連携による共同研究開発には組合員の結束が必要不可欠であることから、組合員が組合の理念を再認識して研究に臨み、新事業・産業の創出を目指して事業化プロジェクトに取り組む。
滋賀県中小企業家同友会が平成11年に製造業部会(現在は新産業創造部会)を発足し、地域経済の活性化を目的とすることを鮮明にした。しかし、同友会は任意団体であり、学びあいと連携を事業化することが難しいことから、同部会に所属するメンバーによって組合を設立した。また、組合員各社は専門的な知識を新製品の開発や新事業の創出という場面に活かしきれていなかった。そこで、組合員の専門的な知識の有効な活用方法や弱点の補完について連携による研究を行い、新製品開発を通して地域経済の活性化に貢献し、同時に組合員同士が切磋琢磨することで組合員企業の経営革新が推進されることを目的として連携を行っている。
組合員の多数を占める零細企業は、大学へ相談に出向くことを敷居が高いと感じることが多かったことから、最初に滋賀県内の各大学施設を訪問した。さらに研究会を開催するなど産学連携担当者と意見を交換するうちに連携の糸口を見つけだし、きっかけとした。最も連携の実績がある龍谷大学とはエコホームプロジェクト・エネルギーパックシステム研究会など、新製品の研究開発において連携を進めており、大学の研修室等は無償での提供を受けている。この他、成安造形大学、ポリテクカレッジ滋賀などとも連携による開発を行っており、他の県内外の大学についても訪問や連絡を密にすることで連携の体制づくりが出来ている。
利益優先で進めることなく、地域産業の活性化を目指しながら連携して取り組むという理念を改めて確認し合うことで組合員の結束を固め、殺菌装置の製品化などの成果に結び付けた。エネルギーパックシステムについては、現在学習教材がモニターテストの段階に入っている。最近は大学側からの提案もあるなど評価も高く、連携による新製品の開発はもとより、組合員が自社では対応ができないと諦めていた分野にも進出が可能であることに気づいたことも大きい。今後は事業見本市や事業交流会を独自に実施し、今まで以上に新しい連携の機会を増やしていく。