滋賀県の事例

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滋賀県旅館ホテル生活衛生同業組合

理解されやすい目標を掲げ、産学連携で効果を見える化
住所 〒520-0806 滋賀県大津市打出浜13番22-202号
設立 昭和34年7月
出資金 非出資
主な業種 旅館、ホテル業
組合員 202人

背景・目的
コロナ禍で宿泊業が停滞するなか、滋賀県のシンボルである琵琶湖にも生態系の乱れや湖魚の減少など地球温暖化による様々な影響が出てきており、組合としても琵琶湖と共に発展し次世代にバトンをつないでいくことが重要だと感じていた。環境に配慮した取組を模索するなかで「アメニティのプラスチックゴミを0にする」など、第三者にも理解されやすいSDGsの3つの目標を掲げ、行動宣言をした。

取組みの手法と内容
SDGsに取り組むにあたり、内部体制として理事長の下に全理事で構成するSDGs推進委員会を配置し、目標ごとに3つのグループに分けグループ長を配した。また現状を把握するため、外部の行政・中央会・龍谷大学と連携し、プラスチックゴミ削減へ向けて的確な支援が得られる体制を構築した。

SDGs行動宣言時には記者会見を行いマスコミを中心に大きな反響を得たが、プラスチック製アメニティの代替には費用がかかるので普及がスムーズに進まなかった。そこでプラスチック製アメニティでは、消費量が一番多くわかりやすい使い捨て歯ブラシに絞って、使用量の調査及びCO2排出削減量の算定を行った。現状把握する中で、歯ブラシをプラスチック製から自然由来の代替品にしてもプラスチック含有量が減るだけでCO2排出量の削減にはつながらないことが判明した。プラスチック製アメニティの代替には費用がかかり、廃止はクレームにつながることから取組に否定的な組合員は一部存在しているが、先進的な組合員の事例紹介やメッセージカードによる宿泊客への周知啓発、協賛企業によるSDGs商品紹介などから、組合員の意識は高まりつつある。

行政において組合の活動は、他府県が行う補助金のモデルとなり、滋賀県においても行政のプラスチックゴミを削減する動きに影響を与えるなど、今後も官民が協力してCO2排出量の削減に向けた取組を進めていく

成果とその要因
アンケート調査では、組合員の約9割が「SDGs行動宣言後、アメニティに関しての意識が変わった」と回答し、既に約1/4が自然由来のアメニティに転換を図ったとしている。これは内部体制の整備と産学連携に加え、事務局が組合員への情報発信とコミュニケーションを図った結果によるものである。また、本取組によりSDGs宣言に賛同した数社のホテルが組合に加入している。

POINT

SDGs行動宣言に対する目標を掲げて組合員及び外部連携機関も巻き込み、行政やマスコミから情報を発信し、熱意ある役員と事務局が事業推進の機運を醸成していく。


取組紹介動画の収録風景


大学ブースでの取組紹介

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協同組合カーテクセンター湖北

新たな事業展開と収益性の改善による再チャレンジ
住所 〒526-0828 滋賀県長浜市加田町1371番地の1
設立 平成5年3月
出資金 27,000千円
主な業種 自動車整備業
組合員 5人

背景・目的
組合では、新たな事業展開や収益性の改善の必要性を感じていた中で外部からのサポートを受け、事業計画を検討・策定し、収益性の改善を目的とした「組合工場の車検オンライン予約システム構築事業」、新たな事業展開を目的とした「大型貨物自動車の整備車検体制の構築による新市場進出」という2つの事業を柱とする再チャレンジに取り組むこととした。

取組みの手法と内容
この取組では、理事長と専務理事がキーマンとなって事業計画を取りまとめ、事業を推進した。組合では新たな事業展開や収益性改善の必要性を感じつつも、貝体的にどうすればよいのかわからないまま時間ばかりが過ぎていた状況の中、中央会から中小企業連携組織等支援事業を活用した事業計画策定実施の提案があり、理事長と専務理事に中央会の組合担当者および専門家を交え、事業計画の検討・策定する研修を実施した。そこで「組合工場の車検オンライン予約システムの構築」と「大型貨物自動車の整備・車検体制の構築による新市場進出」という2つの方向性を見い出し、事業計画として取りまとめた。

総額4,400万円を超える設備投資を伴う事業であるため、事業を実施するか組合員間でも意見が分かれていたが、中央会からの補助金活用の提案も含めたサポートを受けつつ、理事長と専務理事を中心に理事会で話し合いを重ね、最終的には全組合員一致で事業の実施を決定した。また、オンライン予約システムは組合貴の営業現場での困リごとについて解決を図ることができ、テスト運用を経てスマホ対応を可能とし、限られた予算でより使い勝手の良いシステムとすることができた。

成果とその要因
最も重要な成果は、組合が新たな事業展開や収益性改善の必要性を感じつつも、具体的にどうすればよいのかわからないまま時間ばかりが過ぎていた状況の中、中央会のサポートを受けつつ、理事長と専務理事を中心に組合がどの方向に進むべきかを検討し決断、事業計画としてまとめあげたことである。

POINT

組合自らがどのような方向に進むべきかを検討し決断、事業計画としてまとめあげた。


高効率化された工場の照明


オンライン予約システムの画面

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滋賀県麻織物工業協同組合

組合員の意識改革を行い、SDGsの意識共有を実現
住所 〒529-1331 滋賀県愛知郡愛荘町愛知川32番地の2
設立 昭和32年1月
出資金 3,509千円
主な業種 繊維工業
組合員 7人

背景・目的
近年、当組合では持続的発展のため伝統技法を重要視する市場の意向を感じていたところ、ヨーロッパ進出の際にはオーガニック素材の使用等でSDGsへの取組みを当然のように求められるなど、SDGsへの取組みは産地組合として取組まなければならない喫緊の課題であった。これを受け組合内を確認すると、自然の素材を取扱い、伝統継承を担っている取組みそのものがSDGsであるにも関わらず意識が薄かったので、モノづくりの組合としてSDGsの実践を進めたいと考え活動を開始した。

取組みの手法と内容
事務局長を含めた職員2名がキーマンとなって活動を推進した。まず初めに中央会の主催するSDGsセミナーに参加して概要を把握した後、専門家派遣制度を活用してSDGs行動宣言書の原案を作成した。その後、組合員のなかで徹底的に話し合って宣言書を完成させた。

宣言書を完成させるまでには、地球規模のテーマであるSDGsの理想が高すぎ、できない事を宣言したくない等、SDGsへの取組みに対する組合員の理解が得られない状況だったが、事務局が中心となり個々の組合員との話し合いを重ね、SDGsとは大きな目的に対して動くプロジェクトではなく「今実施している事業内容から出来ているSDGsへの取組みを見つけ宣言する身近な活動」であることを組合員の中に浸透させていった。

行動宣言後には、近江上布伝統産業会館にてSDGsに関する展示会やスペシャルトークを愛荘町内の他団体の出演を得て開催したり、「SDGsと麻に親しむ夏休み」と題した子供向けワークショップを開催したりするなど、行政を含めた地域全体のSDGs活動を周知することができた。こうした取組みが企画会社の目に留まり、県内私立高校からSDGsに関する校外学習の申込みに繋がるなど、当組合のSDGsへの取組みが周囲に浸透しつつある。

成果とその要因
定性的な成果として、SDGs行動宣言書を作成し世の中に周知できたことと、組合員のSDGsへの意識を向上させ持続的発展のため新たな事業を模索する機運を盛り上げられたことがある。

要因は従前から地道に行ってきた組合事業の大半がSDGsの理念に沿ったものであったこと、これに加え組合事務局職員2名が中心となって組合員に対して粘り強くSDGsの意義を説明し続け、賛同する仲問を一人また一人と徐々に増やして進めたことにある。

POINT

組合事務局職員が、SDGs活動に対する揺るぎない信念を持ち、粘り強く周囲を巻き込み活動する強力な変革のリーダーシップを発揮することである。


SDGs宣言書


スペシャルトークの会場風景

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滋賀県テント・シート工業組合

業界の持続的発展を目指し、他府県の同業組合へも波及
住所 〒520-3022 滋賀県栗東市上鈎125番地3
設立 昭和55年4月
出資金 850千円
主な業種 衣服・その他の繊維製品製造業
組合員 8人

背景・目的
近年、学校教育を含め世間的にSDGsが浸透していくなか、入札や融資の条件に企業としてもSDGsの取組みを行っていることが求められている。理事長はびわ湖の環境美化活動を行っている知人から、びわ湖を有する滋賀県における企業の社会的存在意義を問われ、事業の様々な場面で発生する産業廃棄物の選別をきっちりと実施していきたいという想いから、SDGsの行動宣言を定めようとしたことが取組みのきっかけとなった。

取組みの手法と内容
推進体制として、坂東理事長を始め計4名の理事を中心に活動した。ただし役職や年齢に関係なく、一つのプロジェクトチームとして意見を出し合い一丸となって事業を推進した。

活動当初はSDGsとはそもそも何か、何をどう宣言すればよいのか全く分からない状況であり、ISO14001のように実際の数値目標を掲げないといけないと思い、行動宣言することに二の足を踏んだ時期もあったが、中央会の主催するSDGsセミナーを受けて数値目標は不要であることに気付き、行動宣言書作成を開始した。

行動宣言書作成を開始したものの、十人十色の組合員の意見をすり合わせることには苦労し、特に地球規模の話から目の前の日々の廃棄物処理に関する話まで、一つのテーマを話し合うにしても組合員によって温度差が大きいことに戸惑いを感じていたが、SDGsの専門家を交えた研修会を3時間ずつ計2回実施し、総合的な観点から一定のレベル感をもって話し合うことで、方向性を統一させることができた。

行動宣言後には、外部に対して積極的かつ丁寧に発信することで、全国各地の同業組合や県内の専門工事業組合へもSDGsを浸透させていき、活動の輪を広げることができた。

成果とその要因
成果は当組合のSDGs行動宣言書を作成できたことはもちろん、当組合のSDGsへの取組みが他府県の同業組合や県内の専門工事業組合へ波及したことである。要因は理事長のリーダーシップの下、積極的かつ事細かく丁寧にSDGsの活動内容を開示し、情報発信したことにある。

POINT

SDGs活動を内なる活動と捉えるだけではなく、理事長を筆頭に組合が積極的かつ丁寧に外部へ情報を開示し発信していくこと。


SDGs宣言書


SDGs宣言の具体的な取組み内容

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滋賀県広告美術協同組合

優良な屋外広告物による景観実現を目指すタウンミーティング活動
住所 〒520-0041 滋賀県大津市浜町9番30号
電話番号 077-525-8373
設立 昭和43年5月
出資金 1,310千円
主な業種 看板標識機製造業
組合員 35人

背景・目的・概要
街の中にある看板や屋外広告には違法なものや落下等の危険性をはらむものも数多く存在しており、これに対しては行政や組合もかねてから問題として認識していました。そこで組合ではタウンミーティングという手法により、この問題について業界と行政が意思疎通を図る場を設けました。タウンミーティングは、屋外広告物に関わる行政や業界関係者等が一堂に会し、実際に街歩きをしながら安心安全な屋外広告物・賑わいのある街・優良な景観を共に考え実現していくことを目的として実施されています。

取組みの手法と内容
組合が官公需適格組合としての価値向上に向けて開始したタウンミーティングは平成26年からスタートし、令和3年11月で通算8回目の開催を迎えました。毎回、開催 市町を変えて組合員及び各市町等の行政関係者が40~50名程度、参加して行われています。
【びわこタウンミーティングの構成】
「びわこタウンミーティング」は、[事前説明]→[街歩き]→[グループワーク]→[総括]という流れで実践されています。
[事前説明]
各市町の担当者は定期的に異動があるため、組合では毎回、(一社)全日本屋外広告業団体連合会・屋外広告物適正化推進委員会で作成された「オーナーさんのため の看板の安全管理ハンドブック」に沿った各種看板の安全管理の方法等を滋賀県の実情を踏まえて市町の担当者に説明を行います。
[街歩き]
参加者がいくつかのルートに分かれ、実際に地域内に設置されている看板を確認しながら街歩きをします。各ルートを担当する組合員が安全管理や景観上のチェックポ イントの説明を行います。
[グループワーク]
実際の事例を基に、屋外広告のあり方について業界と行政が共に考え、共通理解・認識を深める場としてグループワークなども実施されています。

【組合員への波及効果】
タウンミーティングは、屋外広告の先進事例に触れることが多いため、デザイン力の必要性を実感するなど一定の啓発効果がありました。また、行政担当者とのコミュニ ケーションを通じて行政の規制等に関する考え方を理解するなど、今後の実務に役立つ事業となっています。更に安全点検時にハーネスの着用が徹底されるようになるなど、労働条件の改善にも直接的なメリットがありました。

成果とその要因
各市町の担当者が人事異動により2~3年で入れ替わるため、タウンミーティングを通じて継続的に会合を持つことは組合にとって大きなメリットです。また、各地で専門 家が参加して景観に関する意見交換を行う「景観審議委員会」へ組合員が参加する体制が整い、業界の実情を景観コントロールの中に反映させ、各地の景観条例に好影 響を与えることができるようになりました。

看板を確認する組合員と行政担当者看板を確認する組合員と行政担当者

行政担当者とのグループワーク行政担当者とのグループワーク

事業・活動実現のキーファクター
第1回びわこタウンミーティングの開催に際し、滋賀県担当者が積極的に活動してもらえたことが契機となり、多くの市町担当者が参画されていることが実効性を高めています。
 

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滋賀県建築設計監理事業協同組合

官公需適格組合の価値向上に向けた技術力向上と社会貢献活動
住所 〒520-0043 滋賀県大津市中央三丁目4番28号 第弐ワークスワン3階
電話番号 077-522-1460
設立 昭和42年11月
出資金 3,380千円
主な業種 建築設計業
組合員 14人

背景・目的・概要
組合は、昭和42年に設立され建築工事の設計監理共同受注事業を主軸として、県の公的な建物等の建築設計を受注してきました。平成17年頃から、滋賀県における官 公需入札要件が変更され、BIM(*1)導入による技術力向上が求められるようになり本技術の習得に組合をあげて取り組まれました。また、近年の自然災害増加対策として滋賀県が多様な業界と防災協定を結んでいることから、組合の社会的価値向上のために協定を締結し社会貢献活動にも取り組まれています。
(*1): BIMとは「Building(建物を) Information(情報で) Modeling(形成する)」の略で、建築物をコンピューター上の3D空間で構築し、企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元化して活用する手法

取組みの手法と内容
組合では、平成17年頃から厳しくなってきた官公需の受注機会を増大させるために、官公需適格組合としての価値向上に向けて積極的に事業に取り組んでこられました。
大きく分けて「内的な取り組み」と「外的な取り組み」の2つになります。
「内的な取り組み」としては、全組合員がBIMのアプリケーション「ARCHICAD」の導入と利用技術を習得することで、官公需案件では必須となるBIMを基盤としたJV(*2)で受注を確保することを目指されました。
「外的な取り組み」としては、かねてから組合の活動が受注主体だけでは組合の存在価値が高まらないという問題意識があり、社会貢献活動の一環として2,000棟程度ある県関連施設の防災などに関する「災害時等における滋賀県所管施設の災害等緊急対策業務に関する協定」を令和元年に締結されました。
推進体制に関しては、組合の官公需案件への対応や災害協定における実務的な運用は、「業務受注委員会」が中心となって活動しており、日頃から建築設計に必要な地 域特性情報の収集蓄積を継続し、多様な設計ニーズに対応する基盤を構築されています。
(*2): JVとは複数の主体(個人や企業、公的機関など)が共同で事業を行うこと

成果とその要因
これらの取り組みの結果、組合では滋賀県立体育館や近江八幡市庁舎の受注など、大きな成果を挙げておられます。これについては理事長をはじめとする組合役員の積 極的な行政等への働きかけがありますが、導入していないと官公需案件のJVに参画できないというBIMの実用的な運用体制が全組合員で構築されたことが最大の要因となっています。

協定締結の様子協定締結の様子

BIM導入研修BIM導入研修

事業・活動実現のキーファクター
理事長をはじめとする組合役員のリーダーシップと積極的な行動力が成果を上げるエンジンとなっています。さらに、社会貢献活動を通じて行政等と連携し信頼関係が構築されていることも要因です。
 

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滋賀県旅館ホテル生活衛生同業組合

WITHコロナ時代を乗り切る組合組織力による社会貢献活動

コロナ禍というパンデミックが観光業に与える影響は甚大で、宿泊業という本組合の各組合員の危機感が非
常に高まっていたことが実現の背景にある。

1.背景と目的
コロナ禍の影響により、大手組合員が倒産したが、同ホテルの高いスキルを持つ従業員の受け入れを各組合員に呼びかけた。また並行して同感染症の影響は滋賀県において自然災害等の避難先のコロナ対応問題も引き起こしており、宿泊業と言う強みを生かした社会貢献の一環として、災害時の宿泊施設等の提供という協定締結に取り組んだ。

2.取組みの手法と内容
本取組みは、組合事務局:情報収集・各機関への陳情活動、組合役員:組織としての決断、中央会職員:情報提供・活動のPR支援という体制で推進した。具体的には、組合事務局が活動の軸となり、組合内部問題では倒産企業従業員の受け入れ先募集等の活動、地域社会関連では滋賀県との情報交換等を進めた。倒産企業の従業員受け入れは、高頻度に発信している情報(ファックスやレター)において具体的な募集要項を提示し、求人を募る方法を取った。
県との取組みとして、滋賀県が本年6月に策定した「新型コロナウイルスの感染防止対策を盛り込んだ避難所運営のガイドライン」における基準を満たす避難所として、当組合の組合員が受け入れるための協定を締結した。具体的内容は1)宿泊場所や入浴施設の提供、2)食事、食事場所の提供、3)避難者の名簿管理、4)県や市町の連絡窓口となる責任者の設置、5)市長が避難者を移送できない場合の送迎、などである。
コロナ禍の影響は甚大で、観光産業の一翼を担う宿泊業において大幅の稼働率低下による採算性悪化が顕在化し、組合内での危機感の高まりを背景に、組合役員のリーダーシップや組織力が存分に発揮されたことが事業推進のエンジンとなった。また数年をかけて組合員の参画意欲を助成してきた組合の活動が基盤にあることも大きい。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
上記の取組みにより、解雇された250人の従業員に対し約40件の求人が集まり、地域社会との関わりとして、滋賀県と本年10月5日に「新型コロナウイルス対策として『災害時における宿泊施設等の提供に関する協定』」を締結することができた。
また、数年をかけて組合員の参画意欲を助成してきた、情報発信や異業種体験、専門業者との連携といった組合の活動が基盤にあることも背景にある。今後発生が危惧される台風や地震等の災害時における組合としての迅速な対応が期待されている。

集まった求人票
集まった求人票

滋賀県庁において、「災害時における宿泊施設などの提供に関する協定」締結滋賀県庁において、「災害時における宿泊施設などの提供に関する協定」締結

 

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滋賀県産業振興協同組合

滋賀県内組合で初の取組み・SDGs行動宣言

本事業取組み動機となったのは、個別組合員の大手取引先がSDGsへの取組みを進めていること、および組合事業の停滞という2つの側面があり、実現のエンジンである。

1.背景と目的
当組合は電算機の共同利用など先駆的な取組みを重ねてきたが、時代の変遷とともに核となる共同事業を失いつつある。そこでこれまで培ってきた組合運営ノウハウや強み・弱みを洗い出し、今後の新規事業創出の判断材料にするため知的資産経営報告書を作成。その活動の延長として今後の活動目標の指針となるSDGs宣言を組合として滋賀県で初めて行った。

2.取組みの手法と内容
コンピューターの共同利用が廃止となり、金融事業の利用度が低下するなど停滞を招いていることを背景に新たな事業展開を模索。そこでまず当組合の強みを改めて見つめ直し、再構築するために知的資産の掘り起こしを行い、知的資産経営報告書の取りまとめを行った。その後組合創立70周年を節目に、世界的に注目されている持続可能な開発を目指すSDGsへの取組みを組合事業の方向性として共有し、その活動を推進することとした。
具体的には、「人の育成・労働環境の充実」「ものづくり企業としての技術革新や環境に優しい生産活動の推進」「社会貢献も含めた地域・社会との関わりの深化」の3つの柱を新たな共同事業のコンセプトとし、SDGs宣言の形で組合内外に基本姿勢を訴求することを目指した。
「人の育成・労働環境の充実」に関しては、パンフレット「SDGs行動宣言」を発行し、展示会等での活用など具体的な組合活動に展開している。
推進体制は、中央会における全体的な支援のもと知的資産経営報告書策定に関して専門家の支援を受けて推進、SDGs活動は理事長のリーダーシップのもとで組合員の協働による展開を図った。
今後の展望として、理念的な概念であるSDGsに対する各組合員事業所内部での理解促進及び具体的な改善活動につなげられるようにダウンサイジングしていくことが重要と認識されている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本組合は、理念「強存彊栄」を軸に結びついた異業種組合である。そのために組合員の結束力が高く、本事業に際しても①基本理念の共有、②新規共同事業開発の必然性、③個別組合員のビジネス上の要請という3つの要因が共有された。
特に③、大手取引先からのSDGsへの取組み要請に応えることは、現実のビジネスに貢献することが期待される。

啓発パンフレット作成の様子啓発パンフレット作成の様子

完成した啓発パンフレット完成した啓発パンフレット

 

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高島晒協業組合

特徴ある活動(平成30年度調査)
若手中心へのシフトで海外展開と人材育成を強力に推進

経営環境の変化や高齢化が背景にあるなか、若手を中心とした柔軟な取り組みの必要性を組合役員が認識したことにより、海外進出及び人材育成に繋がっている。

1.背景と目的
組合の晒(さらし)加工量は減少を続け、平成29年度には6万反を割る状況になっている。さらに重油や染料等原材料高騰や組合職員の高齢化及び市場ニーズの小ロット化等様々な要因から経営環境は悪化している。この状況を打開するために、気候風土の似た海外への販売と若手職員の採用及び育成、小ロット多品種生産への移行に取り組むこととした。

2.事取組みの手法と内容
①海外展開
平成26~29年度に「高島市地域創生事業」によりインドネシア及びマレーシアの市場調査とテスト販売を実施、以降中小企業庁「JAPANブランド育成事業」、ジェトロ貿易情報センター「地域団体商標海外展開支援事業」を活用することで、東南アジアへの進出を目指した。海外進出には柔軟な発想と行動力が必要であるため、組合役員はバックアップに徹し、若手組合員の2人と組合職員の営業部長による事業推進チーム中心として事業展開に取り組んだ。現在、新たな3ヶ年計画に取り組んでおり、今後3年間で5,000万円程度の売上を目指している。具体的には、現地デザイナーとのコラボレーションした生地の販売と小売業及びエージェント経由での製品販売であり、初年度にマレーシア、台湾、ベトナム、パリでの取引拡大を目指している。
②人材育成
当組合は職員の高齢化が進んでおり、今後退職による技術保持ができない可能性があることから、従来の単品大量加工の体制から小ロット対応型に取り組むために旧来の考え方を打破する必要が求められていた。そこで平成29年に地元の安曇川高校卒業生を5名新規採用し、ジョブローテーションによる技術承継及び多能工化に取り組んだ。今後も継続して若手の新規採用に取り組み、多能工化による生産性の向上を目指している。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
海外展開は、初年度に55反を出荷したが、一時的な珍しさが要因だったため継続取引には至らなかった。2年目以降は現地デザイナー等との連携が進んだことで、生地販売やストールを中心とした継続取引に至っている。人材育成は、地元高校から5名の新規採用が実現し、高島市からも地元雇用の場の拡大に期待されている。


海外販路開拓に向けた組合パンフレット


作成した英語版組合ホームページ

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滋賀県建具協同組合

新たな販路開拓・市場開拓(平成29年度調査)
顧客視点で「建具のある居住空間」を強力に提案

作り手の視点から、より顧客ニーズに沿った「建具のある居住空間」の提案をコンセプトにし、組合員の意識啓発と撮影技術の修得が成果を上げるカギとなった。

1.背景と目的
和の建具市場における生活様式の洋風化に伴う市場縮小という環境変化に対応するために、2010年度から建具デザイン集「しがたて建具デザイン集」の発刊に取り組んだ。2015年度には、これをより顧客視点に発展させ「建具のある居住空間」を提案することで需要を喚起すべく、デザイン集を大幅に再編集し「建具デザイン集『おうみ』」として新たに発刊することとした。

2.事取組みの手法と内容
本事業への取り組みは、約1年半をかけ5つのフェーズにより推進した。フェーズ1では、「しがたて建具デザイン集(第1版・第2版)」への取り組みにおける問題点として「業者視点であり顧客目線になっていない」点を抽出し、組合員の意識啓発を図った。フェーズ2では、「建具のある居住空間」をわかりやすく魅力的に伝えることをコンセプトとして決定し、「玄関・ホール」「リビング・ダイニング」など6つのカテゴリごとに組合員が実際に制作・納品した建具を中心とした空間写真を多数掲載するという編集方向性などを決定した。さらに組合員がそれぞれ魅力的な建具のある居住空間を撮影するための技術講習(フェーズ3)を経て新たなデザイン集を制作した(フェーズ4)。その後、本カタログを有効活用するための研修会を開催(フェーズ5)し、各組合員がそれぞれの販促活動へと展開するに至った。
本事業は、理事会の下にある研修会等の企画・開催をする第一部会内の「しがたてデザイン研究会」において、理事が中心となって推進された。この取り組みにより、本カタログで顧客ニーズを喚起し、当初のデザイン集により建具のバリエーションを提案するという一連の販促プロセスが確立した。また、2016年度には増加しているリフォーム需要へ対応するための共同チラシを展開するなど販促活動は進化しており、2年後を目途にWEB展開につなげたいとしている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本カタログは1,000部発行し、組合員が個々に活用するほか工務店などにも販売した。また、業界の全国大会での販売も併せて行っており、他府県の建具組合にも好評を得ている。これらの成果を生み出した要因は、顧客視点に立たなければならないという組合員の意識改革と、魅力的な居住空間を撮影するためにプロのカメラマンによる技術講習を並行して行ったことが大きい。


建具デザイン集「おうみ」


デザイン集の作成・活用のために研修会を実施