今回導入した自動搬入装置
地元木材を活用した感謝状
2020年設立。多賀町の根幹産業である林業の活性化を目指し、地域産木材の加工・流通の促進、木材の地産地消の拡大など、多賀町の川上から川下までの森林循環の実現に向けた共同事業を展開しています。
①取組に至る背景・目的
当組合では共同加工施設の運営・管理事業の一環として、多賀町と連携し、製材した木材を乾燥するための「太陽熱利用パッシブ木材乾燥庫」を設置・運営しています。太陽熱利用パッシブ木材乾燥庫は、従来型の木材乾燥庫と比較すると環境負荷の少ない省エネルギー型木材乾燥庫です。しかしながら、当初は木材の搬入作業を人力のみで行っていたため、一度に乾燥できる木材量が限られており、乾燥庫が備えている最大の乾燥量に及んでいませんでした。
よって当組合では、乾燥庫の本来持つポテンシャルを最大限に発揮させるべく、木材搬入の効率化に向けた研究・開発(改良)に着手しました。木材乾燥における生産性向上により、エネルギー消費量・CO₂排出量のさらなる削減を実現して、環境負荷の低減につなげることを目的としています。
②取組の内容と成果
●「太陽熱利用パッシブ木材乾燥庫」とは
従来型の木材乾燥庫は主に化石燃料由来の熱源が設けられているため、環境負荷の大きいものでした。一方、当組合のパッシブエネルギー(自然な力を利用したエネルギー)による木材乾燥庫は、太陽熱をメインにヒートポンプ熱源を補助的に組み合わせると共に、庫内の断熱性・気密性を高めることで、エネルギー消費量およびCO₂排出量の大幅な削減が可能。環境負荷の少ない省エネルギー型木材乾燥庫となっています。また、庫内は80度以下で温度差の少ない環境を保っているため、木材本来の強度や美しさが損なわれにくく、品質向上にもつながります。
●稼働率向上でさらなるCO₂削減を
木材の乾燥庫搬入の改良では、電動ウインチなどを活用した自動搬入装置を乾燥庫の内外に設置しました。木材の搬入・搬出が効率化されたことで、1度に処理できる木材乾燥の重量が増加し、従来の人力での搬入と比較すると約1.5倍の乾燥が行えるようになりました。加えて、同乾燥庫は環境負荷削減に対して、従来型の木材乾燥庫と比較した場合、最大でエネルギー消費量89%・CO₂排出量79.8%の削減、年間のCO₂削減効果としては最大で35.66t-CO₂/年(灯油ボイラー蒸気加熱式乾燥機との比較)のポテンシャルを有しています。木材乾燥量が最大値に近い成果をあげたため、CO₂削減においても最大限の効果を発揮できる環境が整いました。
③今後の展開と目標
環境負荷削減のトリガーとなり得る省エネルギー型の木材乾燥庫を積極的に利活用すると共に、その効果を高められるようさらなる改良に向けた研究などを行っていきます。また、地元木材を積極的に活用し森林の再造林を促すことはCO₂の吸収削減対策につながり、CO₂ネットゼロの観点からも重要な課題です。当組合では地域産材の加工や販売、ブランディングなどについても、組合および組合員で取り組んでいきたいと考えています。