平成23年度

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高島織物工業協同組合

※地場産業(平成23年度調査)
高性能サイジング設備導入で綿織物「高島ちぢみ」産地を基盤から支える

①高密度の整経 ②混在型整経 ③処理量の大幅アップ ④超長尺への対応力向上 ⑤細番手化への対応という従来サイジング設備の抱える問題点を最新設備導入により解消。

1.背景と目的
高島織物は、いわゆるクレープ(綿織物)の有力な産地としてスタートし、本組合は組合員の事業を基盤から支える織物の準備工程のひとつ「サイジング工程」を一元的に処理して、組合員へと供給している。
組合員の主たる加工品は、衣料向けとなる「綿糸を強撚加工した生地(クレープ)」とタイヤ・ベルト・ホース・テントなどに使われる「産業用資材織物」の2つある。これらはいずれも資材として位置づけられ、非常に重要でデリケートな品質管理が必要となっている。この要求を実現するためには高度なサイジング設備が必要になるが、組合で稼働していた設備がすでに40年を経過しており、設備の維持管理に必要な部品が入手できないといった切実な課題を抱えていた。このような状況が続く中、高島市における地域産業支援策「地場産業活力強化基盤整備事業」を活用し、最新の高度サイジング設備を導入することで、長年懸案となっていた問題を解消するべく本事業に取り組んだ。

2.事業・活動の内容
本事業(新たなサイジング設備)は、①高密度の整経 ②混在型整経 ③処理量の大幅アップ ④超長尺への対応力向上 ⑤細番手化への対応といった今後の綿織物産業において想定されるニーズを満たすことを大前提として進められたが、これらの機能要求に対応するハイレベルのサイジング設備は、総額1億2700万円(附帯設備を含む)に上るものである。これらの設備更新資金は、地元・高島市の「地場産業活力強化基盤整備事業(8000万円補助)」も活用して調達し、最新設備の導入・稼働を達成した。

3.成果(今後予想される成果も含む)
組合員においては、東日本大震災を契機とする「節電ビズ」に対するニーズの高まりを背景に、クレープ地ならではの涼感が再認識され、男性用ステテコや寝装寝具(パジャマ・敷きパッド)などの動きが活発化し、「女性用ステテコ」も好調な売れ行きとなった。最新設備の導入により新たなマーケット・ニーズに応える高品質製品の供給が可能となり、来シーズンの受注も早期から相談があるなど、衣料用・産業用を問わず従来製品の効率化とも併せて産地にとって大きな成果を上げている。
今後、組合の最新設備の最大限に活用し、需要が回復しつつあるクレープや高い品質要求に応えなければならない産業用織物を根底から支え、新企画商品の提案や高級分野への進出など、広がる産地の可能性に期待が寄せられている。


導入された高性能サイジング設備


導入された高性能サイジング設備


加工された綿糸

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滋賀県旅館ホテル生活衛生同業組合

※災害対策(平成23年度調査)
災害時における被災者への旅館・ホテル入浴施設の提供

組合と滋賀県が「災害時における被災者に対する旅館・ホテルの入浴施設の提供に関する協定書」を締結し、大規模地震、風水害などへの危機管理体制を構築した。

1.背景と目的
本事業は、旅館ホテル業界が大規模災害発生時における支援活動として「被災者に対する旅館ホテルの入浴施設の無料提供」を滋賀県と協定締結したものである。
組合では、阪神・淡路大震災発生を契機に被災地支援や災害対策を県域の業界全体として取り組むべく検討をはじめ、財団法人滋賀県生活衛生指導センターと連携して、県域に広範囲で分布している多くの旅館・ホテルならではの支援活動を展開する構想が立ち上がった。
組合では実行性を高めるため内部で検討会を重ね滋賀県当局との折衝の後、「災害時支援協定」として締結し、官民が連携した支援対策が実現したものである。

2.事業・活動の内容
本事業における県との協定「災害時における被災者に対する旅館・ホテルの入浴施設の提供に関する協定書」のポイントは以下の7つである。
1.滋賀県知事は、大規模地震、風水害その他災害が発生した場合、被災者へ入浴利用の提供が必要と認めた場合、「入浴利用提供要請」により組合へ協力を要請(緊急時、電話等で要請)。組合は要請に基づき速やかに入浴施設を調整のうえ提供。
2.入浴利用提供に協力する施設は、提出した名簿の組合員。
3.県と組合は、実施責任者をそれぞれ指定し、「実施責任者届」により相互に報告。
4.実施期間は、組合に要請した日から仮設住宅の避難施設が整備されるまでの間。
5.被災者の入浴料は無料。
6.県は、終了した場合に、組合に「災害時における被災者への入浴利用提供終了報告」を提出。
7.入浴利用の提供に係る経費は、原則として組合(組合員)が負担。

3.成果(今後予想される成果も含む)
現時点では幸いにも県下で大規模災害が発生していないため、実際に組合員の入浴施設を提供した実績はない。しかしながら、本取り組みの意義や組合の社会的貢献度が高く評価され、マスコミにも取り上げられるなど業界のイメージの向上につながっている。また、東日本大震災に関しては、地震発生より迅速に情報収集にあたり、県に対しても避難者への宿泊施設提供を提案するなど、協定を締結したことによる官民ネットワークが効果的に動きだしている。
また、組合員においては万一の際、お世話になっている地元消費者に恩返しできる仕組みができたことや、経営者のボランティアに対するモラルの向上が図られるなど、意義のある成果・効果が出たと認識している。


協定調印式の様子


協定調印式の様子


災害時支援協定書