従前より蓄積してきた再生骨材の利用技術を活用して、緑化ポーラスコンクリートを研究開発し、新たな需要の開拓を狙うと同時に環境負荷の低減を目指す。
生コンの出荷額は建設需要の低下に伴って年々減少傾向にあり、県下全域ではこの7年間に約3割の低下を見ているが、生コンの性質から発注される地域は限定され、新たな市場開拓の必要性が高まっていた。また、河川護岸工事に際しコンクリートブロックの利用は植物の生育環境を維持する事が出来ない問題を抱えている。この対策として、再生骨材の利用技術を活用したポーラスコンクリート(空隙構造を多く含むコンクリート)の開発を企画し、平成12年度中小企業活路開拓調査実現化事業の指定を受けた事を機に、河川環境保全への貢献と新規需要の創出を目的に取り組むこととなった。
植栽の対象には浄化作用が注目されているヨシを選定し、関係施設の視察調査を行った。また、組合所有の技術試験センターでポーラスコンクリートの植生基盤の研究を行い、力学的特性と植栽実験について立命館大学へ研究を委託した。また、実自然環境下における波浪や水深が「ヨシ」の生育状況に及ぼす影響を、琵琶湖・淀川水質浄化共同実験センターを利用して、ヨシ生育実験を行い、従来の生育方法である「ヤシマット工法」を用いた植栽との比較を行った。
現在までのヨシ生育観察では、ヤシマットと比べてポーラスコンクリートで栽培した方が風・波に対する抵抗力があり、傾く事なく真っ直ぐに成長しており、防波柵も必要としないなどの点において優れていることがわかった。護岸に利用された場合のコスト面での有利性、環境へ及ぼす影響などについては平成17年度まで実験を継続確認することとしている。さらに、組合所有の技術試験センターが公的試験機関に準ずる認定を受けたことや、組合員の品質管理意識の啓蒙に努めていることなどから、組合員が組合事業に寄せる関心は強く、研究開発の推進にあたって積極的に協力する状況が見られる。現在、新たに下水汚泥スラグの利用法の研究に取り組んでおり、組合員が一体となり、今までに蓄積している技術的なノウハウを応用して環境問題に資すると同時に新市場の開発に取り組む方向を目指している。