滋賀県の事例

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滋賀県貨物運送事業協同組合連合会

後継者の育成/技術・技能の継承/人材確保・育成(平成29年度調査)
貨物運送業界で先進的な女性活躍社会の実現を目指す。

貨物運送業界では、ドライバーの高齢化が進む中でネット通販などの進展から貨物量が増大し対応しきれないという危機感が強く、新たな担い手獲得に期待感が高くなっている。

1.背景と目的
運送業界においては、平成2年の貨物自動車運送事業法施行以降、トラック運送事業の規制緩和によって新規参入事業者が20年で1.5倍と急増しているが、一方で慢性的な人材不足となっており、新たな担い手として女性ドライバーの活躍が期待されるなかで、その可能性を追求するためにフィージビリティ調査を行うこととした。

2.事取組みの手法と内容
本事業は、女性活躍の可能性を探索し、次の実践ステージにつなげるための第一段階として取り組んでいる。事業は、「調査ポイントの整備」「ヒアリング調査」「アンケート調査」「集計分析・取りまとめと啓発」で構成しており、ヒアリング調査は、傘下組合の中から3組合、さらに女性のリアルな声を聴くために滋賀県トラック協会に所属する女性経営者を対象に実施している。調査ポイント(視点)は以下の4つである。
①現状把握:経営状況/女性や若手ドライバーの雇用に関する現状
②問題意識:女性や若手ドライバーの確保の必要性/労働環境や雇用に関して
③改善への取り組み状況:改善への取り組み意識/改善への取り組み状況
④アイデア創出:参考にしている他業界の取り組み/施策アイデア
本事業では、連合会理事会の意思決定の下で事務局が「事業推進事務局」となり、中央会及び外部専門家の支援を受けて推進する体制で取り組んでいる。連合会及び傘下組合では「ドライバーの高齢化」という共通の問題点を持っており、これが喫緊の課題(悩み)となっているが、身近で具体的な取り組みの切り口となる他業界も含む女性の戦力化に関するケーススタディを成果目標としたことで、事業への取り組み意欲が高まりつつある。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本事業の調査結果を連合会の研修交流会において傘下組合の組合員に説明を行い、集計データ集・報告書として取りまとめている。集計データ集・報告書は組合員事業者の女性活躍に関するケーススタディとして活用できるツールとすることを目指している。次年度以降は、実践ステージへの移行が課題となるが、組合員企業においての実践事例を積み上げて水平的に取り組み事例が共有され、さらに進化されることが期待される。


女性経営者へのヒアリング


調査結果の報告

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滋賀県電器商業組合

地域活性化・地域社会への貢献(平成28年度調査)
滋賀県警察と連携し高齢者を事件・事故から守る活動

社会問題としてクローズアップされている高齢者の事件・事故に対する家電販売店というインフラを活用した組織的な対応が、組合員及び地域社会に評価されたこと。

1.背景と目的
滋賀県では特殊詐欺や交通事故死者数の高齢者比率が非常に高く、一方で家電販売店も大型店やネット通販との競争から新たな活路を切り開く必要性が高まっている。このような中、顧客とのかかわりが深い中小家電販売店の特性を生かし、日々の商売にもつながる社会貢献活動の一環として滋賀県警察と覚書を締結し、高齢者の見守り活動を開始した。

2.事取組みの手法と内容
平成27年の「高齢者を事件・事故から守る活動に関する覚書」締結を契機として活動に入った。 具体的には組合理事会を中心として取り組みの方向性を決定し、滋賀県警察本部・生活安全部及び交通部との調整の元に、滋賀県下の11の支部をベースに各組合員が日頃の顧客への営業活動を通じて見守り活動をするというものである。また、全国電機商業組合連合会と連動して年1回実施している「敬老の日の無料家電点検活動」を活用した防犯に関する啓発活動や、一部で取り組みが始まった地域の警察署との連携したイベントへの参画など活動は進化している。 推進体制は、組合としての滋賀県警察本部と締結した覚書をベースに、具体的な活動は各支部と地域の警察署との連携の中で実践するというものである。また、県警本部からの提供される生活安全に係る情報などを支部及び各組合員に発信すること、組合員の見守り活動を支援するチラシ等の作成などの実務支援を組合事務局が担うというように、連携体制づくりから実務支援まで一体となった仕組みが構築されている。 本事業への取り組みはスタートしたばかりのために今後のさらなる進化が求められるが、生活安全という地域密着の活動のため各地域の警察署と組合の各支部との連携が必須となる。現在、各警察署との取り組みが始まっているが、滋賀県全域の取り組みに拡張していくことが組合の課題となっている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
社会的意義の重要性から、組合員のステータスを高めるという機運が高まりつつある。組合支部と地域警察署との取り組みが始まったところも生まれ、組合員にも高齢者の顧客紹介など営業的な成果も出だしたことから、今後の組合内でのさらなる取り組み意慾の拡散が期待される。


覚書締結式の様子


組合で作成されたパトロールステッカー

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近江牛輸出振興協同組合

地域の魅力発信によるグローバル需要開拓(平成27年度調査)
「近江牛」を日本のブランドから海外のブランドへ

「肉牛生産者」「食肉卸問屋」「海外輸出業者」という素材生産から製販が一体となる異業種型組合を基盤とし、需要が高まる東南アジアを狙い重点的な活動を行った。

1.背景と目的
牛肉の国内市場が少子高齢化などの影響により縮小している中、欧米はもとより東南アジアにおいても和食の世界遺産登録などが契機となり空前の和食ブームとなっている。そこでこのような機会を見逃さず海外における近江牛ブランドの向上や販路開拓を推進するために、富裕層が増加している東南アジアに集中して事業展開をすることとした。

2.取組みの手法と内容
現在の組合事業は、近江牛の海外プロモーション・販売促進、国内での近江牛展示会のほか近江牛を用いた日本食文化の需要開拓などとなっている。特に販売促進・市場開拓事業に関しては、海外バイヤーの商談会やレセプションへの参加、百貨店やレストランへの売り込みを積極的に行っており、近江牛ブランドの販路拡大に向けた事業展開を行っている。
本組合は、「肉牛生産者」「食肉卸問屋」「海外輸出業者」を構成員に持ち、いわゆる素材生産~営業までの機能を持つ「一気通貫型」のビジネスモデルとなっている。海外輸出業者は、独自に営業活動を行うほか、現地の業者と連携して売込みを行うなど多様な販売活動を行っている。
事業推進においては、マーケティング面や組合活動の円滑化などに関して中央会のアドバイスを受け、実践面では、日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力のもとでフィリピンでの営業・商談・試食会などを開催するほか、滋賀県の協力を得て県の事業「観光と食(インバウンド事業)」による商談会などに参加した。
販売促進活動は、海外で実施されるものを含め年間2~3回、商談会に参加しており、海外へのプロモーションは理事長と専務理事が中心に行っている。国内で実施される商談会(インバウンド)には、海外に輸出していることで自信をつけてもらえるよう、若手組合員に交代で参加を促している。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
平成26年度実績は204頭となった。また、輸出先は順次拡大し、現在ではシンガポール・タイ・香港・フィリピン及びEUとなっており、特にタイではチェーン展開する飲食業との取引獲得に成功したことから、40%の売上構成比となっている。このような成果が出せた一番大きな要因は、一気通貫型の組合構造のため迅速な活動ができることにある。


海外で販売会を行っている


「近江牛」を使った料理の提案

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滋賀電設資材卸業協同組合

地域産業を担う人材の確保・育成(平成27年度調査)
技術革新に対応する最新知識武装型教育研修の展開

機能比較が可能な研修事業であり、メーカーにとっても一度に説明できるために、組合員各社を回って商品説明する手間が軽減されるという双方にメリットがある組合事業。

1.背景と目的
近年、電設業界は太陽光発電やLED照明など新しい技術が次々と出てきており、これら川上の技術革新による各種製品を流通させるために常に最新の知識を保有していなければ、顧客ニーズに応えることができないという状況に置かれている。そのため、組合員のスキル向上を目的として、定期的に組合内研修を開催することとした

2.事取組みの手法と内容
研修会は、ベテラン営業マン及び管理者を対象とした「営業研修会」と入社3年目(転職を含む)程度までの若手社員を対象とした「若手向けの営業スキル研修会」の2つで構成している。特に若手研修会は、各組合員企業が独自で開催することが難しいような内容をテーマに開催している。
営業研修会/年2回、若手研修会/年2回(2日間)を開催し、営業研修会は「営業スキル研修会」と「商品知識研修会」で構成している。商品知識は、新たな技術知識を習得することを目的としているが、毎年設定するテーマに沿って賛助会員である複数の大手メーカーに講師を依頼している。
平成26年度のテーマは、(1)営業研修会/①「できる営業に変身できる行動管理」②「HEMSを軸とした新たな需要創出お取組みの提案」、(2)若手研修会/「テーマ1:リニューアルに向けた資金調達法」「テーマ2:危ない会社の見分け方」とした。また、平成27年度は営業スキル研修会において「メンタルヘルス」、若手研修会において「エアコン」の勉強会を予定している。
今後とも新技術のみならず、エアコンや照明といったスタンダードの機器類に関しても、毎年のように新製品や新機能の追加などが発生することから内容をさらに充実させて、新しい知識の補充を繰り返してゆくとしている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
当組合の教育情報事業の特徴は特に商品知識の研修にある。一つのテーマ(主力商品カテゴリ)に絞りメーカー各社に特徴等を説明してもらい、研修参加者にとっては「複数のメーカーの特徴や機能比較」が1日でできるようになっている。そのため、顧客への営業活動において客観的な知識をもとに的確な提案ができるスキルをつけることができるという特徴がある。


研修会の様子


様々なテーマで研修が行われる

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おごと温泉旅館協同組合

地域連携による新たな事業展開
「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携を展開

多様な観光資源や高い効能を誇る温泉であるが、他の温泉地と比べ認知度が低いという潜在的問題に対応するため、「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携活動を展開

1.背景と目的
おごと温泉は、旅館の規模・コンセプトのバリエーションが豊富で多様な年齢層のお客様に利用されているが、来客エリアは関西~中部周辺までで関西の他の温泉地と比べ認知度が高くなく「認知度向上」が組合の重要課題となっている。長い歴史のある当組合の各旅館に10数年前から若い後継者が戻ってきたことを受け、元理事長針谷了氏が中心となり月例の勉強会「雄琴青経塾」を平成10年に立ち上げ、ここから生まれた有志の活動が発展して、さまざまな事業が展開されるようになった。

2.事業・活動の内容
(1)H18年:地域ブランド認定
温泉地としては日本で初めて地域ブランド(地域団体商標)に認定され、これが契機となり平成20年にJR旧雄琴駅が「おごと温泉」駅に改称された。
(2)H21年:地域資源活用事業の実施
平成20年にびわこ成蹊スポーツ大学の元水泳選手の若吉教授と出会い、健康プログラム作りの研究とマッチしたことから連携が始まった。平成21年には「美浴・美運・美食」をテーマとする[おごとヘルス・ツーリズム]をテーマに地域資源活用事業の認定を受け、本格的に3つの事業に取り組んだ。
(3)おごと温泉観光公園の活用
おごと温泉の中心部に、大津市おごと温泉観光公園があるが、同公園の指定管理者として魅力的な運営を行っている。
①屋根付き足湯
②足湯カフェ「COTOCOTOCOTTON」
③土産物産品の販売
④びわ湖の見えるガーデンの4つの機能を持つほか、5月10日を「おごとの日」として、地元野菜の販売などのイベントを毎年開催している。

3.成果(今後予想される成果も含む)
これらは、「認知度向上」という共通目標を持ち、それを具現化する事業推進体制や組合員間のコミュニケーションを基盤として、現在も多様な事業活動に進化・展開している。
具体的には、(1)「おごと温泉ハブ・ツーリズム」提唱への進化(①比叡山に一番近い温泉地②港のある温泉地③ハブ温泉④美美美の湯 美泊三昧)と(2)広域活動や公認への展開(①おごと温泉・びわ湖パノラマウォーク②温泉リーグに発展・公認)の2つである。


温泉地の拠点になっている「おごと温泉観光公園


温泉地周辺をノルディックウォーキング

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滋賀県麻織物工業協同組合

女性の登用(活躍)による事業・活動の展開(平成26年度調査)
近江上布の市場開拓を目指した女性視点の産地ショップ

エンドユーザーとの接点が少なく市場変化に対応しにくい業種特性を持つ麻織物工業において、消費者感度の高い女性スタッフにより産地ショップ運営や海外展開を実践している。

1.背景と目的
近江上布は、室町時代から当地に伝わる伝統的な織物で、染織から仕上げまでの工程が全てある全国でも数少ない産地である。しかしながら、消費者ニーズの多様化が進み従来の和装用反物としての需要が減る中、ファッション性の高い様々な織物製品に応用していかなければならないという状況にあった。
このような中で平成21年近江上布伝統産業会館のリニューアルを契機として、消費者視点を持ちながら感性の高い事業展開が行えることを期待して、女性を主体として産地ショップ「麻々の店(ままのみせ)」を設置し、エンドユーザーへの直接のアプローチを図ろうとしたものである。

2.事業・活動の内容
「麻々の店」は客層のほとんどが女性であり、女性消費者視点での「近江上布」を使ったオリジナル商品開発が求められていた。そこで、織物業としての業種特性から最終製品を作ることがなく消費者の反応を直接聞く機会の少ない組合員に代わり、消費者感度が高くクリエイティブワーク経験のある女性職員などを登用し、ショップ運営を行った。
具体的な取組としては、女性視点から製作した天然素材の麻製品の展示販売や、「フランス雑貨の店運営及びフランスへの留学経験」のある女性職員を中心とした海外の展示会への出展である。 特に海外展開は、女性職員の活躍により、フランスで開催された世界最大級の国際インテリア・デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展に繋がった。

3.成果(今後予想される成果も含む)
本事業への取組みにより、麻々の店の来客状況は観光地でもないにも関わらず夏のシーズンを中心に全国から来られ、年間4,000人程度が来館する。また、団体での来館も年間30団体程度あり、体験を中心に問い合わせの電話も急激に増えている。さらに、地元との連携の一つとして、愛知高等養護学校における実習教科として麻織物が決まり、畑でのおひきから布作りまで勉強するプログラムが動き出している。 これらの取り組みを通じて、組合や組合員企業には国産の麻製品をお求めいただく消費者の「生の声」が聞こえるようになり、麻生地の生産と並行した製品開発に対する意識が高まるだけでなく、近江上布の海外展開の足掛かりとなっている。


近江上布伝統産業会館「麻々の店」


国際インテリアデザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展

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協同組合きのもと北国街道商店街

※地場産業(平成25年度調査)
木のぬくもりともてなしで愛される安心なまちづくり

市町村合併を契機に商店街組織が立ち上がり、LED街路灯への改修やチャレンジショップを活用した高齢者向けサービスなどで地域と観光客に愛される安心なまちづくりを実現

1.背景と目的
商店街では、「商店主の高齢化による商店の減少」や「後継者不足」という根本的な問題を抱えており、これらが安全・安心かつ賑わいのあるまちづくり活動に対応できない原因となっていた。そこで、平成22年に組織的なまちづくり活動を推進するため組合による組織化を行い、「木のぬくもり」と「昔ながらの街並み」という地域の特色を生かしながら、住民にとっても訪れる観光客にとっても安全で安心かつ心安らぐまちづくり活動を行うこととした。

2.事業・活動の内容
「ほっとする街・きのもと」の具現化は、商店街(組合)主体のまちづくり活動と木之本地域全体のまちづくり活動を促進する連携組織活動の2つに分かれている。
組合としての独自の活動は、平成24年度に国の認定を受けた「商店街活性化事業」を活用して「①LED照明による街路灯改修事業及びその維持管理事業」、「②空き店舗活用によるチャレンジショップ事業」「③木彫りランプシェード製作体験・灯りイベント事業」、「④木のぬくもり体感スタンプラリー事業」、「⑤おもてなし研修事業」の5つの活動を行っている。
また、広域型の活動としては、長浜北商工会、奥琵琶湖観光協会、地蔵坂商店街(任意組織)と本組合による街づくり組織「KZOHN(Kゾーン)」を立ち上げ、「景観形成事業」や黒田官兵衛記念館に伴う「博覧会事業の推進」などにも取り組んでいる。

3.成果(今後予想される成果も含む)
事業計画において、平成26年度時点での目標として「来街者数の10%増加」、「商店街全体の売上高1%増加」の2つ目標を設定し取り組んでおり、具体的成果として、同商店街で4件、Kゾーンの地蔵坂商店街で1件の新規出店の計画が出されている。また、上記の広域的まちづくり組織活動の開始やチャレンジショップでの「弁当配達サービス」「飲食スペースの提供」などが高齢者サポート事業として機能しており、地域コミュニティの形成面での効果もでている。
本組合の活動は設立からまだ3年程度と短いが、当初から全国商店街支援センターの支援を受けることでまちづくりアイデアや知識・具体的活動方法に関するサポートを受けたことで早期に効果が生まれた。


「うだつ」のある街並み


LED化した街路灯

DSC_0057

木製ランプシェード

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滋賀県電気工事工業組合

※地場産業(平成24年度調査)
社会貢献の一環と太陽光発電による復興支援に取り組む

組合会館等に太陽光発電設備を設置し、売電収益の一部を東日本大震災被災地への復興支援に活用。同時に組合員の再生可能エネルギーへの取り組みを支援。

1.背景と目的
平成23年3月に発生した東日本大震災により発生した原発問題が契機となり、電力節減が社会的取り組み課題として大きく取り上げられている。原発事故は、全国の電力会社における原発の再稼働を妨げ、関西地区でも平成24年夏の電力需給はひっ迫する可能性が指摘された。
本組合では、「社会貢献が組合の将来を創造する」という使命の下、この緊急の課題に対応することと併せ、東日本大震災の復興への何らかの支援をする想いから「再生可能エネルギーである太陽光発電」に取り組むこととした。

2.事業・活動の内容
本組合で設置した太陽光発電施設は、「本組合事務所の電工組合会館/40kw」と「大津支部組合事務所/12kw」の2ヶ所であり、売電収益の一部を全日本電気工事業工業組合連合会を通じて、震災被災地の同業者の組合に寄付するとともに、設備自体を、「組合員の施工研修」「顧客説明会」「見学会」にも活用することで、組合員の事業活動を支える新たな基盤としている。

3.成果(今後予想される成果も含む)
売電収入は、今秋からようやく実現に向けて稼働したところであるが、現在の収入見込みは滋賀電工組会館/170万円、大津支部組合事務所/60万円程度と予測される。
[震災地への復興支援:寄付]
設備の減価償却費等の必要経費を除く収益を震災地の復興支援に向ける予定をしており、本年度は一定程度の収入を見込む中で、当面20万円程度の寄付を実施する予定である。これに関しては、全日本電気工事業工業組合連合会を通じた寄付を予定しており、この行動が他府県の電気工事工業組合に波及して全国的なムーブメントとなることに期待したい。
[組合事業への効果]
本組合の社会貢献事業は重要な柱であり、本設備による震災地への復興支援は組合全体にとって非常に意義のある活動として認識している。組合員においては、消費者への再生エネルギーの啓発活動として見学会などを企画したり、太陽光発電設備に係る技術研修等の場としてスキルアップするツールとして活用されると考えている。また、業界組合としての取り組みが広く伝わることで、多くの消費者の啓発につながると期待している。


組合事務所に設置されたソーラーパネル

太陽光発電情報モニタ


竣工検査の様子

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企業組合やじろべえのハウス

※地場産業(平成24年度調査)
高齢者・障害者を対象とした共生型デイサービスの展開

平成18年の介護保険法等の改正を契機とし、健常者と障害者がともに過ごせる「共生型デイサービス」施設を設置。季節や自然を感じられるサービスメニューを提供している。

1.背景と目的
平成18年4月より施行された新「介護保険法」や「障害者自立支援法」が契機となり、福祉制度は大きな転機を迎えた。そこで、高齢者のみならず障害者など弱い立場の方を一人でも救えればと考え、健常者と障害者がひとつの屋根の下で過ごせる「共生型デイサービス」施設の設置を目指した。施設の運営母体は、企業組合であり、中央会の支援を受け平成18年10月に設立し、1年後の平成19年12月10日に「やじろべえのハウス」としてオープンした。

2.事業・活動の内容
「やじろべえのハウス」は、共生型デイサービスのコンセプトの下、老人デイサービス事業を柱として視覚障害者サポート事業を含む2つの事業を行っている。
自然に恵まれた環境を生かして、季節や自然が感じられる工夫を行い、「①自家菜園での体験など」「②季節の湯の提供」「③季節の体験型イベント開催」「④視覚障害者への対応等」「⑤各種イベントの開催」「⑥誕生日などの記念日への対応」「⑦月2回のご当地名産の提供など利益還元」等の活動を行っている。
スタッフは、施設利用者の80歳以上の方と隔たりなくコミュニケーションが可能な60~65歳前後の年代で、すべて理念を共有する組合員である。
また、地域の民生委員との連携によるレクレーション情報の共有や、地域との交流活動の一環として「すぎのこ保育園」と連携し高齢者と園児の交流の場づくりをするなど、デイサービス施設の機能を超えた活動を行っている。

3.成果(今後予想される成果も含む)
設立当初の利用客は2~3人程度であったが、3年を経過した現在では23人と安定的な利用実績を上げ、昨年度の決算では102万円の黒字へと転換した。
本組合は、福祉事業への想いが強い組合員が中心となって設立されたものであり、全員が施設運営の携わっていることから、組合全体及び組合員ともに高い満足度を実現している。
今後の課題としては、現時点では稼働率が高く新たな利用ニーズに応えられないことから、施設拡張をあげているが、設計段階で想定したため施設自体は問題がなく、常勤看護師要件をクリアすべく検討に入っている。


自家菜園があるデイサービス「やじろべえのハウス」


皆さん笑顔でいきいきと

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高島織物工業協同組合

※地場産業(平成23年度調査)
高性能サイジング設備導入で綿織物「高島ちぢみ」産地を基盤から支える

①高密度の整経 ②混在型整経 ③処理量の大幅アップ ④超長尺への対応力向上 ⑤細番手化への対応という従来サイジング設備の抱える問題点を最新設備導入により解消。

1.背景と目的
高島織物は、いわゆるクレープ(綿織物)の有力な産地としてスタートし、本組合は組合員の事業を基盤から支える織物の準備工程のひとつ「サイジング工程」を一元的に処理して、組合員へと供給している。
組合員の主たる加工品は、衣料向けとなる「綿糸を強撚加工した生地(クレープ)」とタイヤ・ベルト・ホース・テントなどに使われる「産業用資材織物」の2つある。これらはいずれも資材として位置づけられ、非常に重要でデリケートな品質管理が必要となっている。この要求を実現するためには高度なサイジング設備が必要になるが、組合で稼働していた設備がすでに40年を経過しており、設備の維持管理に必要な部品が入手できないといった切実な課題を抱えていた。このような状況が続く中、高島市における地域産業支援策「地場産業活力強化基盤整備事業」を活用し、最新の高度サイジング設備を導入することで、長年懸案となっていた問題を解消するべく本事業に取り組んだ。

2.事業・活動の内容
本事業(新たなサイジング設備)は、①高密度の整経 ②混在型整経 ③処理量の大幅アップ ④超長尺への対応力向上 ⑤細番手化への対応といった今後の綿織物産業において想定されるニーズを満たすことを大前提として進められたが、これらの機能要求に対応するハイレベルのサイジング設備は、総額1億2700万円(附帯設備を含む)に上るものである。これらの設備更新資金は、地元・高島市の「地場産業活力強化基盤整備事業(8000万円補助)」も活用して調達し、最新設備の導入・稼働を達成した。

3.成果(今後予想される成果も含む)
組合員においては、東日本大震災を契機とする「節電ビズ」に対するニーズの高まりを背景に、クレープ地ならではの涼感が再認識され、男性用ステテコや寝装寝具(パジャマ・敷きパッド)などの動きが活発化し、「女性用ステテコ」も好調な売れ行きとなった。最新設備の導入により新たなマーケット・ニーズに応える高品質製品の供給が可能となり、来シーズンの受注も早期から相談があるなど、衣料用・産業用を問わず従来製品の効率化とも併せて産地にとって大きな成果を上げている。
今後、組合の最新設備の最大限に活用し、需要が回復しつつあるクレープや高い品質要求に応えなければならない産業用織物を根底から支え、新企画商品の提案や高級分野への進出など、広がる産地の可能性に期待が寄せられている。


導入された高性能サイジング設備


導入された高性能サイジング設備


加工された綿糸