事例集

在宅勤務モバイルワーク

株式会社森田電器工業所

家電製品の製造、完成品組立に携わり半世紀以上、その生産能力は高く評価され、ジャストインタイム新人賞、職場創意工夫・化学技術庁長官賞のほか取引先様からも数々の表彰を受賞。各種電気製品製造、輸出に関わる規格(電気用品、UL等)、ISO9001、ISO14001を取得し、環境にも配慮した生産をしています。

本社所在地 彦根市高宮町1395
代表者名 代表取締役 社長 森田眞人
創業 1968年
従業員数 80名
ホームページURL https://www.moritadenki.jp/
導入ポイント ▼

  • ・ シン・テレワークシステムを体験し、社内使用ソフトとの連携や改善点などを検証
  • ・ 生産管理システムとの連動で製造現場の稼働状況を可視化
  • ・ 2022年度から月1日のテレワーク実施をめざす

テレワーク体験とテスト運用で
利便性を実感、導入のきっかけに

「メイドイン・ジャパン」の高品質な家電製品の製造、完成品組立に携わる株式会社森田電器工業所では、従業員の方々によるテレワーク体験・テスト運用を行い、導入に向けて準備を進めておられます。実際にテレワークを試してみての反応、導入に向けての課題や改善点、製造現場と連携した独自のシステム構想などについて、代表取締役の森田眞人社長にお話を伺いました。

属人化している業務を継続的、能率的に進めるために

「ものづくりの仕事は目で見て、手で触れて作業するものであり、テレワークでできることはない」と私自身も従業員も思っていました。しかし、弊社の人数規模では属人化している業務も多く、担当者が出勤できないとストップしてしまう作業もあります。コロナ禍の今、コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になったりすれば、一定期間出社することができなくなります。

たった1日の発熱で翌日からは元気でも検査結果が出るまでは自宅待機を余儀なくされます。5年ほど前、ある従業員が入院した時には、病状の回復を待ち、面会に行っては仕事の段取りなどを相談していましたが、もちろん今はそんなことはできません。そうしたことから、担当者不在で業務を止めないためにもテレワークが必要ではないかと考えるようになりました。製造業でテレワークができるのか、なにから進めればよいのかと思案していた時に滋賀県中小企業団体中央会から「中小企業テレワーク『はじめの一歩』支援事業」をご案内いただき、サポートを受けることにしました。支援ではIT専門家にご指導いただき、貸与いただいたノートPCにインストールされたシン・テレワークシステムを使ってみることに。既存の社内システムとの連携、使用してみての効果、課題などを検証し、従業員の意見や要望も取り入れながら、テレワーク体制を検討することにしました。

「リモートワークは不要」という先入観が大きく変化

対象者20名のうち15名がシン・テレワークシステムを体験しました。技術部の池田課長から個別にリモートデスクトップの仕組みや使い方の説明を受け、実際に会議室などからのリモートで業務をしました。古いPCの場合は、社内で使っているソフトの文字が小さくて見づらい、クリックしたいボタンが表示されないなど、若干の改善点はありましたが、新しいPCなら総務部の給与計算ソフトや生産管理部の管理ソフトも問題なく使えました。自宅に貸与いただいたノートPCを持ち帰り、発注業務を試したケースもありました。翌月の発注を月初めに済ませなくてはならないのですが、平日は通常業務で忙しく、これまでは毎月第1土曜日に休日出勤して作業を行っていました。テレワークにより半日で自宅から発注業務を済ませることができ、午後からは家族との時間に使えたと従業員も喜んでおりました。私は在宅ではなく、取引先との商談時にPCを持って行ったのですが、在庫確認などがその場でできるので、とても便利でした。
最初はみんな難しいのではないかと思っていたようですが、体験してみるとスムーズに操作できたこともあり、業務に使える、いろいろと応用もできるという手ごたえを感じています。何よりも「テレワークは不要」という先入観が大きく変化しました。

リアルタイムでの状況を共有できる製造業ならではのテレワーク体制を

テスト運用をしてみて、検討事項なども出てきました。例えば、従業員からは「在宅の際の勤務時間の管理がわからない」という意見が出たので、メールで業務開始と終了を報告することにしました。今後、勤怠を含めた就業規則を整備していきます。ほかにも在宅用に会社のPCを支給するのか、または個人所有のPCを使用するのか、その場合はセキュリティ対策も万全にしておかなくてはなりません。また、自宅のインターネット環境についても確認し、必要に応じてモバイルWi-Fiの貸し出しなども検討していきます。ペーパーレス化の推進も課題ですが、図面や伝票など紙の書類が多いので、まずはPDF化するなど、デジタル化に対応していきます。あとは、製造現場の状況をリアルタイムで共有できるシステムの構築を進めます。
現在、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」というプログラミング教育用に開発されたワンボードコンピューターをカスタマイズして、生産数や作業の進捗状況などを可視化できるシステムを一部の製造ラインで運用しています。これからは全製造ラインに拡大し、さらにはWEBカメラを設置して、倉庫の入庫状況もクラウドにアップするなど、いつでもどこからでも知りたい情報にアクセスできる体制を整備します。Zoomを使ったオンライン会議、社内のコミュニケーションツールとしてチャットツールの活用なども積極的に取り組んでいきたいと思っています。昨年末の彦根地域での記録的な大雪の日には徒歩で出社する従業員もいました。在宅勤務が可能になれば自然災害時の負担軽減にもなります。2022年度から月1日のテレワークを実施していきます。


※イギリスのラズベリーパイ財団がプログラミング教育用教材として開発したワンボードコンピューター。教育・研究用途だけでなく電子機器や産業機器分野にも活用の場が広がっている

VOICE技術者

  • 株式会社森田電器工業所
    技術部 池田昌隆 課長

    シン・テレワークシステムの仕組みや使い方を実際にPCを使いながら個別にレクチャーしました。最初は会社のデスクトップPCをリモート用のノートPCで操作することに戸惑っていたようですが、だんだんと感覚的に慣れてくるとスムーズに。使ってみることで「難しい」「テレワークなんて無理」というイメージが大きく変わり「在宅勤務で発注処理ができるのは助かります」と意欲的な感想も出ていました。

テレワーク業務の流れ

テレワーク『はじめの一歩』
ワンポイントアドバイス

「できない」という思い込みはありませんか?
株式会社森田電器工業所
代表取締役社長 森田眞人 様

説明を聞くだけではピンとこなかったことが、体験してみてなるほどと納得。ノートPCをお借りして、試してみると「こんな使い方もできそうだ」というアイデアが続々と出てきました。今回の支援を受けなかったら「できない」という思い込みから変わることがなかったと思います。テレワークできる業務は特にないと考えておられても、一度体験してみることをおすすめします。

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