平成26年度

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おごと温泉旅館協同組合

地域連携による新たな事業展開
「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携を展開

多様な観光資源や高い効能を誇る温泉であるが、他の温泉地と比べ認知度が低いという潜在的問題に対応するため、「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携活動を展開

1.背景と目的
おごと温泉は、旅館の規模・コンセプトのバリエーションが豊富で多様な年齢層のお客様に利用されているが、来客エリアは関西~中部周辺までで関西の他の温泉地と比べ認知度が高くなく「認知度向上」が組合の重要課題となっている。長い歴史のある当組合の各旅館に10数年前から若い後継者が戻ってきたことを受け、元理事長針谷了氏が中心となり月例の勉強会「雄琴青経塾」を平成10年に立ち上げ、ここから生まれた有志の活動が発展して、さまざまな事業が展開されるようになった。

2.事業・活動の内容
(1)H18年:地域ブランド認定
温泉地としては日本で初めて地域ブランド(地域団体商標)に認定され、これが契機となり平成20年にJR旧雄琴駅が「おごと温泉」駅に改称された。
(2)H21年:地域資源活用事業の実施
平成20年にびわこ成蹊スポーツ大学の元水泳選手の若吉教授と出会い、健康プログラム作りの研究とマッチしたことから連携が始まった。平成21年には「美浴・美運・美食」をテーマとする[おごとヘルス・ツーリズム]をテーマに地域資源活用事業の認定を受け、本格的に3つの事業に取り組んだ。
(3)おごと温泉観光公園の活用
おごと温泉の中心部に、大津市おごと温泉観光公園があるが、同公園の指定管理者として魅力的な運営を行っている。
①屋根付き足湯
②足湯カフェ「COTOCOTOCOTTON」
③土産物産品の販売
④びわ湖の見えるガーデンの4つの機能を持つほか、5月10日を「おごとの日」として、地元野菜の販売などのイベントを毎年開催している。

3.成果(今後予想される成果も含む)
これらは、「認知度向上」という共通目標を持ち、それを具現化する事業推進体制や組合員間のコミュニケーションを基盤として、現在も多様な事業活動に進化・展開している。
具体的には、(1)「おごと温泉ハブ・ツーリズム」提唱への進化(①比叡山に一番近い温泉地②港のある温泉地③ハブ温泉④美美美の湯 美泊三昧)と(2)広域活動や公認への展開(①おごと温泉・びわ湖パノラマウォーク②温泉リーグに発展・公認)の2つである。


温泉地の拠点になっている「おごと温泉観光公園


温泉地周辺をノルディックウォーキング

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滋賀県麻織物工業協同組合

女性の登用(活躍)による事業・活動の展開(平成26年度調査)
近江上布の市場開拓を目指した女性視点の産地ショップ

エンドユーザーとの接点が少なく市場変化に対応しにくい業種特性を持つ麻織物工業において、消費者感度の高い女性スタッフにより産地ショップ運営や海外展開を実践している。

1.背景と目的
近江上布は、室町時代から当地に伝わる伝統的な織物で、染織から仕上げまでの工程が全てある全国でも数少ない産地である。しかしながら、消費者ニーズの多様化が進み従来の和装用反物としての需要が減る中、ファッション性の高い様々な織物製品に応用していかなければならないという状況にあった。
このような中で平成21年近江上布伝統産業会館のリニューアルを契機として、消費者視点を持ちながら感性の高い事業展開が行えることを期待して、女性を主体として産地ショップ「麻々の店(ままのみせ)」を設置し、エンドユーザーへの直接のアプローチを図ろうとしたものである。

2.事業・活動の内容
「麻々の店」は客層のほとんどが女性であり、女性消費者視点での「近江上布」を使ったオリジナル商品開発が求められていた。そこで、織物業としての業種特性から最終製品を作ることがなく消費者の反応を直接聞く機会の少ない組合員に代わり、消費者感度が高くクリエイティブワーク経験のある女性職員などを登用し、ショップ運営を行った。
具体的な取組としては、女性視点から製作した天然素材の麻製品の展示販売や、「フランス雑貨の店運営及びフランスへの留学経験」のある女性職員を中心とした海外の展示会への出展である。 特に海外展開は、女性職員の活躍により、フランスで開催された世界最大級の国際インテリア・デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展に繋がった。

3.成果(今後予想される成果も含む)
本事業への取組みにより、麻々の店の来客状況は観光地でもないにも関わらず夏のシーズンを中心に全国から来られ、年間4,000人程度が来館する。また、団体での来館も年間30団体程度あり、体験を中心に問い合わせの電話も急激に増えている。さらに、地元との連携の一つとして、愛知高等養護学校における実習教科として麻織物が決まり、畑でのおひきから布作りまで勉強するプログラムが動き出している。 これらの取り組みを通じて、組合や組合員企業には国産の麻製品をお求めいただく消費者の「生の声」が聞こえるようになり、麻生地の生産と並行した製品開発に対する意識が高まるだけでなく、近江上布の海外展開の足掛かりとなっている。


近江上布伝統産業会館「麻々の店」


国際インテリアデザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展