テレワークとは
インターネットなどのICT(情報適信技術)の利用により、本来勤務する場所から離れ、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方を「テレワーク」と言います。こうした勤務スタイルは「育児や介護による離職防止」「遠隔地の優秀人材の雇用」「災害時の事業継続」など多くのメリットをもたらします。
「テレワーク」には『在宅勤務』『モバイルワーク』『サテライトオフィス勤務』3つの形態があり、いずれも所属するオフィスから離れて仕事をするため、労働時間の管理方法など企業にあったルールづくりが重要です。
テレワーク導入による主な効果
従業員のワーク・ライフ・バランスの実現のほか、企業側、さらに社会にもメリットを生み出します。
企業のメリット
- 経営の効率化を進行
- 生産性を改善し向上
- 優秀な人材確保と流出防止
- リスクマネジメント(災害対策)
- 柔軟なグローバル対応の実現
従業員のメリット
- ワーク・ライフ・バランスの向上
- 通勤時間削減による時間の有効活用
- 育児・介護中でも就業可能
- 日常業務の効率が向上
- 企業との関係性が向上
社会のメリット
- 労働力人口減少の緩和策
- 女性・高齢者・障がい者活躍機会
- 雇用機会の多様化
- 環境問題への対応
- ICTリテラシーのボトムアップ
経営課題をテレワークで解決
テレワークを導入した企業では、事業運営面でのあらゆる効果が期待されます。
1. 人材の確保・育成
従業員にとって働きやすい環境整備は、優秀な人材を確保し、その流出防止に役立ちます。その結果、従業員はキャリアの継続が可能になり、企業は離職を抑止することができるため、人材確保・育成のコスト低減に繋がります。
- • キャリア継続に有効な在宅勤務という選択肢を提供できる
- • 働きたいというモチベーションの維持・向上を図ることができる
- • 休職などからの復帰後に個別事情に応じた多様な働き方ができる
2. 業務プロセスの革新
テレワーク実施にあたり業務の洗い出しを行う中で、業務の切り分けや業務分担が明らかになります。そ の際に仕事のやり方を改めて見直すことで、省略可能な業務の特定や業務の進め方などが改善されます。
- • 従業員の自立性が高まり、従業員間の業務上の役割も明確に
- • 業務分担の見直しや工程の最適化が図れる
- • ペーパーレス化やネットワーク上の情報共有により業務が効率化できる
3. 事業運営コストの削減
テレワーク導入による通勤費や出張費の削減、オフィスのフリーアドレス化(固定の席を決めずに、自由に席を選ぶことができる制度)を採用した企業では、備品やオフィススペースを大幅削減しています。
- • 営業拠点の統合や廃止、スペースを縮小
- • 従業員の通勤費や出張費、冷暖房や照明等のオフィス環境費用を削減
- • ペーパーレス化により、コピー機及び用紙の費用を削減
4. 非常時の事業継続性の確保
自然災害や感染症の流行等が発生した場合でも、テレワークの活用によって事業の継続・早期再開が可能になります。BCP(事業継続計画)の策定・実現に関しては、非常時に速やかに対応できるようテレワー クに慣れておくことが重要といえるでしょう。
5. 企業内外の連携強化による事業競争力の向上
コミュニケーションツール、情報共有ツールの有効利用で社内外の連携やマーケティングカが強化されるという効果があります。情報共有ツールの活用等により意思決定の迅速化や業務の「見える化」が実現で きます。
テレワーク導入の流れ
テレワーク導入に向けては「人事・労務」「ICT」「実施」の観点を意識した準備が必要となります。
- • 「人事・労務」:テレワーク実施者が適切な労働環境で働けるようルールを整備します。
- • 「ICT」:勤務場所を離れても快適に働けるようICTのシステムやツールを選択し導入します。
- • 「実施」:体制や企業内理解を得る方法、導入後に安定普及させていくため評価・改善します。
テレワーク導入プロセス(概要)
- • 導入イメージの把握
- • 導入プロセスの把握
- • 推進体制の樺築
- • 導入目的の明確化
- • 基本方針の策定
- • 社内の合意形成
- • 実施範囲の検討
- • 労務管理制度(就業規則・労働時間・人事評価等)確認・見直し
- • 社員教育・研修
- • ICT環境の確認
- • システムやツールの選択・導入
- • 運用ルール面のセキュリティ対策
- • 技術的なセキュリティ対策
- • 物理的なセキュリティ対策
テレワーク導入
令和3年度中小企業テレワーク『はじめの一歩』支援事業 事業概要
事業目的
県内中小企業におけるテレワークの導入支援により、感染症対応としてのテレワーク拡大の流れを後戻りさせることなく、多様で柔軟な働き方が可能な労働環境の整備を促進する。
実施期間
令和3年4月~令和4年3月
事業内容
総合コンサルティング事業
テレワーク導入・拡充の前提となる業務の洗い出しやワークスタイルの見直し等を提案、導入・拡充をフォローすることを目的に専門家による支援を実施。
約3か月間の支援期間中、3回以上(1回あたり2時間程度)、訪問またはオンラインでのコンサルティングを行う。
①導入支援
導入に向けたテレワーク試行を支援するための機器等を概ね1か月、原則無償で貸与。
貸与機器: 1社につきノートパソコン1台もしくはタブレット端末1台
ソフトウェア: Word・Exce|、遠隔操作ツール、コミュニケーションツール、WEB会議ツール、管理ツール、セキュリティツールなど
②拡充支援
効率的な運用ができるようセキュリティやルールの環境整備、対象従業員を拡大に向けての必要な支援を行う。
テレワーク導入研修
支援対象企業の従業員を対象にテレワーク導入の必要性やワークスタイルの変更などの業務見直しのモチベーション維持を目的とした訪問説明を1社1回以上実施し、希望がある場合は従業員向け研修会(オンライン型式も可)を実施。
『はじめの一歩』テレワークセミナー
県内中小企業を対象にテレワーク導入に向けて「はじめの一歩」を踏み出すためのセミナーを開催。
【令和3年度事業総括】
今年度は7社の支援を実施しました。導入するかどうかを検討中の企業、導入に向けての体制を構築中の企業、感染症対策などですでに導入している企業など、各企業の状況や問題点などをヒアリングしたうえで、lT専門家・社会保険労務士による課題解決に向けた提案や指導、試行用のパソコン貸与などを行いました。「導入の大きなきっかけになった」「経営者、社員ともに意識が変わった」「働きやすい環境が整った」と着実にそれぞれの『はじめの一歩』を踏み出すことができたようです。また業務の効率化や生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの充実、広域への人材確保など多様な可能性を期待する声も多く、今後さらなる推進、拡充をめざしておられます。滋賀県中小企業団体中央会では、引き続き県内事業者のテレワーク導入を応援してまいります。テレワーク導入や運用についで悩んでいる、日常業務に追われてテレワーク環境の整備まで手が回らないなど、サポートを必要とされるようでしたら、ぜひ支援事業をご活用ください。