人材確保(組合対象)

調査結果

調査結果1 人材確保状況に関して

人材確保状況に関して

人材確保状況に関して、「あまり採用できていない」「まったく採用できない」と回答した組合が、67組合中、40組合「61.2%」。うち、15組合が建設業となっており、建設業における人材不足状況は、深刻化している。また「まったく採用できていない」と回答した4組合における人材確保事業の取り組み状況を検証すると、人材確保事業を展開している組合は、1組合のみで、技能実習生募集を展開している。実施することができていない3組合の理由は「個社の採用活動と違い、組合としてどう取り組めばよいのかわからない」「どのように業界をPRしてよいのかわからない」という回答であった。人材確保事業を展開するにあたって、組合側の情報やノウハウが足りていない状況にある。人材確保の問題が深刻化している組合に対しては、他の組合の成功事例を紹介するなど、より多くの情報を提供することが必要になっている。

調査結果2 人材の募集状況に関して

人材の募集状況に関して

人材の募集状況に関して「68.7%」の組合が「まったく応募がない」「あまり応募がない」と回答している。調査結果2で「まったく採用できていない」「あまり採用できていない」と回答した40組合のうち38組合が、「ほとんど応募がない」「あまり応募がない」と回答しており、応募の有無が採用の結果に大きな影響を与えている。「ほとんど応募がない」と回答した11組合における人材確保事業の取り組み状況を検証すると、2組合が技能実習生募集を展開しているのみで、他の組合は、実施することができていない状況となっている。取り組むための課題として「組合員企業の中でも求める人材像が異なり、組合としては取り組みにくい」「人材確保(不足)の対策と異なり、具体的な支援内容等の設定が困難」「すでに個別の企業において人材確保についての取り組みを行っている」「費用負担をどのようにするか」などの回答であった。組合員企業ごとに条件が違うことで、取り組みをすること自体が難しく、実施することができていない。
反対に「十分に応募がある」「ある程度応募がある」と回答した組合の中で、特徴的な人材確保事業を展開している組合の事例としては、下記のような内容がある。

異業種製造業の組合

組合ホームページを開設・拡充し、全組合員のSDGsへの取組み姿勢をPRし、同時にポスター・パンフレットを作成して会社内外にて啓発活用している。

化学工業製造業の組合

専門職の採用確保のため大学に対する業界や企業の説明紹介事業を行っている。

調査結果3 採用する理由に関して

採用する理由に関して

採用する理由としては、退職、異動、休職による欠員のために補充する「欠員補充」が67組合中、52組合(77.7%)と大半を占めている。52組合の中でも、「まったく採用することができない」「あまり採用することができない」と回答した組合は32組合になる。その32組合においては、欠員が出たのにも関わらず、補充することが難しく、この状況が継続すると、事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があり、緊急性が高いと判断することができる。今後支援するにあたっての優先順位の参考として、緊急性の高い組合を提示する。

欠員補充、かつ、まったく採用することができていない組合
・繊維業の組合
・建設業の組合
・水道工事業の組合
・建設専門工事業の組合

反対に、事業拡大や業務量が多くなり「増員募集」をしている業界ではあるが、採用することができず「機会損失」に繋がりかねない業界も存在している。こちらの業界においては、人材確保の問題を解決することによる効果が大きい組合となっている。

増員、かつ、採用できていない組合
・外国人技能実習生受入の組合
・家電小売業の組合

調査結果4 採用の質、スピードの優先度に関して

採用の質、スピードの優先度に関して

「人材の質」「採用のスピード」の優先度に関する設問においては、「人材の質」を優先する組合が、67組中、49組合となり「人材の質」を優先すると回答が多くなった。但し、「人材の質」を優先する49組合中、26組合が「あまり採用できていない」「まったく採用することができない」と回答している。応募する求職者の質と企業側が求める質のズレに着目すると、採用できていない状況で、質を求め続けることで、採用に至っていない可能性がある。この問題の解決においては、質の高い人材を採用するために投資をするか、選考基準を緩和していく必要がある。

調査結果5 人材確保において、重要視する点に関して

人材確保において、重要視する点に関して

重要視する点としては、能力・スキル「34.3%」、性格「29.9%」、経験「13.4%」となった。調査結果4においても「人材の質」を優先するとあったように比較的に能力、スキル、経験などの「質」を重視する傾向にある。教育を通じて育成する体制が整っていないからこそ「人材の質」にこだわらないといけなくなり、教育体制の有無が採用に影響を与えていると可能性もある。

調査結果6 業界として求める人材の要件・人物像に関して(自由記述)

各組合が求める人材の要件や人物像としては、調査結果5の選択式の回答では、「能力」「経験」「スキル」に関する回答が多かったが、自由記述の回答となると「真面目」「やる気」「根気」などの性格や志向の方が多く書かれた結果となった。必要な経験やスキルなど、求めるものが具体的に明文化できないことも人材確保の課題となっている。

調査結果7 人材確保の方法に関して

人材確保の方法に関して

基本的な募集方法としては、ハローワークが最も多く56組合(83.6%)、知り合い、従業員からの紹介34組合(50.7%)と続く。有料の求人サービスを活用する組合も一部あるが、予算をかけずに採用する傾向が強い。実際に有料広告や有料の人材紹介を活用している28組合においては、「まったく採用できていない」組合はなかった。応募状況においても、「ほとんど応募がない」と回答したのは28組合中、2組合のみとなっており、予算をかけた方が、人材確保の問題の深刻化は避けられている傾向にある。

調査結果8 人材確保に関する課題

人材確保に関する課題

人材確保における課題としては、求人条件の改善が間に合っていない「41.8%」、会社の存在を多くの人に知ってもらえていない「25.4%」、会社の魅力を正確に伝えることができていない「19.4%」となった。求人条件は採用における根本的な問題となることが多く、求人条件が良くないと、他の企業に応募者が流れる傾向にある。但し、求人条件の改善を実施するには、改善するための原資(利益)が必要になり、採用の問題だけでなく、経営の問題も含めて、長期的な施策として考えていく必要がある。短期的な施策としては、「魅力の発信」が課題となっている組合が多い。まずは業界の存在を知ってもらうためにも、広報力の強化が必要となっている。

調査結果9 各組合の人材確保の取り組み状況に関して

各組合の人材確保の取り組み状況に関して

人材確保事業を実施している組合は、67組合中、13組合「19.4%」の2割程度になっている。過去に実施したことがあるが現在は実施していない組合は、4組合「6.0%」。必要はあるが実施したことがない組合は50組合「74.6%」となっており、人材確保分野の取り組みをしている組合は一部となった。実施している組合も、外国人技能実習生への取り組みが多くなっている。
下記表は、「A実施している」「B過去実施していた」「C実施したことがない」の3つの分類に分けて、人材確保の具体的な実施内容、実施するにあたっての課題、今後実施していきたいことについて調査した結果となっている。

現在実施されている具体的な取り組み

異業種製造業の組合
組合ホームページを開設・拡充し、全組合員のSDGsへの取組み姿勢をPRし、同時にポスター・パンフレットを作成して会社内外に啓発活用している。
化学工業製造業の組合
専門職の採用確保のため大学に対する業界や企業の説明紹介事業を行っている。
サービス業の組合
小学生、中学生、高校生を対象とした体験授業を活用し、職業観の育成に努めている。理容業の仕事内容をテレビでPRし、業界の理解を高めるように努めている。
建設専門工事業の組合
工業高校との交流事業

上記の組合は、具体的な事業を展開しており、組合としての先行事例として、他の組合にも知ってほしい取り組みとなっている。

実施するにあたっての課題

組合企業内における条件や環境の違い
人材確保事業を展開するための、運営スタッフが不足しており、実施することができない。
募集しても人がこない
組合として、人材確保事業を実施したとしても、応募者が少なく、実施しなくなった組合や集めるのが難しいと判断し、実施していない。

今後取り組んでみたい具体的な内容

宿泊サービス業の組合
今は若い人(高校生や専門学生)のインターンシップや合同説明会などをしたいと考えている。
化学工業製造業の組合
今後の人材にとって魅力ある業界、職場企業に向けて、団体のスケールメリットを活用した支援事業を実施し、質の高い人材確保に努めたい。
理容サービス業の組合
業種について親御さんの理解も求めるように努めたい
清掃サービス業の組合
合同面接会等の開催
家電小売業の組合
この業界に興味のある人材を発掘し合同面接会を開いてみたい。(ちなみに、人材の採用状況であるが、男性アルバイトと事務職は採用できている。)

調査結果10 組合として、今後取り組みたい人材確保に関して(選択式回答)

今後取り組みたい人材確保

今後取り組みたい内容としては、給与面以外に、求職者が魅力に感じる条件を探したい37組合(55.2%)、人材の採用に向けた業界のPRをしていきたい31組合(46.3%)、求人対象に合わせた適切な採用対策を講じていきたい22組合(32.8%)となった。調査結果8であったように、求人条件に対して課題に感じているからこそ、給与面以外の魅力を探したいというニーズが高まっている。また業界の認知度が低いと感じている組合が多いからこそ、業界のPRをしていきたい組合が多くなっている。
給与面以外の魅力を探す方法は、他社と比較して、「他社にないもの」または「他社より上回っているもの」を見つけていくことである。給与以外の魅力を探すためには、他社の取り組みを知る機会を作り、自社の立ち位置を知ることが改善への第一歩となる。同時に、適切な比較分析方法を理解し、発信していくノウハウも学んでいく必要がある。

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