事例集

在宅勤務モバイルワーク

山科精器株式会社

FA化に貢献する各種専用工作機械、船舶用ならびに発電プラント向の熱交換器、産業機械・船舶機関向潤滑機などを開発・製造、これまで培ってきた技術を医療の分野へ応用し、医療機器にも展開。高い技術力と提案力でお客様の課題をともに解決しています。企業活動を通じて環境・社会課題の解決と持続的成長の両方を目指しています。

本社所在地 栗東市東坂525
代表者名 代表取締役社長 大日陽一郎
創業 1939年
従業員数 140名
ホームページURL https://www.yasec.co.jp/
導入ポイント ▼

  • ・ 社員主導のテレワーク推進分科会を立ち上げ、導入準備開始
  • ・ 他部署への業務転換、申請制などフレキシブルな働き方を設定
  • ・ 支援事業にてアドバイスを受け、自社ガイドラインを発行

働き方改革を社員主導で推進、
テレワークで働く可能性を広げる

一般産業・自動車部品向けの工作機械、船舶・発電所向けの熱交換器や注油器、医療機器などの機械を開発・製造する山科精器株式会社では、すでにテレワークが浸透しており、今回は就業規則の整備などの支援を行いました。常務取締役の保坂誠様に導入の経緯、実施における課題の解決などについてお聞きしました。

常務取締役 保坂 誠 様

女性社員の引っ越しで導入したテレワークがモデルケースに

2019年、メディカル事業部の女性社員が結婚を機に関東へ引っ越すことになったので、テレワークを導入し、在宅勤務又はシェアオフィス勤務ができるようにしました。これがモデルケースとなり、親族の介護で通常勤務が難しいという設計部の男性社員が2例目としてテレワークを開始。2021年4月に働き方改革を社員主導で推進する「カエル委員会」を発足し、テレワーク推進分科会を立ち上げて、本格的なテレワークに向けた準備を進めました。

ちょうどそのころコロナ感染症が身近になりはじめ、万が一に備えての早急な対策の必要性もありました。まずは、テレワーク環境を整えるために、各部署にヒアリングを行い、共有または1人1台のノートPCとオンライン会議用のヘッドセットを全社員に購入。テレワークができる業務からやってみようとスタートしました。初年度は営業部、設計部、調達部、管理部で半数程度の社員が実施しました。その中で浮上した問題点が取引先との電話でした。会社に掛かってきた電話は子機に転送していましたが、テレワーク中は転送ができません。そのため、社用の携帯電話を増やしたほか、「モバイルチョイス」という個人の携帯電話に業務用の電話番号を付加し、業務での通話料のみを自動的に振り分けて会社に請求するというサービスを導入しました。さらにチャットツールもあると便利という要望もあり、LINE WORKSを導入。テレワークだけでなく、社内外での社員同士のコミュニケーション手段としても広がっています。

「テレワーク50%」を実現、モバイルワークへの活用も増加

テレワークを本格的に取り組み始めた2021年6月に業界新聞で、テレワークについての取材を受け、その中で「社内のテレワーク50%を実現します」と宣言をしたことが、追い風になりました。弊社としては、テレワークを増やすというよりは、社員にとって最適な業務環境を提供したいという思いでした。しかし、滋賀県内でもコロナの影響で緊急事態宣言が発令された時期とも重なり、社員140名のうち80名がテレワークを実施、常時ではありませんが50%は達成できました。

1回でも経験したと定義すると、事務系社員のほぼ全員がテレワークを実施しています。弊社では、希望があれば他部署への業務転換ができるジョブローテーションという制度があります。マルチなスキルを身に付け、ライフステージに合わせた働き方、キャリアプランを自分で考えます。テレワーク導入時にも、例えばテレワークでは在宅勤務が難しい製造部門から他部署への異動も可能としました。結果、社内からの大きな不公平感はありませんでした。実施のルールとしては、テレワーク希望の社員が所属長に申請します。時間の設定はなく「午前中のみ」「昼間のこの時間だけ」のようにフレキシブルに対応しています。また、営業や製造部門でも、出張などの移動や空き時間にノートPCのリモートデスクトップ方式で事務作業をしたり、工事状況のやりとりにタブレット端末をVPN接続して図面を見たりする、モバイルワークも増加しています。

自社ガイドラインを発行し、気持ちよくテレワークを進める

代表取締役社長 大日陽一郎 様

今回の滋賀県中小企業団体中央会の「テレワークはじめの一歩支援事業」では、就業規則の整備について支援を受けました。テレワークの概要、目的、今まで整理されていなかったルールや認識などを自社のガイドラインにまとめてみたのですが、テレワーク推進分科会で作成した草稿を社会保険労務士に見てもらい、アドバイスをいただきました。セキュリティ対策や安全管理の必要性、テレワーク勤務中の「中抜け時間」の取り扱いについても記載した方がよいと具体的なご意見をいただきました。

曖昧だったことを明文化して社員に一斉周知し、みんなが気持ちよくテレワークを実施するためのガイドラインとして発行することができました。今後はガイドラインの内容を就業規則にも反映していく予定です。コロナ禍で出社できない社員が出る中、業務が停滞しなかったのはテレワークの効果だと思います。これからは「出社しないと働けない」のではなく「どこででも働ける」環境を整えておくことが、働く可能性を広げ、人材確保ひいては会社の存続に大きく関わってくるでしょう。ただし、テレワークで効率が向上する人もいれば、下がる人もいて、やはり向き不向きがあります。テレワークによるメンタル不調が起きていないのは「無理なく、自分のペースで働き方や時間を考慮してください」というメッセージの発信がポイントとしてあります。

VOICE設計部

  • テレワークのノウハウで社内ワークスタイルにも改革を

    山科精器株式会社
    設計部 熱交設計課
    倉田隼輔 様

    受注から製品完成まで社内一貫生産体制でワンストップ対応できるのが弊社の強みです。現状では設計室から工場まで移動して打ち合わせをしていますが、パソコンとオンライン会議ツールを活用し、紙の図面や資料をデータベースで管理すれば、わざわざ移動しなくてもその場で、いつでも気軽に話をしながら仕事ができる環境が作れます。テレワークでのノウハウを生かし、社内のワークスタイルにも効率的な改革を進めていきたいと思っています。

TOOLテレワーク活用ツール

  • Chrome リモート デスクトップ

    職場のパソコンへのリモートアクセス、他のユーザーとの画面の共有。

    活用例

    自宅、出張先、現場などから会社のパソコンへアクセスしていつでも作業できる。

  • モバイルチョイス

    公私分計サービス。個人の持つ携帯電話から発信した通話料のうち、社用で使用した部分のみを会社の費用にできる。

    活用例

    個人の携帯に業務用の電話番号を付加し、取引先との連絡に使用。

  • LINE WORKS

    LINEのビジネス版のチャットアプリ。グループトーク、音声・ビデオ通話、メディアやファイルの送受信などの機能もある。

    活用例

    社内外でのコミュニケーションに活用

  • サイボウズOffice

    中小企業向けグループウェア。スケジュール共有、ワークフローなど、社内の情報共有やコミュニケーションを円滑にする機能が充実。

    活用例

    スケジュール管理、社内連絡、ワークフロー承認、決裁関係など。

テレワーク『はじめの一歩』
ワンポイントアドバイス

トップランナーのひと声が大きな推進力になる
山科精器株式会社
コーポレートデザイン部 部長
兼 総務課課長 古野智子 様

テレワーク導入に向けて、どのように進めればよいのかわからないかもしれません。弊社では、働き方改革のひとつとしてテレワーク推進分科会を立ち上げました。真剣に取り組んでプロジェクトを進めていると、さまざまな意見やそれに伴う影響が出始め、それに対応することが実施へのステップとなります。強い意思をもつトップランナーの「やろう」「やりたい」というひと声が、賛同する社員を増やし、大きな推進力になりました。

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