コロナ禍というパンデミックが観光業に与える影響は甚大で、宿泊業という本組合の各組合員の危機感が非
常に高まっていたことが実現の背景にある。
1.背景と目的
コロナ禍の影響により、大手組合員が倒産したが、同ホテルの高いスキルを持つ従業員の受け入れを各組合員に呼びかけた。また並行して同感染症の影響は滋賀県において自然災害等の避難先のコロナ対応問題も引き起こしており、宿泊業と言う強みを生かした社会貢献の一環として、災害時の宿泊施設等の提供という協定締結に取り組んだ。
2.取組みの手法と内容
本取組みは、組合事務局:情報収集・各機関への陳情活動、組合役員:組織としての決断、中央会職員:情報提供・活動のPR支援という体制で推進した。具体的には、組合事務局が活動の軸となり、組合内部問題では倒産企業従業員の受け入れ先募集等の活動、地域社会関連では滋賀県との情報交換等を進めた。倒産企業の従業員受け入れは、高頻度に発信している情報(ファックスやレター)において具体的な募集要項を提示し、求人を募る方法を取った。
県との取組みとして、滋賀県が本年6月に策定した「新型コロナウイルスの感染防止対策を盛り込んだ避難所運営のガイドライン」における基準を満たす避難所として、当組合の組合員が受け入れるための協定を締結した。具体的内容は1)宿泊場所や入浴施設の提供、2)食事、食事場所の提供、3)避難者の名簿管理、4)県や市町の連絡窓口となる責任者の設置、5)市長が避難者を移送できない場合の送迎、などである。
コロナ禍の影響は甚大で、観光産業の一翼を担う宿泊業において大幅の稼働率低下による採算性悪化が顕在化し、組合内での危機感の高まりを背景に、組合役員のリーダーシップや組織力が存分に発揮されたことが事業推進のエンジンとなった。また数年をかけて組合員の参画意欲を助成してきた組合の活動が基盤にあることも大きい。
3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
上記の取組みにより、解雇された250人の従業員に対し約40件の求人が集まり、地域社会との関わりとして、滋賀県と本年10月5日に「新型コロナウイルス対策として『災害時における宿泊施設等の提供に関する協定』」を締結することができた。
また、数年をかけて組合員の参画意欲を助成してきた、情報発信や異業種体験、専門業者との連携といった組合の活動が基盤にあることも背景にある。今後発生が危惧される台風や地震等の災害時における組合としての迅速な対応が期待されている。
集まった求人票
滋賀県庁において、「災害時における宿泊施設などの提供に関する協定」締結