組合事例紹介

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滋賀バルブ協同組合「産学連携の人材確保事業と育成、定着に向けた取組み」

産学連携の人材確保事業と育成、定着に向けた取組み

特別講義の様子滋賀県立大学での出前講義の様子

若手社員研修会の様子若手社員研修会の様子

住所 〒522-0037 滋賀県彦根市岡町52番地
電話番号 0749-22-4873
設立 昭和62年12月
出資金 2,000,000円
主な業種 バルブ製造業
組合員 31人

背景・目的・概要

滋賀バルブ協同組合は、私たちの暮らしや産業に欠かせないバルブを製造するメーカーと関連企業で構成される組合です。県内最大規模の地場産業組合でもあり、共同事業として鉛フリー銅合金「ビワライト」を開発し、その普及・販売にも取組まれています。組合がバルブ産業の振興とともに注力されてきた事業の1つに、組合員企業の人材確保や若手社員の育成があります。様々な事業を展開されている中、人材確保においては滋賀県立大学工学部1回生を対象とした出前講座の実施、育成においては、新人・若手社員研修会の開催が、長年続いている特長的な取組みになります。人材事業に力を入れてきた背景は、業界全体の人材不足であり、組合員企業各社が直面する共通の課題に対して、組合員全体で協力し合い、活動が継続しています。

取組み手法と内容

◆滋賀県立大学工学部(1回生)出前講座への取組み
人材確保においては、滋賀バルブ協同組合と同じ彦根市にある滋賀県立大学工学部と連携し、出前講座を実施しています。彦根で学ぶ学生が、1人でも多く彦根に残ってほしいという想いで平成26年より取組みが始まり、7年間継続されています。滋賀県立大学との連携が始まったきっかけは、地元の地場産業である「バルブ」を教育として取り入れてほしいという働きかけで、個別の企業の申し入れではなかなか実現できないことですが、地場産業の組合として要望することによって、この出前講座を実現されました。内容としては、組合の中から講師1名を選出し、工学部1回生の学生約90名に対して講義を行い、単位認定授業の講義のため、工学部に在籍する多くの学生に確実に「バルブ」の存在を知ってもらえる取組みとなっています。

◆新人・若手社員研修会への取組み
新人・若手社員研修会は、平成22年から12年間、継続して開催されています。
研修方法:座学研修と施設見学
研修テーマ:バルブの基礎知識「材料編・構造と用途編」<3時間>
上記のテーマのようにバルブの製造において、必要となる知識を提供しています。毎年、若手社員や新たに製造業に入職された社員、再度受講したい希望者など、多くの方が受講しています。組合としては、人材確保が難しい業界だからこそ、「組合全体として大切に育てる」の想いのもと、知識習得だけでなく、他社の若手社員と接することで「職業意欲向上」や「横の繋がりによる業界への定着」も期待し、取組を継続されています。

成果とその要因

人材確保の一環として実施する出前講座においては、授業内アンケートでバルブ産業を「知らない」と答えた学生が、95%にも上りました。バルブは、私達の社会において欠かすことのできない役割を担っていますが、地元の大学生にはあまり知られていない実態が判明しましたので、この講義を通して、まず「知らない」と回答した95%の学生にバルブ産業が認知されたことは大きな成果となっています。また、毎年1回生に対して出前授業を行うため、工学部の学生に対して、確実にバルブ産業を認知してもらう仕組みが構築されています。人材育成では、新人・若手研修会に毎年多くの方が参加され、組合として必要な事業となっていることが大きな成果であり、その成果の要因としては、「オリジナルテキスト」の作成が関係しています。平成22年に研修会を開催する際に外部の専門家の支援を受け、バルブの製造に共通する項目をまとめたオリジナルテキストを制作されました。このオリジナルテキストがマニュアルのような存在となり、研修では一定のクオリティが維持されています。現在では、第二版のテキストが完成し、時代の変化・技術の発展に対応した人材育成が継続されています。

滋賀バルブ協同組合の人材事業の特長は、大学入学時や会社への入社時など、タイミングを抑えて、継続して実施されていることにあります。大学に入学したばかりの1回生に対して、バルブ産業について講義を行い、確実に存在が認知される仕組みになっています。また、入社したタイミングで研修を行うことで、本人の基礎知識の習得だけでなく、仲間意識の醸成や教育格差をなくし、業界への定着に繋がっています。活動を仕組み化し、継続していることが成果への大きな要因となっています。

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