントを企画・実施している。代表的な催しとしては、馬酔 木展、曳山祭り、きもの大園遊会などがある。毎年盛況の「きもの大園遊会」では、1,000人を超える着 物を着た女性が参加し、商店街を回遊する。そのフィナーレとして大通寺境内に集う光景はまさに圧巻。 また、新事業として石畳の通りに600本(50鉢)のチューリップを並べたチューリップ祭や街路灯を整備 したりするなど、美しい街並みづくりも工夫を凝らしている。
このように、立地条件を活かした販売促進となる「仕掛け」をさまざまな趣向で企画・実施することで商店 街を顧客へアピールし、地元客や観光客から支持を得て、確実に集客効果をあげている。

3.成果(今後予想される成果も含む)
組合が代表して信頼できる回収・処理業者と契約するため、産業廃棄物の適正処理が可能となった。また、 回収業者は、個々の組合員事業所に巡回回収を行うことが契約条件に盛り込まれており、組合員の廃棄の手間 を省くことが出来、回収率がアップした。
成果としては、理事長のリーダーシップのもと、組合員のハート(心)の統一から、表参道や各店舗の改築と いうハードの完成、そして現在注力している祭りや催しなどのソフトの活性化と継続というように、事業を進 めるにつれ組合の「結束」は強まり、それに伴い集客も増加したことである。
また今後は、組合員の高齢化や後継者問題など、課題はあるが「我が街を共に守り発展させていく」という 組合全体としての意識を育てていくことで、後継者の育成に繋がりえると考えられる。


着物で商店街を回遊


きもの大園遊会フィナーレ

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協同組合ヒップ滋賀

※産学官との連携による新事業展開(平成16年度調査)
産学連携による共同研究開発で地域産業活性化を目指す

連携による共同研究開発には組合員の結束が必要不可欠であることから、組合員が組合の理念を再認識して研究に臨み、新事業・産業の創出を目指して事業化プロジェクトに取り組む。

滋賀県中小企業家同友会が平成11年に製造業部会(現在は新産業創造部会)を発足し、地域経済の活性化を目的とすることを鮮明にした。しかし、同友会は任意団体であり、学びあいと連携を事業化することが難しいことから、同部会に所属するメンバーによって組合を設立した。また、組合員各社は専門的な知識を新製品の開発や新事業の創出という場面に活かしきれていなかった。そこで、組合員の専門的な知識の有効な活用方法や弱点の補完について連携による研究を行い、新製品開発を通して地域経済の活性化に貢献し、同時に組合員同士が切磋琢磨することで組合員企業の経営革新が推進されることを目的として連携を行っている。
組合員の多数を占める零細企業は、大学へ相談に出向くことを敷居が高いと感じることが多かったことから、最初に滋賀県内の各大学施設を訪問した。さらに研究会を開催するなど産学連携担当者と意見を交換するうちに連携の糸口を見つけだし、きっかけとした。最も連携の実績がある龍谷大学とはエコホームプロジェクト・エネルギーパックシステム研究会など、新製品の研究開発において連携を進めており、大学の研修室等は無償での提供を受けている。この他、成安造形大学、ポリテクカレッジ滋賀などとも連携による開発を行っており、他の県内外の大学についても訪問や連絡を密にすることで連携の体制づくりが出来ている。
利益優先で進めることなく、地域産業の活性化を目指しながら連携して取り組むという理念を改めて確認し合うことで組合員の結束を固め、殺菌装置の製品化などの成果に結び付けた。エネルギーパックシステムについては、現在学習教材がモニターテストの段階に入っている。最近は大学側からの提案もあるなど評価も高く、連携による新製品の開発はもとより、組合員が自社では対応ができないと諦めていた分野にも進出が可能であることに気づいたことも大きい。今後は事業見本市や事業交流会を独自に実施し、今まで以上に新しい連携の機会を増やしていく。

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滋賀県シニアテクニカルエンジニアリングパートナーズ企業組合

※経営・技術コンサルティング事業(平成16年度調査)
グループコンサルティングにより高い顧客満足度を実現

総合的な知識を有する企業OBが結集。顧客と共に現場で作業して企業が抱える問題を解析し、グループでコンサルタントを行うことによって問題解決を図り、効果を定着させる。

経営・技術コンサルティングを個人で行う場合、カバーできる範囲は非常に狭く、拡げるために常に学習は欠かせない。これに対し、コンサルタントグループで気の合った仲間と連携して行えば間口が広くなるし、顧客の対応も良くなる。そこで、理事長は同志を募ってコンサルタントグループを結成し、1年間お互いの技術内容の交換及び新しい技術についての討議を通し、仲間意識を作り上げた後に企業組合として事業をスタートした。
組合員は大企業の定年退職者で構成しており、平均年齢は63歳。組合員のうちISO9000主任審査員2名、審査員補2名、ISO14001主任審査員1名、審査員補3名。主な事業として、ISOの認証取得支援や中小企業の工場診断とそれに付帯する技術的援助、人事制度に関する相談等のコンサルタントを行っている。理事長は相談内容によって担当専任技術員を決定し、顧客の要求内容に応じて2人から3人のグループでコンサルタントを行うことによって、多方面にわたる技術内容に対応するとともにグループの有する総合力を発揮する。また、成果を企業に定着させるため、顧客企業内にも改善グループを結成してもらい、共に現場で仕事をして解析し、有効な結果が得られるまで共に努力、支援するという行動方式を採用している。
独立した事務所を保有していないことから、家賃等固定費がほとんどかからないこともあって2年目に黒字を計上することができた。コンサルタントに関しても納得のいく顧客満足度が得られていると考えられる。定例の会議では様々な角度から企業課題解決への方策が述べられることで、組合員のキャリアは活かされ、さらに高められている。コンサルタントという人の能力を活かす業務の性質上、今後もこれまでと同じく一件一件依頼企業の課題解決に誠心誠意取り組み、実績を上げることによって次の依頼に繋がるサービスの提供を心がけていく。

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滋賀県生コンクリート工業組合

※業種斉一性・包括性を生かした共同事業と組織活動(平成15年度調査)
再生骨材を利用した環境に優しい植栽コンクリート開発

従前より蓄積してきた再生骨材の利用技術を活用して、緑化ポーラスコンクリートを研究開発し、新たな需要の開拓を狙うと同時に環境負荷の低減を目指す。

生コンの出荷額は建設需要の低下に伴って年々減少傾向にあり、県下全域ではこの7年間に約3割の低下を見ているが、生コンの性質から発注される地域は限定され、新たな市場開拓の必要性が高まっていた。また、河川護岸工事に際しコンクリートブロックの利用は植物の生育環境を維持する事が出来ない問題を抱えている。この対策として、再生骨材の利用技術を活用したポーラスコンクリート(空隙構造を多く含むコンクリート)の開発を企画し、平成12年度中小企業活路開拓調査実現化事業の指定を受けた事を機に、河川環境保全への貢献と新規需要の創出を目的に取り組むこととなった。
植栽の対象には浄化作用が注目されているヨシを選定し、関係施設の視察調査を行った。また、組合所有の技術試験センターでポーラスコンクリートの植生基盤の研究を行い、力学的特性と植栽実験について立命館大学へ研究を委託した。また、実自然環境下における波浪や水深が「ヨシ」の生育状況に及ぼす影響を、琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センターを利用して、ヨシ生育実験を行い、従来の生育方法である「ヤシマット工法」を用いた植栽との比較を行った。
現在までのヨシ生育観察では、ヤシマットと比べてポーラスコンクリートで栽培した方が風・波に対する抵抗力があり、傾く事なく真っ直ぐに成長しており、防波柵も必要としないなどの点において優れていることがわかった。護岸に利用された場合のコスト面での有利性、環境へ及ぼす影響などについては平成17年度まで実験を継続確認することとしている。さらに、組合所有の技術試験センターが公的試験機関に準ずる認定を受けたことや、組合員の品質管理意識の啓蒙に努めていることなどから、組合員が組合事業に寄せる関心は強く、研究開発の推進にあたって積極的に協力する状況が見られる。現在、新たに下水汚泥スラグの利用法の研究に取り組んでおり、組合員が一体となり、今までに蓄積している技術的なノウハウを応用して環境問題に資すると同時に新市場の開発に取り組む方向を目指している。

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高島晒協業組合

※共同事業の新展開-新規事業の実施(平成15年度調査)
「和」をコンセプトにクレ-プ応用商品開発と市場開拓

一貫生産を可能とする特徴を生かして、輸入品に対抗できるブランド品を開発し、高年齢層にターゲットを絞って百貨店やウェブサイト等で直販することで収益性の向上を図る。

高島地区では江戸時代からちぢみ製品を生産しており、現在の前身である高島晒協同組合を昭和33年に設立した。当時は晒加工のみを行っていたが、組織変更を経て新しい加工技術に取り組み、染色加工、捺染加工を行うなど、一貫生産を可能として製品の付加価値を高め、現在では国内唯一のクレープ生産工場として全国に名を馳せている。しかしながら輸入製品との競合等から取扱高は年々減少しているのに対処して、経営資源の有効活用により新商品を開発し、販路を開拓することを目的とする。
新商品は和服や洋服だけでなく服飾雑貨も含めて、「和」をコンセプトに男性は60歳以上、女性は40歳以上をターゲットとして商品展開する。具体的には「絞り染め・製品染め」「墨流し」「手描き友禅」「高島縮」の、4つのシリーズ商品群とし、色、素材、バリエーション等、海外製品との徹底した差別化を図る。販売面ではマーケット開拓委員会を立ち上げ、ファッションプロデューサーとの連携でマーケティング面やブランド開発等の企画を推進する。販路は、専門店への持ち込みやウェブサイトの活用 など直販体制を構築することで利益率の高いビジネスを構築する。組合ではブランド名やロゴ製作を含めた産地全体の品質保証体制の構築を目指す。初年度となる平成15年度は中小企業総合事業団からの補助を活用することで発足し、以降5年間の継続事業として取り組むこととしている。
現在、商品は開発中であり、成果は次年度以降を待つこととなるが、組合員の中には独自に完成品を開発する経験を積んでいる者もおり、商品の開発に必要な感覚が個別体験で磨かれている事が共同開発に臨んで組合員の結束に役立っている。また、組合では従来から付加価値の高い製品を生産できる設備の導入に努め、一体となって取り組んできたことから、高島クレープの応用品が開発されることで、組合はもとより高島産地全体に及ぼす波及効果が期待できる。

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登り町グリーン通り商店街振興組合

※商店街・中心市街地の活性化(平成14年度調査)
エキゾチックでエコロジカルなEタウン

店の外観と街路灯など路面部を同時に整備することでまとまりのある景観へと一新した。また、環境美化活動を行いつつ消費者に専門知識を提供する場を設け、求心力を強めた。

任意団体として古くから活動してきた商店街は、アーチやアーケード建設、景観整備などにおいて組織的な活動を行ってきた。しかし、設備の老朽化に加えて空き店舗が増加し、売上額も減少傾向にあった。この空洞化に歯止めをかけて店の繁栄と会員の連帯感の高揚に努め、環境問題をテーマに活性化に取り組むため、平成11年に組合を設立した。
設立後すぐに共同化事業基本構想策定事業に取り組み、活性化に向けての基本構想を練り上げた商店街は中心市街地活性化法の適用を受け、平成12年度にファサード整備事業を行った。以前はアーケードとアーチを改装する構想もあったが、他の商店街の事例などを鑑みてアーケードを撤廃して昼間の店先を明るくする一方で、個店の外観はアースカラーの欧風調とし、さらに2階外壁にプランターを設置することで商店街は明るい街並みへと大きく変わった。これに続いて県の工事による街道整備が行われた。デザインなど商店街の意向が反映され、段差の少ない歩道などバリアフリー化を実現する事ができ、商店街もロゴマーク入りの旗をつけることで景観は一新し、イメージアップを図る事が出来た。
また、女性部組織が中心となって各店舗の専門知識を提供する「店先カルチャー教室」を開催し、毎月大きな賑わいをみせるなど店舗をアピールしつつ親しみやすい商店街を実現している。さらに空き容器回収機を設置し、景品を各個店商品のサービスチケットとすることで環境美化と商業をうまく連動させている。平成14年9月からはTMOの事業であるチャレンジショップを誘致し、空き店舗の活用と賑わいの創出、新規創業者の育成を目指している。
ソフト面の事業展開はまだ初期段階であり、売上高・客数等の増加の判断はもう少し将来に据え置きたいが、「気持ちよく歩ける商店街」という認識は地域住民の間で浸透し始めている。商店街では住環境と商店街の融和をより一層推進していく為、ファサードにおけるイルミネーション事業の計画も現在進行中である。

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協同組合多賀門前町共栄会

※商店街・中心市街地の活性化(平成14年度調査)
まちのみんなで創りあげてゆく「神様の住まうまち」

行政だけでなく地元の各産業や住民等との連携を図り、町ぐるみでソフト面、ハード
面の両方から「自律」と「持続」のできる、歴史ゆかしいまちづくりを進める。

多賀町は多賀大社の門前町として歴史ある街並みを有し、古くから栄えてきたが、近年交通利用の変化と共に人の流れも大きく変わり、かつての活況を失いつつあった。この危機的状況を打破するために任意団体として活動してきた多賀門前町共栄会は法人化により、施策を活用した積極的な取り組みによる地域活性化を目指して、平成12年に組合を設立した。
活性化の事業は多賀町が策定した「多賀町中心市街地活性化基本計画」と、TMOである多賀町商工会が策定した「中小小売商業高度化事業構想」に基づいて行っている。町や商工会だけでなく住民や交通機関、多賀大社など各種団体と共に形成した多賀町産業連絡会議を発足すると共にワークショップを形成することによって連携事業を検討し、合意形成の流れを作りつつ支援体制を強化している。
ハード面の整備であるファサード整備事業では門前町に相応しい調和の取れた景観づくり、店舗整備を進行中である。また、空き店舗活用事業として門前町の街並みにあった「絵馬館」を3カ所設置、憩いの場として多くの観光客が訪れている。この一方では、ソフト面の整備として、町の風土を守り、創造していく農業との垂直的連携による「そば」の特産品に取り組み、これを個店の業態化の検討と合わせて1商店に1つの名産を生み出す「一店逸品づくり」を行っている。これは「
そば」だけでなく、様々な産品について地元の農業ならびに製造業らと連携し、地産地消の持続あるまちづくりに参画している。
ファサード整備を行った地区においては、売上げ前年比1.5倍を達成するなど、各事業は概ね成功するに至っている。また、関連事業として小学生を対象にした商い体験塾事業を行い、地元住民と社会福祉との接点を強化するといったような目に見えない連携を重ねることで、地域が一体となることが各事業の成功の要因であり、活性化計画の次の段階へとつながる基礎となった。

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滋賀バルブ協同組合

※コラボレーションによる経営革新(平成13年度調査)
明確な役割分担と密な連携で環境にやさしい新材質開発

水質基準の改定に伴い、従来の製品では達成できないことから、新合金の開発が迫られた。そこで産官学が連携して各自が特化して研究することで、低費用で迅速な開発を進めている。

当産地は元々バルブと鋳造関係の組合が複数存在しており、重複する部分が多い状況を踏まえ、一本化が望ましいとの判断から合体して昭和62年に当組合を設立した。設立後は積極的に産地活性化を図る事業を推進していることから、空調やテーマパーク向けの製品は一部で好調であるが、ITバブルの崩壊で業界全体の売上が減少傾向にある。
平成12年に厚生省(現厚生労働省)が上水道の水質基準を厳しくしたことから、従来の材料では基準値を達成することが難しくなった。これを達成するべく、鉛レス銅合金材料技術の開発委員会を設けて事業計画を立てた。材料組成については関西大学材料工学科に委託し、強度実験については滋賀県東北部工業技術センターに依頼、鋳造や加工など生産技術的な研究に関しては組合員企業が担当した。大学でのルツボ実験だけではデータ不足ということで、大学の立ち会いで鋳造業者が鋳造テストを行う一方で、工業技術センターとバルブメーカーが強度面と加工性の面から連携して研究の情報交換をそれぞれ繰り返し行ってきた。費用は大学への研究委託料が年間50万円、鋳物業者とバルブメーカーへの材料代等が100万円となっており、このうち50万円を補助金収入でまかない、特別な賦課金は取っていない。
こうした緊密な連携を推進したかいがあって、初年度にあたる平成12年度に開発の見通しがついた段階にある。メーカーであるバルブ製造業者と供給先となる鋳造業者はこのどちらも組合員のために、新材料開発による利益を共有できる状態にある。コストや耐久性など応用面の研究と平行して、特許申請は大学との共願とした上で広く解放することで社会貢献と業界の活性化を目指している。開発成果の活用次第では新たな用途や販売ルートの構築も考えられ、大学との交流の進展は今後の様々な応用開発の可能性を秘めている。