滋賀県の事例

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高島晒協業組合

特徴ある活動(平成30年度調査)
若手中心へのシフトで海外展開と人材育成を強力に推進

経営環境の変化や高齢化が背景にあるなか、若手を中心とした柔軟な取り組みの必要性を組合役員が認識したことにより、海外進出及び人材育成に繋がっている。

1.背景と目的
組合の晒(さらし)加工量は減少を続け、平成29年度には6万反を割る状況になっている。さらに重油や染料等原材料高騰や組合職員の高齢化及び市場ニーズの小ロット化等様々な要因から経営環境は悪化している。この状況を打開するために、気候風土の似た海外への販売と若手職員の採用及び育成、小ロット多品種生産への移行に取り組むこととした。

2.事取組みの手法と内容
①海外展開
平成26~29年度に「高島市地域創生事業」によりインドネシア及びマレーシアの市場調査とテスト販売を実施、以降中小企業庁「JAPANブランド育成事業」、ジェトロ貿易情報センター「地域団体商標海外展開支援事業」を活用することで、東南アジアへの進出を目指した。海外進出には柔軟な発想と行動力が必要であるため、組合役員はバックアップに徹し、若手組合員の2人と組合職員の営業部長による事業推進チーム中心として事業展開に取り組んだ。現在、新たな3ヶ年計画に取り組んでおり、今後3年間で5,000万円程度の売上を目指している。具体的には、現地デザイナーとのコラボレーションした生地の販売と小売業及びエージェント経由での製品販売であり、初年度にマレーシア、台湾、ベトナム、パリでの取引拡大を目指している。
②人材育成
当組合は職員の高齢化が進んでおり、今後退職による技術保持ができない可能性があることから、従来の単品大量加工の体制から小ロット対応型に取り組むために旧来の考え方を打破する必要が求められていた。そこで平成29年に地元の安曇川高校卒業生を5名新規採用し、ジョブローテーションによる技術承継及び多能工化に取り組んだ。今後も継続して若手の新規採用に取り組み、多能工化による生産性の向上を目指している。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
海外展開は、初年度に55反を出荷したが、一時的な珍しさが要因だったため継続取引には至らなかった。2年目以降は現地デザイナー等との連携が進んだことで、生地販売やストールを中心とした継続取引に至っている。人材育成は、地元高校から5名の新規採用が実現し、高島市からも地元雇用の場の拡大に期待されている。


海外販路開拓に向けた組合パンフレット


作成した英語版組合ホームページ

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滋賀県建具協同組合

新たな販路開拓・市場開拓(平成29年度調査)
顧客視点で「建具のある居住空間」を強力に提案

作り手の視点から、より顧客ニーズに沿った「建具のある居住空間」の提案をコンセプトにし、組合員の意識啓発と撮影技術の修得が成果を上げるカギとなった。

1.背景と目的
和の建具市場における生活様式の洋風化に伴う市場縮小という環境変化に対応するために、2010年度から建具デザイン集「しがたて建具デザイン集」の発刊に取り組んだ。2015年度には、これをより顧客視点に発展させ「建具のある居住空間」を提案することで需要を喚起すべく、デザイン集を大幅に再編集し「建具デザイン集『おうみ』」として新たに発刊することとした。

2.事取組みの手法と内容
本事業への取り組みは、約1年半をかけ5つのフェーズにより推進した。フェーズ1では、「しがたて建具デザイン集(第1版・第2版)」への取り組みにおける問題点として「業者視点であり顧客目線になっていない」点を抽出し、組合員の意識啓発を図った。フェーズ2では、「建具のある居住空間」をわかりやすく魅力的に伝えることをコンセプトとして決定し、「玄関・ホール」「リビング・ダイニング」など6つのカテゴリごとに組合員が実際に制作・納品した建具を中心とした空間写真を多数掲載するという編集方向性などを決定した。さらに組合員がそれぞれ魅力的な建具のある居住空間を撮影するための技術講習(フェーズ3)を経て新たなデザイン集を制作した(フェーズ4)。その後、本カタログを有効活用するための研修会を開催(フェーズ5)し、各組合員がそれぞれの販促活動へと展開するに至った。
本事業は、理事会の下にある研修会等の企画・開催をする第一部会内の「しがたてデザイン研究会」において、理事が中心となって推進された。この取り組みにより、本カタログで顧客ニーズを喚起し、当初のデザイン集により建具のバリエーションを提案するという一連の販促プロセスが確立した。また、2016年度には増加しているリフォーム需要へ対応するための共同チラシを展開するなど販促活動は進化しており、2年後を目途にWEB展開につなげたいとしている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本カタログは1,000部発行し、組合員が個々に活用するほか工務店などにも販売した。また、業界の全国大会での販売も併せて行っており、他府県の建具組合にも好評を得ている。これらの成果を生み出した要因は、顧客視点に立たなければならないという組合員の意識改革と、魅力的な居住空間を撮影するためにプロのカメラマンによる技術講習を並行して行ったことが大きい。


建具デザイン集「おうみ」


デザイン集の作成・活用のために研修会を実施

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滋賀県貨物運送事業協同組合連合会

後継者の育成/技術・技能の継承/人材確保・育成(平成29年度調査)
貨物運送業界で先進的な女性活躍社会の実現を目指す。

貨物運送業界では、ドライバーの高齢化が進む中でネット通販などの進展から貨物量が増大し対応しきれないという危機感が強く、新たな担い手獲得に期待感が高くなっている。

1.背景と目的
運送業界においては、平成2年の貨物自動車運送事業法施行以降、トラック運送事業の規制緩和によって新規参入事業者が20年で1.5倍と急増しているが、一方で慢性的な人材不足となっており、新たな担い手として女性ドライバーの活躍が期待されるなかで、その可能性を追求するためにフィージビリティ調査を行うこととした。

2.事取組みの手法と内容
本事業は、女性活躍の可能性を探索し、次の実践ステージにつなげるための第一段階として取り組んでいる。事業は、「調査ポイントの整備」「ヒアリング調査」「アンケート調査」「集計分析・取りまとめと啓発」で構成しており、ヒアリング調査は、傘下組合の中から3組合、さらに女性のリアルな声を聴くために滋賀県トラック協会に所属する女性経営者を対象に実施している。調査ポイント(視点)は以下の4つである。
①現状把握:経営状況/女性や若手ドライバーの雇用に関する現状
②問題意識:女性や若手ドライバーの確保の必要性/労働環境や雇用に関して
③改善への取り組み状況:改善への取り組み意識/改善への取り組み状況
④アイデア創出:参考にしている他業界の取り組み/施策アイデア
本事業では、連合会理事会の意思決定の下で事務局が「事業推進事務局」となり、中央会及び外部専門家の支援を受けて推進する体制で取り組んでいる。連合会及び傘下組合では「ドライバーの高齢化」という共通の問題点を持っており、これが喫緊の課題(悩み)となっているが、身近で具体的な取り組みの切り口となる他業界も含む女性の戦力化に関するケーススタディを成果目標としたことで、事業への取り組み意欲が高まりつつある。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本事業の調査結果を連合会の研修交流会において傘下組合の組合員に説明を行い、集計データ集・報告書として取りまとめている。集計データ集・報告書は組合員事業者の女性活躍に関するケーススタディとして活用できるツールとすることを目指している。次年度以降は、実践ステージへの移行が課題となるが、組合員企業においての実践事例を積み上げて水平的に取り組み事例が共有され、さらに進化されることが期待される。


女性経営者へのヒアリング


調査結果の報告

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滋賀県電器商業組合

地域活性化・地域社会への貢献(平成28年度調査)
滋賀県警察と連携し高齢者を事件・事故から守る活動

社会問題としてクローズアップされている高齢者の事件・事故に対する家電販売店というインフラを活用した組織的な対応が、組合員及び地域社会に評価されたこと。

1.背景と目的
滋賀県では特殊詐欺や交通事故死者数の高齢者比率が非常に高く、一方で家電販売店も大型店やネット通販との競争から新たな活路を切り開く必要性が高まっている。このような中、顧客とのかかわりが深い中小家電販売店の特性を生かし、日々の商売にもつながる社会貢献活動の一環として滋賀県警察と覚書を締結し、高齢者の見守り活動を開始した。

2.事取組みの手法と内容
平成27年の「高齢者を事件・事故から守る活動に関する覚書」締結を契機として活動に入った。 具体的には組合理事会を中心として取り組みの方向性を決定し、滋賀県警察本部・生活安全部及び交通部との調整の元に、滋賀県下の11の支部をベースに各組合員が日頃の顧客への営業活動を通じて見守り活動をするというものである。また、全国電機商業組合連合会と連動して年1回実施している「敬老の日の無料家電点検活動」を活用した防犯に関する啓発活動や、一部で取り組みが始まった地域の警察署との連携したイベントへの参画など活動は進化している。 推進体制は、組合としての滋賀県警察本部と締結した覚書をベースに、具体的な活動は各支部と地域の警察署との連携の中で実践するというものである。また、県警本部からの提供される生活安全に係る情報などを支部及び各組合員に発信すること、組合員の見守り活動を支援するチラシ等の作成などの実務支援を組合事務局が担うというように、連携体制づくりから実務支援まで一体となった仕組みが構築されている。 本事業への取り組みはスタートしたばかりのために今後のさらなる進化が求められるが、生活安全という地域密着の活動のため各地域の警察署と組合の各支部との連携が必須となる。現在、各警察署との取り組みが始まっているが、滋賀県全域の取り組みに拡張していくことが組合の課題となっている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
社会的意義の重要性から、組合員のステータスを高めるという機運が高まりつつある。組合支部と地域警察署との取り組みが始まったところも生まれ、組合員にも高齢者の顧客紹介など営業的な成果も出だしたことから、今後の組合内でのさらなる取り組み意慾の拡散が期待される。


覚書締結式の様子


組合で作成されたパトロールステッカー

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近江牛輸出振興協同組合

地域の魅力発信によるグローバル需要開拓(平成27年度調査)
「近江牛」を日本のブランドから海外のブランドへ

「肉牛生産者」「食肉卸問屋」「海外輸出業者」という素材生産から製販が一体となる異業種型組合を基盤とし、需要が高まる東南アジアを狙い重点的な活動を行った。

1.背景と目的
牛肉の国内市場が少子高齢化などの影響により縮小している中、欧米はもとより東南アジアにおいても和食の世界遺産登録などが契機となり空前の和食ブームとなっている。そこでこのような機会を見逃さず海外における近江牛ブランドの向上や販路開拓を推進するために、富裕層が増加している東南アジアに集中して事業展開をすることとした。

2.取組みの手法と内容
現在の組合事業は、近江牛の海外プロモーション・販売促進、国内での近江牛展示会のほか近江牛を用いた日本食文化の需要開拓などとなっている。特に販売促進・市場開拓事業に関しては、海外バイヤーの商談会やレセプションへの参加、百貨店やレストランへの売り込みを積極的に行っており、近江牛ブランドの販路拡大に向けた事業展開を行っている。
本組合は、「肉牛生産者」「食肉卸問屋」「海外輸出業者」を構成員に持ち、いわゆる素材生産~営業までの機能を持つ「一気通貫型」のビジネスモデルとなっている。海外輸出業者は、独自に営業活動を行うほか、現地の業者と連携して売込みを行うなど多様な販売活動を行っている。
事業推進においては、マーケティング面や組合活動の円滑化などに関して中央会のアドバイスを受け、実践面では、日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力のもとでフィリピンでの営業・商談・試食会などを開催するほか、滋賀県の協力を得て県の事業「観光と食(インバウンド事業)」による商談会などに参加した。
販売促進活動は、海外で実施されるものを含め年間2~3回、商談会に参加しており、海外へのプロモーションは理事長と専務理事が中心に行っている。国内で実施される商談会(インバウンド)には、海外に輸出していることで自信をつけてもらえるよう、若手組合員に交代で参加を促している。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
平成26年度実績は204頭となった。また、輸出先は順次拡大し、現在ではシンガポール・タイ・香港・フィリピン及びEUとなっており、特にタイではチェーン展開する飲食業との取引獲得に成功したことから、40%の売上構成比となっている。このような成果が出せた一番大きな要因は、一気通貫型の組合構造のため迅速な活動ができることにある。


海外で販売会を行っている


「近江牛」を使った料理の提案

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滋賀電設資材卸業協同組合

地域産業を担う人材の確保・育成(平成27年度調査)
技術革新に対応する最新知識武装型教育研修の展開

機能比較が可能な研修事業であり、メーカーにとっても一度に説明できるために、組合員各社を回って商品説明する手間が軽減されるという双方にメリットがある組合事業。

1.背景と目的
近年、電設業界は太陽光発電やLED照明など新しい技術が次々と出てきており、これら川上の技術革新による各種製品を流通させるために常に最新の知識を保有していなければ、顧客ニーズに応えることができないという状況に置かれている。そのため、組合員のスキル向上を目的として、定期的に組合内研修を開催することとした

2.事取組みの手法と内容
研修会は、ベテラン営業マン及び管理者を対象とした「営業研修会」と入社3年目(転職を含む)程度までの若手社員を対象とした「若手向けの営業スキル研修会」の2つで構成している。特に若手研修会は、各組合員企業が独自で開催することが難しいような内容をテーマに開催している。
営業研修会/年2回、若手研修会/年2回(2日間)を開催し、営業研修会は「営業スキル研修会」と「商品知識研修会」で構成している。商品知識は、新たな技術知識を習得することを目的としているが、毎年設定するテーマに沿って賛助会員である複数の大手メーカーに講師を依頼している。
平成26年度のテーマは、(1)営業研修会/①「できる営業に変身できる行動管理」②「HEMSを軸とした新たな需要創出お取組みの提案」、(2)若手研修会/「テーマ1:リニューアルに向けた資金調達法」「テーマ2:危ない会社の見分け方」とした。また、平成27年度は営業スキル研修会において「メンタルヘルス」、若手研修会において「エアコン」の勉強会を予定している。
今後とも新技術のみならず、エアコンや照明といったスタンダードの機器類に関しても、毎年のように新製品や新機能の追加などが発生することから内容をさらに充実させて、新しい知識の補充を繰り返してゆくとしている。

3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
当組合の教育情報事業の特徴は特に商品知識の研修にある。一つのテーマ(主力商品カテゴリ)に絞りメーカー各社に特徴等を説明してもらい、研修参加者にとっては「複数のメーカーの特徴や機能比較」が1日でできるようになっている。そのため、顧客への営業活動において客観的な知識をもとに的確な提案ができるスキルをつけることができるという特徴がある。


研修会の様子


様々なテーマで研修が行われる

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おごと温泉旅館協同組合

地域連携による新たな事業展開
「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携を展開

多様な観光資源や高い効能を誇る温泉であるが、他の温泉地と比べ認知度が低いという潜在的問題に対応するため、「認知度向上」を共通目標に多様な地域連携活動を展開

1.背景と目的
おごと温泉は、旅館の規模・コンセプトのバリエーションが豊富で多様な年齢層のお客様に利用されているが、来客エリアは関西~中部周辺までで関西の他の温泉地と比べ認知度が高くなく「認知度向上」が組合の重要課題となっている。長い歴史のある当組合の各旅館に10数年前から若い後継者が戻ってきたことを受け、元理事長針谷了氏が中心となり月例の勉強会「雄琴青経塾」を平成10年に立ち上げ、ここから生まれた有志の活動が発展して、さまざまな事業が展開されるようになった。

2.事業・活動の内容
(1)H18年:地域ブランド認定
温泉地としては日本で初めて地域ブランド(地域団体商標)に認定され、これが契機となり平成20年にJR旧雄琴駅が「おごと温泉」駅に改称された。
(2)H21年:地域資源活用事業の実施
平成20年にびわこ成蹊スポーツ大学の元水泳選手の若吉教授と出会い、健康プログラム作りの研究とマッチしたことから連携が始まった。平成21年には「美浴・美運・美食」をテーマとする[おごとヘルス・ツーリズム]をテーマに地域資源活用事業の認定を受け、本格的に3つの事業に取り組んだ。
(3)おごと温泉観光公園の活用
おごと温泉の中心部に、大津市おごと温泉観光公園があるが、同公園の指定管理者として魅力的な運営を行っている。
①屋根付き足湯
②足湯カフェ「COTOCOTOCOTTON」
③土産物産品の販売
④びわ湖の見えるガーデンの4つの機能を持つほか、5月10日を「おごとの日」として、地元野菜の販売などのイベントを毎年開催している。

3.成果(今後予想される成果も含む)
これらは、「認知度向上」という共通目標を持ち、それを具現化する事業推進体制や組合員間のコミュニケーションを基盤として、現在も多様な事業活動に進化・展開している。
具体的には、(1)「おごと温泉ハブ・ツーリズム」提唱への進化(①比叡山に一番近い温泉地②港のある温泉地③ハブ温泉④美美美の湯 美泊三昧)と(2)広域活動や公認への展開(①おごと温泉・びわ湖パノラマウォーク②温泉リーグに発展・公認)の2つである。


温泉地の拠点になっている「おごと温泉観光公園


温泉地周辺をノルディックウォーキング

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滋賀県麻織物工業協同組合

女性の登用(活躍)による事業・活動の展開(平成26年度調査)
近江上布の市場開拓を目指した女性視点の産地ショップ

エンドユーザーとの接点が少なく市場変化に対応しにくい業種特性を持つ麻織物工業において、消費者感度の高い女性スタッフにより産地ショップ運営や海外展開を実践している。

1.背景と目的
近江上布は、室町時代から当地に伝わる伝統的な織物で、染織から仕上げまでの工程が全てある全国でも数少ない産地である。しかしながら、消費者ニーズの多様化が進み従来の和装用反物としての需要が減る中、ファッション性の高い様々な織物製品に応用していかなければならないという状況にあった。
このような中で平成21年近江上布伝統産業会館のリニューアルを契機として、消費者視点を持ちながら感性の高い事業展開が行えることを期待して、女性を主体として産地ショップ「麻々の店(ままのみせ)」を設置し、エンドユーザーへの直接のアプローチを図ろうとしたものである。

2.事業・活動の内容
「麻々の店」は客層のほとんどが女性であり、女性消費者視点での「近江上布」を使ったオリジナル商品開発が求められていた。そこで、織物業としての業種特性から最終製品を作ることがなく消費者の反応を直接聞く機会の少ない組合員に代わり、消費者感度が高くクリエイティブワーク経験のある女性職員などを登用し、ショップ運営を行った。
具体的な取組としては、女性視点から製作した天然素材の麻製品の展示販売や、「フランス雑貨の店運営及びフランスへの留学経験」のある女性職員を中心とした海外の展示会への出展である。 特に海外展開は、女性職員の活躍により、フランスで開催された世界最大級の国際インテリア・デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展に繋がった。

3.成果(今後予想される成果も含む)
本事業への取組みにより、麻々の店の来客状況は観光地でもないにも関わらず夏のシーズンを中心に全国から来られ、年間4,000人程度が来館する。また、団体での来館も年間30団体程度あり、体験を中心に問い合わせの電話も急激に増えている。さらに、地元との連携の一つとして、愛知高等養護学校における実習教科として麻織物が決まり、畑でのおひきから布作りまで勉強するプログラムが動き出している。 これらの取り組みを通じて、組合や組合員企業には国産の麻製品をお求めいただく消費者の「生の声」が聞こえるようになり、麻生地の生産と並行した製品開発に対する意識が高まるだけでなく、近江上布の海外展開の足掛かりとなっている。


近江上布伝統産業会館「麻々の店」


国際インテリアデザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」への出展

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協同組合きのもと北国街道商店街

※地場産業(平成25年度調査)
木のぬくもりともてなしで愛される安心なまちづくり

市町村合併を契機に商店街組織が立ち上がり、LED街路灯への改修やチャレンジショップを活用した高齢者向けサービスなどで地域と観光客に愛される安心なまちづくりを実現

1.背景と目的
商店街では、「商店主の高齢化による商店の減少」や「後継者不足」という根本的な問題を抱えており、これらが安全・安心かつ賑わいのあるまちづくり活動に対応できない原因となっていた。そこで、平成22年に組織的なまちづくり活動を推進するため組合による組織化を行い、「木のぬくもり」と「昔ながらの街並み」という地域の特色を生かしながら、住民にとっても訪れる観光客にとっても安全で安心かつ心安らぐまちづくり活動を行うこととした。

2.事業・活動の内容
「ほっとする街・きのもと」の具現化は、商店街(組合)主体のまちづくり活動と木之本地域全体のまちづくり活動を促進する連携組織活動の2つに分かれている。
組合としての独自の活動は、平成24年度に国の認定を受けた「商店街活性化事業」を活用して「①LED照明による街路灯改修事業及びその維持管理事業」、「②空き店舗活用によるチャレンジショップ事業」「③木彫りランプシェード製作体験・灯りイベント事業」、「④木のぬくもり体感スタンプラリー事業」、「⑤おもてなし研修事業」の5つの活動を行っている。
また、広域型の活動としては、長浜北商工会、奥琵琶湖観光協会、地蔵坂商店街(任意組織)と本組合による街づくり組織「KZOHN(Kゾーン)」を立ち上げ、「景観形成事業」や黒田官兵衛記念館に伴う「博覧会事業の推進」などにも取り組んでいる。

3.成果(今後予想される成果も含む)
事業計画において、平成26年度時点での目標として「来街者数の10%増加」、「商店街全体の売上高1%増加」の2つ目標を設定し取り組んでおり、具体的成果として、同商店街で4件、Kゾーンの地蔵坂商店街で1件の新規出店の計画が出されている。また、上記の広域的まちづくり組織活動の開始やチャレンジショップでの「弁当配達サービス」「飲食スペースの提供」などが高齢者サポート事業として機能しており、地域コミュニティの形成面での効果もでている。
本組合の活動は設立からまだ3年程度と短いが、当初から全国商店街支援センターの支援を受けることでまちづくりアイデアや知識・具体的活動方法に関するサポートを受けたことで早期に効果が生まれた。


「うだつ」のある街並み


LED化した街路灯

DSC_0057

木製ランプシェード

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滋賀県電気工事工業組合

※地場産業(平成24年度調査)
社会貢献の一環と太陽光発電による復興支援に取り組む

組合会館等に太陽光発電設備を設置し、売電収益の一部を東日本大震災被災地への復興支援に活用。同時に組合員の再生可能エネルギーへの取り組みを支援。

1.背景と目的
平成23年3月に発生した東日本大震災により発生した原発問題が契機となり、電力節減が社会的取り組み課題として大きく取り上げられている。原発事故は、全国の電力会社における原発の再稼働を妨げ、関西地区でも平成24年夏の電力需給はひっ迫する可能性が指摘された。
本組合では、「社会貢献が組合の将来を創造する」という使命の下、この緊急の課題に対応することと併せ、東日本大震災の復興への何らかの支援をする想いから「再生可能エネルギーである太陽光発電」に取り組むこととした。

2.事業・活動の内容
本組合で設置した太陽光発電施設は、「本組合事務所の電工組合会館/40kw」と「大津支部組合事務所/12kw」の2ヶ所であり、売電収益の一部を全日本電気工事業工業組合連合会を通じて、震災被災地の同業者の組合に寄付するとともに、設備自体を、「組合員の施工研修」「顧客説明会」「見学会」にも活用することで、組合員の事業活動を支える新たな基盤としている。

3.成果(今後予想される成果も含む)
売電収入は、今秋からようやく実現に向けて稼働したところであるが、現在の収入見込みは滋賀電工組会館/170万円、大津支部組合事務所/60万円程度と予測される。
[震災地への復興支援:寄付]
設備の減価償却費等の必要経費を除く収益を震災地の復興支援に向ける予定をしており、本年度は一定程度の収入を見込む中で、当面20万円程度の寄付を実施する予定である。これに関しては、全日本電気工事業工業組合連合会を通じた寄付を予定しており、この行動が他府県の電気工事工業組合に波及して全国的なムーブメントとなることに期待したい。
[組合事業への効果]
本組合の社会貢献事業は重要な柱であり、本設備による震災地への復興支援は組合全体にとって非常に意義のある活動として認識している。組合員においては、消費者への再生エネルギーの啓発活動として見学会などを企画したり、太陽光発電設備に係る技術研修等の場としてスキルアップするツールとして活用されると考えている。また、業界組合としての取り組みが広く伝わることで、多くの消費者の啓発につながると期待している。


組合事務所に設置されたソーラーパネル

太陽光発電情報モニタ


竣工検査の様子