事例集

在宅勤務モバイルワーク

山分物産株式会社

1919年創業以来梱包資材を主商材として卸売業を営んできております。プラザ合意以降の為替自由化により、海外からの安価な建材及び梱包資材調達を進め、その後、輸入樹脂系原料を利用して自社で通箱・仕切板等梱包容器に加工組立を展開、現在に至っています。今後は更に生産設備の増強を図り卸売業から製造業への業種転換を進めていきます。

本社所在地 京都市下京区中堂寺北町18
滋賀営業所/工場 蒲生郡竜王町山之上2979
代表者名 代表取締役社長 松井貞広
創業 1919年
従業員数 22名
ホームページURL https://yamawake.co.jp/
導入ポイント ▼

  • ・ 営業職のテレワーク導入で直行直帰を促進し、残業時間削減
  • ・ 属人化していた業務を標準化し、正確でスピーディーな業務改善
  • ・ 会社の規模や業務内容に最適化した、有効活用できるシステムを構築

滋賀・京都・東京・岐阜の4拠点を結び
業務の効率化、見える化、共有化を

海外からの輸入資材の取り扱い、梱包・養生・産業資材、収納・木製什器などの企画・開発・加工・販売を行う山分物産株式会社では、営業職でのテレワーク導入を準備中です。自社の規模や業務内容に最適なテレワーク体制の構築を検討し、実施に向けた取り組みを担当しておられるストレージプランニングチームリーダーの長谷川一也様にお話を伺いました。

代表取締役社長 松井貞広 様

テレワークで直行直帰、営業職の業務負担を軽減

営業職は配送業務も兼ねており、バンタイプの社用車に滋賀営業所/工場で商品を積込み得意先を回る営業が基本です。外回りを終えて17時頃に帰社してから取引先への見積書作成や事務作業を行うと、どうしても遅い時刻までの残業になってしまいます。そうしたことから、できるだけ直行直帰ができないか、そのためにも空き時間や移動時間を活用できるテレワークが有効ではないかと5年ほど前から考えていました。

2020年に3代目(現会長)から交代した4代目社長がDX化推進を掲げており、またコロナ禍の影響もあり、営業職でのテレワーク実施に向けた取り組みを開始しました。まず、直行直帰をするには、帰宅後の社用車の駐車スペースの確保や配送がなく公共交通機関で営業に出た時など制限はありますが、テレワークやモバイルワークによる業務負担の軽減を目指しています。現状、営業担当者はノートPCを持って営業に出ていますが、それぞれの端末に機密データが保存されているのでリスクは非常に大きいと懸念しています。また各担当者が個人商店的な業務スタイルで、書類フォーマットも統一されておらず、データ管理も個人任せ、属人化していることも対応すべき問題です。そのため、最初にUTMを導入してセキュリティ対策を確立させ、販売管理ソフトの導入・運用の準備を進めています。現行システムから新システムへの移行は、トレーニングからはじめて、トラブルのないところまで慎重に並行する予定です。取引先にご迷惑をおかけすることのないよう、書類の管理や作成など営業の実務をこなせるまで6か月ほどを目安に移行しながら、徐々にテレワーク体制を整備していきます。

営業の業務を標準化、在庫管理、輸入品の為替計算も効率化

これまで各営業担当者のやり方でバラバラだった業務を販売管理ソフトの活用で統一し標準化します。取引先に見積書を発行し、注文が入れば受注確認書をメールやファクスで自動的に発行。社内では受注内容をブレークダウンして在庫確認、取り寄せが必要なものは発注、取り寄せ商品の納期や工程などの日程を調整して、見積書ごとのプロジェクトで事前に計画し、請求まで一連の業務を管理。

書類の流れが自動的に決まるため、作業の漏れがなく、効率よく業務を進めることができます。また各営業担当者が個別に発注していた仕入れが一括管理できるので過剰在庫の防止にも繋がるなど、在庫管理の面でも大きな改善が期待できます。さらに、輸入品の取り扱いでは、決済ごとに為替変動で同じ商品でも価格が変わるので、その都度原価に反映させて販売価格を計算しなければならないのですが、それも自動化により正確にスピーディーに処理ができます。現状の個々の端末でのデータ管理ではなく、サーバー内で情報共有することで、VPN接続すればどこからでも必要なデータを閲覧できます。現在1人の定年後再雇用の経理担当の従業員が、治療と仕事の両立のため会社のPCを貸与し在宅勤務ができる環境を作っていますが、本人の意向等もあって往復2時間半程かけて京都本社に通勤しております。将来的には本社にある経理部門を滋賀営業所に移すので、経理や他の部門にもテレワークが拡大し、京都本社、滋賀営業所/工場、東京営業所、そして新たに開設予定の岐阜工場、4つの拠点を連携させ、データの共有・加工、日々の業務管理を行うなど、全社規模での効率化、見える化、共有化を目標としています。

自社に最適なテレワークとは? 客観的な意見、アドバイスが参考に

テレワーク環境の整備については、システム導入の費用と得られる効果をシミュレーションし、効果が絶対に上回るという評価をしていたのですが、社内にシステムに関する専門的な知識を持つ者が居ないため、なかなか一歩先に進めないという状況でした。機器やソフトウェア会社の業者から提案やアドバイスはもらえるものの、各社の製品に紐づいた営業提案が多く、それが弊社の規模や業務内容に最適なのか、機能は優れているものの使いこなせるのか、他の選択肢や方法があるのか、判断基準がわからず決断することができませんでした。

そうした中で2022年春から滋賀県中小企業団体中央会の「中小企業テレワーク『はじめの一歩』支援事業」において、ITコーディネーターに、客観的な意見を聞かせていただき、自分たちの考えが適合しているのか、どんなステップで進めばよいかなどをアドバイスいただいたことは、とても参考になりました。何をどう選択すべきか、考え方の方向性は間違っていないのか不安でしたが、アドバイスのおかげで確信を得て、最終的には自分で判断することができました。支援を受ける以前の不安な状態では前に進めなかったと思います。おそらくどの選択をしても一長一短がある中で、今はアドバイスいただいたことを参考に導入したシステムをいかに上手く活用していくかが重要だと考えています。

事務所から、自宅から、外注先からサーバーに保存、工場からサーバーにアクセスしてデータを確認

工場にNC(数値制御)プログラムで加工するサンプルカッターがあります。事務所で設計したCADデータをSDカードに保存し、そのカードを工場のオペレーターに持って行く。カードを持って行くだけで行き来するのは無駄だということで、ひとまず光回線でデータ転送できるようにしましたが、今後はサーバーに保存することで事務所やテレワークで自宅から、あるいは外注した場合でも外注先から、オペレーターのパソコンからスピーディーにデータを確認することができるようになります。

テレワーク構想

UTM:コンピューターウイルスやハッキングなどの脅威からコンピューターネットワークを効率的かつ包括的に保護する管理手法。「UnifiedThreat Management(統合型脅威管理)」の略。

VPN接続:インターネットに仮想の専用線を設定し、特定の人のみが利用できるようにした専用ネットワーク。接続したい拠点に専用のルーターを設置し、安全にデータのやり取りを行うことができる。

テレワーク『はじめの一歩』
ワンポイントアドバイス

テレワークの付加価値が会社の発展にも繋がります
山分物産株式会社
ストレージプランニング
チームリーダー
長谷川一也 様

大企業に比べると中小企業は、テレワーク導入に消極的で情報格差を危惧していました。導入に向けてメリットを検証し、できることならもっと早くから取り組むべきだったと実感しています。費用対効果だけでなく、省力化、効率化で社員に時間的にも気持ちの面でも余裕が生まれて、仕事へのアイデアが浮かんだり、働く活力になったりという付加価値を得ることができるでしょう。結果、生産性も上がり、会社の発展にも繋がっていくと思います。

よりよいウェブサイト運営のために、このページに対するご意見をお寄せください。

このページは見つけやすかったですか?

このページの内容はわかりやすかったですか?

このページの内容は参考になりましたか?

その他、ご意見・ご要望等がございましたら、ご記入下さい