貨物運送業界では、ドライバーの高齢化が進む中でネット通販などの進展から貨物量が増大し対応しきれないという危機感が強く、新たな担い手獲得に期待感が高くなっている。
1.背景と目的
運送業界においては、平成2年の貨物自動車運送事業法施行以降、トラック運送事業の規制緩和によって新規参入事業者が20年で1.5倍と急増しているが、一方で慢性的な人材不足となっており、新たな担い手として女性ドライバーの活躍が期待されるなかで、その可能性を追求するためにフィージビリティ調査を行うこととした。
2.事取組みの手法と内容
本事業は、女性活躍の可能性を探索し、次の実践ステージにつなげるための第一段階として取り組んでいる。事業は、「調査ポイントの整備」「ヒアリング調査」「アンケート調査」「集計分析・取りまとめと啓発」で構成しており、ヒアリング調査は、傘下組合の中から3組合、さらに女性のリアルな声を聴くために滋賀県トラック協会に所属する女性経営者を対象に実施している。調査ポイント(視点)は以下の4つである。
①現状把握:経営状況/女性や若手ドライバーの雇用に関する現状
②問題意識:女性や若手ドライバーの確保の必要性/労働環境や雇用に関して
③改善への取り組み状況:改善への取り組み意識/改善への取り組み状況
④アイデア創出:参考にしている他業界の取り組み/施策アイデア
本事業では、連合会理事会の意思決定の下で事務局が「事業推進事務局」となり、中央会及び外部専門家の支援を受けて推進する体制で取り組んでいる。連合会及び傘下組合では「ドライバーの高齢化」という共通の問題点を持っており、これが喫緊の課題(悩み)となっているが、身近で具体的な取り組みの切り口となる他業界も含む女性の戦力化に関するケーススタディを成果目標としたことで、事業への取り組み意欲が高まりつつある。
3.成果とその要因(目標達成状況や今後の期待成果を含む、成果要因・奏功エピソード)
本事業の調査結果を連合会の研修交流会において傘下組合の組合員に説明を行い、集計データ集・報告書として取りまとめている。集計データ集・報告書は組合員事業者の女性活躍に関するケーススタディとして活用できるツールとすることを目指している。次年度以降は、実践ステージへの移行が課題となるが、組合員企業においての実践事例を積み上げて水平的に取り組み事例が共有され、さらに進化されることが期待される。
女性経営者へのヒアリング
調査結果の報告