大塚産業マテリアル株式会社
本社所在地 | 長浜市八幡中山町1番地 |
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浅井工場 | 長浜市大路町1637 |
代表者名 | 代表取締役社長 大塚誠嚴 |
創業 | 1987年 |
従業員数 | 国内拠点 142名 |
ホームページURL | https://www.otksm.co.jp/ |
- ・ 新工場と本社のリモート、テレワークにも対応するモバイルVPN環境を構築
- ・ 業務先行で始まったテレワークの中で浮き彫りになった課題を検証
- ・ 社内講習でテレワークの基本を意識づけ、浸透・拡大を図る
業務先行で見えてきた課題を解決し
多様な働き方を可能に
自動車の内装品を中心に、不織布成形技術で幅広い分野の事業を展開する大塚産業マテリアルでは、コロナ禍の緊急対応としてテレワークを開始。実施する中で見えてきた課題を検討、解決しながら、運用拡大に向けての取り組みを進めておられます。課題解決の施策やポイントなど、代表取締役社長の大塚誠嚴様にお聞きしました。
新工場の開設を機にテレワーク環境を整備
コロナ禍の前から、経営者同士の会話などでリモートワークやDX化が話題になることがあり「このままでは時代遅れになってしまう」と感じていました。まずは営業部の業務効率向上に、社外でパソコンを使える環境を整えようと営業社員にノートPCを導入。社内ではデスクトップPCを使っているので、ドッキングステーションに周辺機器を接続して管理し、営業や出張など外出する時にモバイルワークを行っていました。
その後、コロナ感染や家庭の事情などで出社できない緊急事態の対応として、他部署でも在宅でのテレワークが増え始めました。2022年8月、長浜市浅井地区に新工場を開設、本社とのリモートでの作業、今後のテレワーク対応も視野に入れたモバイルVPN環境を構築しました。希望者は上長に申請・許可を得て誓約書に署名すれば1年間VPNが利用可能となり、会社支給のノートPCに電子証明書をインストールすることで、VPN専用のID・パスワード入力で社内のサーバーに接続できるという仕組みです。証明書がインストールされたPCのみ使用可能とすることで端末を管理し、もし問題が起きた時にはシステム管理の方でシャットダウンができる体制にしています。また社内のデスクトップPCにもリモートデスクトップでアクセスできるという二通りの仕組みを整備し、これからのテレワーク業務拡大に向けて、営業部の10名がVPNを使った在宅勤務のトライアルを行いました。
業務管理、セキュリティ対策、就業規則、部署間での不公平感などが課題に
こうした中でいくつかの課題が見えてきました。コロナ禍での在宅勤務は業務体制もルールも整備されない中での急な対応であったこともあり、各自が使いやすいソフトウェアを使用しており業務管理ができず、セキュリティ面での対策も不十分でした。就業規則についてもテレワークに関しては未整備の状態、勤怠管理はスマートフォンで行っていましたが、打刻のタイミングなど曖昧なままでした。
また、テレワークの手順が社内で正しく周知されていないことも問題でした。例えば、事前申請が必要なことを知らずに在宅勤務を行い、事後申請になってしまうケースが多く、自宅のネットワーク環境に必要な設定ができていない、そのため外部からのデータの盗聴など会社の情報漏洩などの危険性がありました。営業部や業務部ではテレワークで行える業務が数多くありますが、製造現場ではテレワークできる業務は少なく不公平感も課題となっています。トライアルをしてみた営業部員からは、ノートPCの小さい画面や複数のモニターが使えないことから作業効率の低下、自宅で仕事に集中するための環境整備の必要性などの意見がありました。
課題を解決しながらテレワークで多様な働き方を
こうした課題を解決するために滋賀県中小企業団体中央会の「中小企業テレワーク『はじめの一歩』支援事業」を受けることにしました。ITコーディネーターに業務管理に活用できそうなソフトウェアをご紹介いただき、新工場に導入したシステムやセキュリティに問題が無いか専門家の視点で確認いただきました。また就業規則についても、社会保険労務士から総務部長に制定のポイント説明やテレワーク規定のサンプル資料をご提供いただきました。総務部長も自身で調べたりはしていたのですが、初めてのことなのでわからないことも多く苦心していました。ご指導いただいた内容を元にテレワーク規定の追加、就業規則の見直しをしていく予定です。そして社内での解決施策としては、テレワーク手順の周知とセキュリティ面の強化のためにルールの設定を検討、その中にVPN申請後、必ず社内講習を受講することを盛り込みます。端末の取り扱い、在宅勤務時の連絡義務など基本的なことから意識づけをしてテレワークの浸透、拡大を図ります。部署間の不公平感に関しては、製造部門の社員にもテレワークを理解してもらい、緊急事態など必要に応じて活用できることを丁寧に説明していきます。グループリーダーが体験し、製造部門で適用できる業務や体制を考えてもらうのも導入へのステップに繋がるかもしれません。製造業では対面でのコミュニケーションも必要ですし、フルリモートという勤務形態は想定していませんが、テレワークができる環境を整備しておけば、多様な働き方が可能になります。時間や場所に縛られない働き方を選べるほか、人材確保、離職防止、ワーク・ライフ・バランスの実現にも効果があるでしょう。課題を解決しながら運用拡大を進めていきます。
VOICE総務部
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BCP(事業継続計画)対策としてもテレワークは有効
BCP(Business Continuity Plan)は、自然災害やテロ、感染症流行、システム障害などの緊急時に事業を継続させ、復旧する計画・対策を立てること。事業継続性の観点からも在宅勤務ができるテレワークは有効です。またデータのバックアップ対策についても、本社の社屋は歴史のある建物で災害時のデータ消失のリスクがあるため、重要なデータは電子化してクラウド上に保管することも検討しています。
テレワーク業務の流れ
テレワーク『はじめの一歩』
ワンポイントアドバイス
業務分析をして見直すべきポイントに沿った導入を
営業としてはPCがあればどこでも仕事ができる環境が整備されたことで飛躍的に業務効率が上がり、時間の有効活用にもなりました。便利さやメリットを実感すると、もう元には戻れません。ぜひ早めの導入をおすすめします。ですが、ただツールやシステムを入れるだけでは業務改善にはなりません。業務分析をして見直すべきポイントを見極め、業務の本質に沿ったDX化が不可欠です。