平成13年度

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滋賀バルブ協同組合

※コラボレーションによる経営革新(平成13年度調査)
明確な役割分担と密な連携で環境にやさしい新材質開発

水質基準の改定に伴い、従来の製品では達成できないことから、新合金の開発が迫られた。そこで産官学が連携して各自が特化して研究することで、低費用で迅速な開発を進めている。

当産地は元々バルブと鋳造関係の組合が複数存在しており、重複する部分が多い状況を踏まえ、一本化が望ましいとの判断から合体して昭和62年に当組合を設立した。設立後は積極的に産地活性化を図る事業を推進していることから、空調やテーマパーク向けの製品は一部で好調であるが、ITバブルの崩壊で業界全体の売上が減少傾向にある。
平成12年に厚生省(現厚生労働省)が上水道の水質基準を厳しくしたことから、従来の材料では基準値を達成することが難しくなった。これを達成するべく、鉛レス銅合金材料技術の開発委員会を設けて事業計画を立てた。材料組成については関西大学材料工学科に委託し、強度実験については滋賀県東北部工業技術センターに依頼、鋳造や加工など生産技術的な研究に関しては組合員企業が担当した。大学でのルツボ実験だけではデータ不足ということで、大学の立ち会いで鋳造業者が鋳造テストを行う一方で、工業技術センターとバルブメーカーが強度面と加工性の面から連携して研究の情報交換をそれぞれ繰り返し行ってきた。費用は大学への研究委託料が年間50万円、鋳物業者とバルブメーカーへの材料代等が100万円となっており、このうち50万円を補助金収入でまかない、特別な賦課金は取っていない。
こうした緊密な連携を推進したかいがあって、初年度にあたる平成12年度に開発の見通しがついた段階にある。メーカーであるバルブ製造業者と供給先となる鋳造業者はこのどちらも組合員のために、新材料開発による利益を共有できる状態にある。コストや耐久性など応用面の研究と平行して、特許申請は大学との共願とした上で広く解放することで社会貢献と業界の活性化を目指している。開発成果の活用次第では新たな用途や販売ルートの構築も考えられ、大学との交流の進展は今後の様々な応用開発の可能性を秘めている。

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協同組合 近江てんびんの会

※受注・販売の共同化(平成13年度調査)
様々な地場産品が一堂に会することで相乗効果を実現

大型小売店舗に共同店舗を確保して、食品を主とした各種地場産品の共同販売をすることで、相互補完と相乗効果を発揮している。

滋賀県中小企業団体中央会の昭和60年度異業種交流事業に参加した企業が自主財源で活動を継続して協同組合を設立。地場産品の販路開拓とPRを目的に昭和62年に発足した。個々の企業だけでは出せない魅力を引き出そうと共同販売事業に取組み、県外の物産展にも積極的に参加して販促活動を行ってきた。
現在は県内大型店への共同店舗の確保、中核組合員店舗を利用した年間3回の特別企画の販売活動などが共同販売事業として行われている。これらの開催は販売促進委員会で起案し、三役の承認を得て組合員に伝達され、事業推進が図られており、販売物は各組合員の自主判断で品目と量を決めている。また、再就職を目指すシニアを対象とした製造・加工・販売の技能講習を行い、高齢者社会に対応して地元に根付くと共に、地域の活性化に大きく貢献している。
共同店舗の出店先の一カ所が、経営不振におちいるという障害に遭遇しているが、これにくじけることなく組合員が一致協力して危機回避に努めている。一方では、中核企業での販売促進イベントなどは例年好評であり、販売高も概ね好調に推移している。また、イベントでは自企業の商品以外の販売でも互いに応援して対処することがごく自然に行われており、組合員間の結束は固く、各事業への組合員の参加率も高いため、組合員間の任意の連携も盛んに行われて経営改善に寄与している。さらに、催事で得られた情報を基に、組合員単独では実現しにくい付加価値の高い商品を創出するに至っている。組合員の持つ潜在能力を組合の機能を活用して引き出す提案が組合員間の話し合いの中で示されていることから、これらを組合事業に反映させることで、今以上の発展の可能性は十分にあり、今後のさらなる発展が期待できる状況にある。

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こほくん商業協同組合

※循環型社会への対応(平成13年度調査)
行政との連携でまちを楽しくきれいに賑やかに!

空き容器回収機を組合のカード事業と連携させることで環境美化と商業振興を同時に推進。協賛店を多く持つことでカードの魅力を向上させて地元回帰の流れを大きくする狙い。

湖北町では近隣地区への消費流出が増加する一方で、投げ捨てられた空き缶の処理が地域のゴミ問題となっていた。これを憂慮した組合が、空き缶回収機を問題解決に役立てられないかと着目し、ポイント発行と回収システムを従来行っているカード事業と連動させれば、商店街振興と町のゴミ処理対策を一度に実現できると着想した。しかし、設備導入資金の確保がなかなか難しい。そこで、役場に根気よく働きかけた結果、予算化が認められて、機械の保守管理込みのリース費用は役場が負担し、カード発行費用は商工会が助成して、商工会と連携して本格的に事業を開始した。
発足当初は周辺自治体との広域回収があるのに何故独自で回収を行うのかといった意見や、手間が増えるのではないかという意見があり、必ずしも事業を歓迎する組合員ばかりではなかったが、回収量が増えるにつれて組合に還元される手数料収入が増加し、行政のゴミ処理負担が軽減される等の認識が浸透することで、前向きに取り組むようになった。
回収機は缶用とペットボトル用の二台を設置。それぞれ市販商品のバーコードを登録しておき、それを識別し、さらに異物は返却される仕組みで、缶はアルミとスチール、ペットボトルは有色と無色に分別して、同時に破砕する。メーカー別に回収本数も記録可能で、カードを入れて容器を投入することでポイントを加算する。貯まったポイントは組合員店舗や様々な業種の協賛店で金券として使えるだけでなく、町内にある金融機関への預金も可能だ。収容能力は各台とも3000個であるのに対し、現在一日当たり空き缶は2000個、ペットボトルは1000個を回収している。町の人口に比べて回収機の設置は少ない状態であり、台数を増やして、町から出る回収可能な空き容器の50%である130万個を回収の目標としている。
臨時収入になることもあって、町婦人連合会や小学生らも強く関心を持って、回収を積極的に行うようになった。街にポイ捨ての空き缶はほとんど見られなくなったことからも、公衆道徳の啓蒙および環境美化にも寄与していると言える。また、劣化前に速やかに回収されるためにリサイクル率が高いのも特徴である。周辺自治体にも同設備の導入が検討されており、導入されればまとまった量の資源が発生するため、取引が有利にもなり、飲料メーカーの協力も得やすくなることから、システム普及に事務局はデポジット制度等様々な構想を立てている。

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草津造園協同組合

※循環型社会への対応(平成13年度調査)
負担も軽く、ゴミも少なく、実用的な環境美化を実現

受注業務により発生した剪定枝葉の残滓を、チッピングプレスロータリー車によりチップ化することで処分費用の軽減と同時に環境改善に貢献。チップを堆肥にし、商品化も現在研究中。

草津市内の造園土木の業者10社で樹木の維持管理を効率的に行う事を目的に、平成5年に組合を設立した。共同受注を行うことで組合員の業績は概ね堅調に推移してきたが、植栽物の維持管理に伴い発生する剪定枝葉の処分に関しては、組合員の大きな負担になっていた。一般廃棄物の焼却場は許容量の関係で搬入制限を余儀なくされており、組合員各社の焼却処分には発煙公害の問題があった。
この対策として焼却炉建設案が浮上したが、管理運営や環境面から良策とはいえず、打開案を模索していたところ、組合員の受注した工事仕様にヒントを得て剪定枝葉のチップ化を研究開始した。全組合員が納得のいくまで繰り返し行った調査と研究会の結果、チッピングロ-タリ-プレス車を導入することとなった。
このリサイクル車は日曜、祭日を除いて全組合員に対する使用割当日を決めて、使用優先権の日を明確にすると共に、権利のある日に使用の予定が無いときには各自が交渉して使用しており、割り増し使用料で員外への貸し出しも行っている。以前では枝葉を運ぶのに5往復していたが、現場でチップ化することにより1回の運搬ですむこともあって、稼働状況は予想以上で、好調に推移している。
当初はチップをマルチング(樹木の周辺に所定の厚さで敷き詰める)することで一部消費していたが、堆肥化の構想が持ち上がり、チップのさらなる有効活用が望めるために堆肥の商品化を現在研究中である。二次破砕機にかけてチップを微細化し、効率よく堆肥を生産するために様々な条件下での実験が行われている。組合にとって堆肥は自己消費できる強みがあるが、今後低コストで付加価値の高い堆肥を開発し、同業他社の枝葉も引き取って堆肥生産を本格化される構想があることから、流通ルートを開拓することが課題である。